
アオリイカのレシピ6選|刺身の次は沖漬け・一夜干し・塩辛
おう、元気か?
アオリイカを釣って帰った夜、胴を刺身にして食べたあと、ゲソと肝と墨袋はどうしてる。三角コーナーに放り込んでるなら、食べられる部位をまとめて捨ててるのと同じだ。
刺身の次に何を作るかは、レシピを何十個も覚えなくても決まる。どの部位を、どの料理へ回すか。それさえ分かれば、1杯まるごと食卓に乗る。
アオリイカは、部位ごとに行き先を決めれば1杯まるごと食える。生で食う料理だけは、先に凍らせろ。
今日は刺身以外のレシピを6つやる。沖漬け、一夜干し、塩辛(黒作り)、天ぷら、肝のバター醤油炒め、イカ墨パスタだ。材料と分量の目安も付けておく。
01. 1杯を部位で振り分ける:胴・エンペラ・ゲソ・肝・墨

アオリイカを捌くと、胴、エンペラ(胴の縁についているヒレ)、ゲソ(足)、肝(ゴロ)、墨袋、皮に分かれる。料理の行き先は、部位ごとにこう振り分ける。
■ 胴 → 刺身/一夜干し/天ぷら
■ エンペラ → 刺身/沖漬け(作ってから凍らせる)/炒め物
■ ゲソ → 天ぷら・唐揚げ/沖漬け(作ってから凍らせる)
■ 肝(ゴロ) → 塩辛・黒作り(作ってから凍らせる)/バター醤油炒め
■ 墨袋 → イカ墨パスタ/黒作り(作ってから凍らせる)
■ 皮 → 湯引き(作ってから凍らせる)
迷ったら、胴のいちばんきれいな所を刺身に、残りの胴を一夜干しか天ぷらに、エンペラとゲソを沖漬けに、肝と墨を炒め物かパスタに回せ。これで1杯が使い切れる。捨てる所はほとんど無い。
6つのレシピで使う物は、だいたいこれで揃う。
■ 調味料:醤油・みりん・酒・塩・バター・オリーブオイル・トマト缶
■ 粉と油:天ぷら粉・片栗粉・揚げ油
■ 道具:脱水シート(ピチットシートなど)・冷凍用のジッパー付き保存袋・ラップ・ざる
振り分けの前に、そのイカを釣り場で白く締めて(ピックで神経を断って、体の色が白く抜けた状態で)持ち帰れたかを見ておく。締められずに茶色いまま帰ったイカや、捌くまで時間が空いたイカは、生の料理より火を通す料理に回す。持ち帰りで冷やしきれなかった個体の肝も、生の料理には使わない。
部位に分けるまでの捌き方(甲・内臓・墨袋・薄皮の順番と、刺身の切り方)は、別にまとめた。墨袋を破らずに取り出せていれば、この記事の6品は全部作れる。
02. 生で食う料理は、作ってから凍らせる

作り方に入る前に、ここだけは押さえておけ。
厚生労働省によると、アニサキスはイカなどの主に内臓の表面に寄生していて、宿主が死んで時間が経つと内臓から筋肉(身)へ移動することが知られている。予防法として挙げられているのは、−20℃で24時間以上冷凍するか、70℃以上(60℃なら1分)で加熱すること、内臓を生で食べないこと、目で確認して取り除くことだ。そして、一般的な料理で使う程度の酢や塩漬け、醤油やわさびでは、アニサキスは死なないと書いてある。
醤油に漬ける沖漬けも、塩をする塩辛も、この「醤油・塩漬けでは死なない」に当てはまる。漬けたから大丈夫、とは考えるな。だからこのブログでは、6つのレシピをこう分ける。
■ 生で食う(沖漬け・塩辛・黒作り・皮の湯引き) → 作り終えたら小分けにして冷凍し、食べる分だけ冷蔵庫で解凍する
■ 火を通して食う(一夜干し・天ぷら・炒め物・パスタ) → 身の厚い所まで白く不透明になるまで火を通す
冷凍の条件は、厚生労働省が事業者向けに示している−20℃で24時間以上だ。家の冷凍庫が−20℃まで冷えているかは、機種と扉の開け閉めで変わる。だから俺は48時間置いている。ただ、これは俺の習慣で、時間を延ばせば温度の足りない分を補えるという根拠は無い。確実なのは、冷凍庫用の温度計で−20℃を確かめることだ。
解凍した分は、冷蔵庫で数日のうちに食べ切る。解凍したものを再び凍らせると、身がスポンジのようになる。だから凍らせるときに、1回で食べる量ずつ袋を分けておけ。凍らせ方と解凍の仕方はこっちだ。
レシピ1 沖漬け:タレは醤油・みりん・酒を1:1:1

沖漬けは、イカを醤油ベースのタレに漬けこむ料理だ。エンペラ、ゲソ、小さめの胴に向く。
材料(アオリイカ1杯分の目安)
■ アオリイカのゲソ・エンペラ・胴
■ 醤油 100ml
■ みりん 100ml
■ 酒 100ml
俺が勧めるタレの基本は、醤油・みりん・酒を1:1:1で合わせる形だ。みりんが入るぶん甘めなので、しょっぱめが好きなら醤油を増やせばいい。量はイカの大きさに合わせて、同じ比率で増減しろ。
作り方
■ 鍋にみりんと酒を入れて火にかけ、アルコールを飛ばす
■ 醤油を加えてひと煮立ちさせ、火を止めて完全に冷ます
■ 捌いて水気を拭いたゲソ・エンペラ・胴を、冷ましたタレに漬けて、冷蔵庫に1日置く
■ タレから上げて、1回で食べる量ずつ保存袋に分け、冷凍する
■ 食べる分を冷蔵庫で解凍する
長く漬けるほど醤油の味が立って、イカの味が隠れていく。俺は1日で上げて凍らせる。凍らせているあいだに、味は落ち着く。
食べ方は、薄く切ってそのまま刺身のように。軽く炙れば香ばしくなる。ゲソは細かく刻んで、温かいご飯に乗せても合う。
沖漬けは、船の上で生きたイカをタレに入れて作る漁師の料理として知られている。このブログは締めてから持ち帰る派なので、家では捌いて、漬けて、凍らせてから食べる。冷凍を通しておけば、アニサキスの心配をタレに任せなくて済む。
レシピ2 一夜干し:10%の塩水に20分、冷蔵庫で12時間

一夜干しは、身の水分を抜いて旨味を詰める料理だ。サイズの大きい胴、刺身にしきれなかった胴に向く。
材料(アオリイカ1杯分の目安)
■ アオリイカ(開いたもの)1杯
■ 水 1L
■ 塩 100g(約10%の塩水)
■ 脱水シート(ピチットシートなど)
▶ 脱水シートは、一夜干しにも冷凍保存にも使えるオカモトの「ピチット レギュラー」を勧める。
作り方
■ 胴を開いて甲・内臓・墨袋を取る(皮は付けたままでいい)。ゲソも付けたまま開いてかまわない
■ 約10%の塩水に20分漬ける
■ 取り出して表面の水気をキッチンペーパーで拭く
■ 脱水シートで包み、冷蔵庫で12時間置く
外に吊るして天日で干す方法もある。ただ、天気や虫、カラスに左右されるうえ、日の当たり方で乾き方にムラが出る。冷蔵庫でシートに水分を吸わせるやり方なら、天気を気にせず、表面を適度に乾かせる。
塩加減は好みで変えていい。10%で20分は、濃い塩水で短く漬ける組み合わせだ。薄味にしたいなら、水1Lに塩50g(約5%)くらいに下げて、30分ほど漬ければいい。
焼くときは中まで白く、切れ目で丸まりを防ぐ
一夜干しは生の身を干しただけなので、身の厚い所まで白く不透明になるまで焼く。表面に焼き色が付いただけで下ろすと、中が生のまま残る。
焼くと身がくるっと丸まるのは、皮のせいだ。日本食糧新聞の連載「シーフード調理学」によると、イカの胴の皮は4層になっていて、第四層にはコラーゲンの繊維が体の軸に沿って走っている。加熱すると筋肉は体の軸に対して直角に、第四層の皮は体の軸と平行に縮み、皮の縮む力が強いので体の軸に沿って丸まる。
だから焼く前に、身の表面に浅い切れ目を入れておく。丸まりにくくなり、火も中まで入りやすい。マヨネーズと七味で食べれば酒が止まらない。
レシピ3 塩辛(黒作り):肝に塩をして一晩、墨を混ぜれば黒作り

塩辛は、イカの身を肝(ゴロ)で和えた料理だ。肝を生のまま使う。厚生労働省は内臓を生で食べないよう呼びかけている。それでも作るなら、02の手順どおり、作り終えてから冷凍を通し、解凍して食べろ。
材料の目安
■ アオリイカの肝
■ 胴またはエンペラ
■ 塩(肝の表面が隠れるくらい。農林水産省の黒づくりの材料はスルメイカ1杯に塩100g〜)
■ 黒作りにするなら墨袋の墨
作り方
■ 肝に多めに塩をまぶし、ざるかトレーに乗せて冷蔵庫で一晩置いて水分を抜く
■ 身は皮を剥いで細い短冊に切り、薄く塩をしてざるに広げ、冷蔵庫で一晩置いて水気を抜く
■ 翌日、肝の表面の塩を軽く落とし、膜を破って中身を絞り出す
■ 身と肝を和え、冷蔵庫でもう一晩寝かせる
■ 小分けにして冷凍し、食べる分だけ解凍する
身の水を先に抜いておくと、和えたあとに水が出て塩辛が水っぽくなるのを防げる。
これに墨袋の墨を混ぜたものが、富山の郷土料理「黒づくり」だ。農林水産省の「うちの郷土料理」は、スルメイカのワタに多めに塩をまぶして冷蔵庫で一晩寝かせ、身にも塩をまぶし、身は5mm幅くらいの短冊にして、墨とワタをよく混ぜて再び一晩寝かせる作り方を紹介している。加賀藩主が参勤交代の折に将軍家へ献上したという文書も残っているそうだ。
同じページは、イカスミにはグルタミン酸やタウリンが豊富に含まれていて、一般的な塩辛(赤づくり)より深みがあってクセになる味わいだと紹介している。捌いているときに墨袋を破ってしまったら、そのイカは黒作りに回せばいい。
1杯の肝で作れる量は多くない。何杯か釣れた日の肝を貯めてから作るのが現実的だ。
▶ 料理人設楽の料理道場の動画(イカの塩辛)。4:51から身の中にアニサキスがいないか光に透かして確かめる話、6:13から冷凍の説明、10:48から肝と身を合わせる工程が映っている。動画は凍らせた肝と身から作る順番だが、家では作ってから凍らせる順番のほうが、解凍と再冷凍が重ならずに済む
レシピ4 天ぷら:はねるのは皮と水気、切れ目で防げ

天ぷらは、胴でもゲソでもいちばん失敗が少ない料理だ。締めそこなって白くならなかったイカも、天ぷらに回せば十分うまい。持ち帰りまで含めた締め方の基本はこっちにある。
イカの天ぷらで困るのは、油の中で破裂してはねることだ。原因は身と皮に含まれる水分にある。高温の油の中で水分が水蒸気になって膨らみ、皮に閉じこめられて逃げ場が無くなると、はじけて油が飛ぶ。
はねを防ぐ手順
■ 表面に浅い切れ目を格子に入れる(水蒸気の逃げ道を作る)
■ 胴の外皮と薄皮を剥げる所まで剥ぐ
■ キッチンペーパーで水気をしっかり拭く
■ 薄く粉をはたいてから衣を付ける
いちばん効くのは切れ目だ。皮の内側の層は身に張りついていて剥ぎきれないことがあるので、剥ぐだけに頼らず、切れ目で水蒸気の逃げ道を作れ。
材料の目安
■ アオリイカの胴・ゲソ
■ 天ぷら粉(袋の表示どおりに水で溶く)
■ 揚げ油(鍋に深さ3cmほど)
油の温度は170℃くらいを目安にする。身の厚い大きなイカは、薄めのそぎ切りにして、中まで火が通る厚さにしてから揚げろ。揚げすぎると縮んで硬くなるので、身が白く不透明になったら上げる。
ゲソは吸盤の中の硬い輪を指でしごいて落としてから揚げる。細かく切って片栗粉をまぶし、醤油と生姜で下味を付ければ唐揚げになる。水気が残っているとはねるので、揚げる前によく拭け。油はね防止のネットをかぶせるのも手だ。
レシピ5 肝のバター醤油炒め:肝をソースにして強火で短く

肝を火を通して食べるなら、いちばん手軽なのがこれだ。
材料の目安(アオリイカ1杯分)
■ アオリイカの肝・エンペラ・ゲソ
■ バター 10g
■ 醤油 小さじ2
■ にんにく(お好みで少し)
作り方
■ エンペラとゲソを食べやすい大きさに切る。肝は膜ごと取っておく
■ フライパンにバターとにんにくを入れて中火で溶かす
■ 肝を入れ、ヘラでつぶしながら火を通してソースにする
■ エンペラとゲソを入れて強火で手早く炒め、醤油を回しかけて火を止める
肝は中までしっかり火を通して、色が変わってから身を入れる。身は白く不透明になったらすぐ皿に移せ。炒め続けると縮んで硬くなる。
肝の苦みが気になるなら、バターを少し増やすか、醤油をみりんで少し割るとまろやかになる。白いご飯にも、酒のつまみにも合う。釣れたのが小さい新子ばかりで刺身にするには身が薄い日も、この炒め物なら何杯分でもまとめて片付けられる。
レシピ6 イカ墨パスタ:墨袋は炒めながら破る

墨袋を捨てずに持ち帰ったら、これを作れ。
材料の目安(1人分)
■ パスタ 100g
■ アオリイカの墨袋 1杯分
■ 胴またはエンペラ 少し
■ にんにく 1片
■ オリーブオイル 大さじ2
■ トマト缶 100g
■ 塩 適量
作り方
■ フライパンにオリーブオイルと刻んだにんにくを入れて弱火で香りを出す
■ 墨袋を破らずにそのまま入れ、ヘラで押して破り、墨をオイルに溶かす
■ トマト缶を加えて煮詰め、塩で味をととのえる
■ 切ったイカの身を入れて、白く不透明になるまで火を通し、ゆでたパスタを絡める
墨袋を先に破ってからフライパンに入れようとすると、まな板と手が真っ黒になる。袋のまま入れて、油の中で破れ。1人分なら墨袋1杯分が目安だ。何杯か釣れた日は墨袋だけを別にラップして凍らせておき、まとめて使えばいい。
まとめ:部位で行き先を決め、生で食う料理は凍らせる

長々と語ったが、結論はシンプルだ。
アオリイカは、部位ごとに行き先を決めれば1杯まるごと食える。生で食う料理だけは、先に凍らせろ。
■ 胴 → 刺身・一夜干し(約10%の塩水に20分)・天ぷら
■ エンペラとゲソ → 沖漬け(醤油・みりん・酒 1:1:1)・天ぷら・炒め物
■ 肝 → 塩辛・黒作り(作ってから凍らせる)・バター醤油炒め
■ 墨袋 → イカ墨パスタ・黒作り
■ 生で食う料理は−20℃で24時間以上凍らせる(俺は家の冷凍庫で48時間置く。温度は温度計で確かめろ)。火を通す料理は身の厚い所まで白く
刺身で終わらせずに6品を回せば、1杯のアオリイカで食卓は何日も続く。
よくある質問(FAQ)
食い意地の張ったお前らが抱きそうな疑問に、先回りして答えておくぞ。
Q1. アオリイカのおすすめのレシピはどれですか?
A. 結論:初めてなら天ぷらだ。 胴でもゲソでも作れて、冷凍を待たずにその日に食べられる。切れ目を入れて水気を拭けば、はねも抑えられる。次に作るなら、エンペラとゲソの沖漬け。1日漬けて凍らせておけば、釣れなかった週末にも食卓に出せる。
Q2. 沖漬けは、イカを生きたまま漬けるものですか?
A. 結論:船の上で生きたまま漬ける作り方もあるが、家で作るなら締めて、捌いて、漬けて、凍らせろ。 醤油に漬けてもアニサキスは死なない(厚生労働省)。生きたまま漬けても、この点は変わらない。締めて持ち帰ったイカを捌いて内臓を外し、冷ましたタレに漬けて冷凍を通せば、安心して生で食べられる。
Q3. 2kgクラスの大きいアオリイカは、何にするのが美味いですか?
A. 結論:胴が余るなら、一夜干しと天ぷらに回せ。 大きいイカは胴だけで量が多く、刺身だけでは食べきれない。一夜干しにして切れ目を入れて焼くか、薄めのそぎ切りにして天ぷらにすると、厚みが食べごたえに変わる。刺身にする分は、薄皮をきれいに剥いで切ればいい。
Q4. アオリイカの皮は食べられますか?
A. 結論:食べられる。湯引きにして、凍らせてからポン酢で食え。 剥いだ外皮を熱湯にくぐらせて、縮んで色が変わったらすぐ氷水に取り、水気を切って細く切る。さっと湯に通す程度では中まで火が入る保証がないので、生で食う料理と同じく、小分けにして冷凍してから解凍して食べる。クニュッとした食感の酒の肴になる。
Q5. 作った沖漬けや塩辛は、どれくらいもちますか?
A. 結論:凍らせておけば食べる分ずつ出せる。解凍したら冷蔵で数日のうちに食べ切れ。 家で作る沖漬けや塩辛は、塩分や添加物で日持ちを調整した市販品とは違い、塩を控えたものほど傷みやすい。作り終えたら1回分ずつ袋に分けて冷凍し、食べる前の日に冷蔵庫へ移す。解凍した分は再び凍らせない。
釣って、締めて、捌いて、食う。ここまで回して、はじめて1杯のアオリイカに釣り人としての答えを出したことになる。
冷凍庫を少し空けておけ。次に釣れた日は、肝も墨も捨てずに持ち帰るぞ。
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またな。