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Photo bytamochaos

『ニュースステーション』が見せてくれた「大人の音楽の世界」

    【約1700字/4.5分で読めます】

    前回の記事では、子ども時代~21歳までを振り返り、私にとっての『ニュースステーション』の話を書きました。

    自分から「主体的に選んで観る番組」ではなく、周りの大人が観ているのを「横から観る」感じだったんですよね。

    それでも、私の中に「久米さん」と『ニュースステーション』のイメージは根付いていたのが不思議なところでした。

    振り返ってみると、私は『ニュースステーション』を一度だけ、主体的に観たことがあったのです。

    しかも、私はその放送回をビデオに録画して、何度も観返していました。

    それは、2000年12月14日の放送回です。

    私が高校3年生の頃で、この時代の私は YMO にハマりはじめて、彼らの音楽に関する情報に飢えていたんですよね。

    そんなタイミングで細野晴臣さんがかつてやっていた「ティン・パン・アレー」が復活し(松任谷正隆は不参加で「ティン・パン」というバンド名)、『ニュースステーション』に出演したのです。

    ▼映像を見つけたので貼っておきます(記憶力を試すために私は観ずに記事を書きます)。

    22時台の生放送に細野さんが出演するなんて、今では考えられませんが、この時代にはこういうことがあったんですよね。

    2000年の12月というと、私は細野さんの活動についてもまだそんなに知らなかった頃です(私が本格的に細野さんのキャリアの全容を知るのは、2001年1月に放送されたラジオ番組『細野晴臣 2001年音楽の旅』を聴いた時)。

    ですから、番組の中で流れた VTR も貴重なものでした。

    何度も繰り返し観ていたので、今でも細かい部分を覚えています。

    まずは、久米さんがティン・パンのメンバーを紹介して、VTR を挟み、ティンパンの演奏が披露されるという流れでした。

    たしか、いつものデスクから移動して、小料理屋みたいなテーブルの前で、出演者のみなさんは座布団の上に座っていたはずです。

    テーブルには何か料理(鍋だったか)があって、久米さんが前に出演したジェフ・ベックの話をしたのを覚えています(当時の私は本当に音楽のことを知らなくて、ジェフ・ベックも知らなかったので、最初は「琴別府」と聞き違えていた)。

    「ジェフ・ベックさんはベジタリアンだったので、野菜だけのお鍋を用意して、我々もご相伴に預かったんですが」と言っていました。

    久米さんとティン・パンが軽くトークをしてから、ティン・パン・アレー時代を含む彼らの紹介 VTR が流れます。

    この映像がとてもよくできていたんですよね。

    たしか、ベトナム戦争の映像からはじまったような記憶があります。

    音楽のことだけではなくて、それを取り巻く社会的な背景も絡めて、彼らの作った音楽がいかに先進的なものだったかが、リアルタイムで知らない人が観てもよくわかる映像でした。

    ごく短い VTR ではありましたが、まさに報道番組『ニュースステーション』の底力を感じさせる映像だったのです。

    そして、最後にはティン・パンによる生演奏が披露されました。

    演奏されたのはアルバム『Tin Pan』の2曲目に収録された『Queer Notions』です。

    アルバムに収録されたバージョンでは、矢野顕子のスキャットが入っているのですが、『ニュースステーション』バージョンでは、細野さんが代わりに口ずさんでいました。

    とにかく、この時のお三方の演奏は、すごくかっこよくて、「大人の音楽」を感じたものです。

    こういうカッコいい音楽を生演奏で披露しても違和感がない『ニュースステーション』も、やはり「大人の番組」という感じがしました。

    この時の放送回は、何度も観ていたので、『ニュースステーション』を毎日観ていなくても、この番組がいかに洗練された番組だったかもよくわかっていたんですね。

    ※記事を書き終わってから、二十数年ぶりに映像を観なおしたところ、演奏は生ではなく、番組の放送がはじまる直前に収録したものでした。
    それにしても、今観ても演奏はもちろんのこと、映像のすべてが素晴らしかったです。こんな贅沢なものを高校生の頃に観ていた私は幸せ者です。

    (続く)

     
     
    1982年生まれ(♂)エンタメソムリエ。おもに、映画、本、音楽、テレビ番組、ゲームのレビューやコラムを執筆。エッセイ、写真、詩も投稿します。

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