
「理解される体験が、人を育てる 〜子育てと精神科看護の現場から〜」
私が子育てや療育に向き合う中で気づいたこと。
それは、「理解される」という体験こそが、人の心の土台になるということです。
職場の研修で、発達障害について学ぶ機会がありました。
「幼少期に人に理解される経験が少ないと、人とのつながりが希薄になりやすく、成人後、感情や思考のバランスが崩れ、やがて薬で気持ちをコントロールせざるを得なくなることがある」
この言葉が、深く胸に残りました。
理解されることが少ないと、人は他者と交わることが難しくなり、
やがては自分の思いだけに固執するようになります。
その結果、人間関係に深い傷が生まれ、症状が悪化する結果になると思います。
私たち医療者は「現れている症状」に対してのケアしかできなくなることがあります。
精神科の現場でも、そうした患者さんに出会うことがあります。
たとえば、他の方に怪我をさせてしまい、集団生活に混乱をもたらす患者さん。
そのような時、私たち看護師は、安全を守るために介入せざるを得ません。
その対応の中で、いつも心の中に問いが浮かびます。
――この人は、どんな子ども時代を過ごしてきたのだろう?
――誰かに、心から「わかってもらえた」と感じたことはあったのだろうか?
もし、誰か一人でも「わかっているよ」と寄り添ってくれる人がいたら――
その人は、今とは違う場所に立っていたかもしれません。
私自身もまた、子ども時代に「理解されたかった」思いを胸に抱えてきたひとりです。
だからこそ、今は看護師として、少しでも「あなたを理解したい」という姿勢を届けたいと思っています。
すぐに症状が改善するわけではありません。
けれども、「わかろうとしてくれる誰かがいる」と感じることが、
その人の心の回復のきっかけになるかもしれない――
そう信じて、日々現場に立ち続けています。