メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bytukamatter

秋はミステリアスなイケメン紳士

    秋の好きなところを挙げれば、キリがない。

    落ち葉を踏んだときの、サクッ、サクッという音。
    どこか色っぽい、日差し。
    突き抜けるような高い空。

    色づいた葉っぱたちに「枯れた」なんて表現を使うのは、もはや失礼なのかもしれない。
    赤、黄色、オレンジ。
    桜にも引けを取らない美しさだ。

    しかし、春ほどではないが、くしゃみと鼻水も出る。

    ……まあ、そこはいい。
    だって、春ほどではないから。
    虫も少なくなるし。

    秋の優しいところも好きだ。

    夏の暑さですっかり弱った私のところへやってきて、「お疲れさま」と、そっと肩に上着をかけてくれる。
    そして、そっとホットコーヒーを差し出す。

    1年ぶりなのに……
    私が季節の変わり目のコーヒーが好きなこと、ちゃんと覚えててくれたんだ。

    暑さを無理やり奪うわけでもない。
    暑苦しい夏のように、「俺が俺が」と前に出てくることもない。

    ちょうどいい距離で、静かにそばにいてくれる。

    急かさないし、騒がない。
    なんて紳士的なんだ。
    気づけば秋のことばかり考えてしまう。

    夜空を見上げれば、月がいつもより美しい。
    しかも、鈴虫の音色付き。
    こんなロマンティックな演出までしておいて、本人は何食わぬ顔をしている。

    いったい何を考えているんだろう。
    こういうところが、ちょっとずるい。

    でも、秋との時間はそんなに長くない。

    日が短くなって、
    風が冷たくなって、
    きれいな葉っぱが少しずつ落ちていく。

    そんな頃、秋は時々、寂しそうな顔で空を見上げている。

    何を思っているのかは、教えてくれない。
    ただ、私にはなんとなくわかる。

    ずっとそばにいてほしい!と駄々をこねる私に、秋はちょっと困った顔で笑いながら、「また来年会おうね」と言う。

    それ以上は、何も言わない。
    何を考えているのかも、教えてくれない。

    そういうところも、ずるい。

    秋は優しいだけじゃない。
    ちょっぴり影のある男だ。

    春ほど派手ではない。
    夏ほど元気でもない。

    でも私は、こういう男が好きなのだ。
    静かで、優しくて、ちょっと影がある。

    春がイケメンのクズ男なら、
    秋はミステリアスなイケメン紳士だ。


    あとがき

    以前、「春はイケメンクズ男」という春のお話を書いたので、その対になるような秋のお話を書いてみました。
    私は擬人化が本当に好きね。
    ちなみに秋のイメージはオダギリジョーでお願いします。松田龍平もいいな♡(春は綾野剛)

     
     

    猿吉

     
     
    食いしん坊ロマンチストの猿吉(さるきち)です。日々の出来事などを綴るかわEお猿さん。結構更新するけど覚悟はE?箱根駅伝

    あなたへのおすすめ