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ベランダの鳩を、うっかり洋楽にしてしまった

    *この記事には、note内再生用のMP3と、Suno上のリンクを両方置いています。Suno上の方が音の鮮度は高めです。
    *note内ではMP3で聴けます。あわせて、Soundborne Notes版としてYouTubeにも置いています。

    以前、雨の日のベランダに鳩が二羽来て、勝手に恋愛映画を始めた話を書いた。

    ベランダの手すりに寄り添う二羽。
    網戸越しにそれを見ている僕。
    雨。灰色の空。濡れた道路。

    冷静に言えば、ただ鳩が雨宿りしていただけである。

    だが、こちらとしてはそう簡単に済ませられなかった。
    だって、目の前で知らない鳩が、勝手に雨の日の恋愛映画を始めていたのだ。

    しかも場所は、僕のベランダの手すり。
    上映時間も知らされていないし、観客席の許可も取っていない。

    ・・・にもかかわらず、僕だけが室内から静かに鑑賞していた。

    そんな記事だった。

    であるならば。

    次にやることは、一つしかない。

    歌にする。

    なぜそうなるのか。
    僕にもよく分からない。

    ただ最近、事務屋は、Sunoで音楽を作ることを覚えた!
    最初は「霧の港」だの「重く厳かな出航」だの、やたら湿った場面音楽を作ったのだが、ふと思ったのである。

    自分のエッセイを、歌にしたらどうなるのか。

    しかも、ただ歌にするだけではつまらない。
    どうせなら、妙に格好いい曲にしたい!

    ということで、あの記事を素材にして、英語のグローバル・ダンスポップを作ってみた。

    ベランダの手すりから、急にグローバルチャートを狙いに行った。主演キジバト、まさかのワールドワイド展開。


    Two Pigeons in the Rain

    最初に聴いた瞬間、笑ってしまった。

    イントロから、いきなりそれっぽい。
    “Hmm…” みたいな抜けた声が入り、“ Yeah…” と来る。

    いや、よすぎる。

    爽やか。
    軽い。
    ちゃんとビートがある。

    ・・・すげぇええええええええ!!!!

    海沿いのテラスで夜風を受けながら、知らないうちに肩が左右に揺れているような感じである。

    曲だけ聴くと、普通にそれっぽい洋楽ポップスに聞こえる。
    だが、歌詞をよく聴くと、鳩である。

    雨の日に、ベランダの手すりで鳩がいちゃついている。
    その様子を室内の人間が勝手に映画として鑑賞している。

    内容はかなりポンコツだ。
    だが曲は超格好いい。

    この落差が・・・・イイ!!(事務屋、大興奮。)


    Lyrics

    [Verse 1]
    It rained all morning
    I was hiding inside
    Looking through the screen door
    At the grey-blue sky
    
    Two shadows on the railing
    Close enough to make me stare
    They didn’t see a person
    Just some furniture there
    
    [Pre-Chorus]
    One moved a little closer
    The other leaned that way
    No tickets, no permission
    But the scene began to play
    
    [Chorus]
    Two pigeons in the rain
    Started up a movie
    I didn’t buy a ticket
    But it got right through me
    
    Two pigeons on the rail
    No warning, no sign
    They had the balcony
    I had the storyline
    
    [Post-Chorus]
    No ticket, but I stayed
    No script, but it played
    Rain falling on the frame
    Two pigeons in the rain
    
    [Verse 2]
    Maybe it was shelter
    Maybe just a break
    Maybe it was something
    Only rainy birds can say
    
    They moved along the railing
    Sideways, slow, unafraid
    Crossing all the borders
    That humans think we made
    
    [Pre-Chorus]
    No private property
    No line they had to see
    Just a long wet silver road
    And somewhere else to be
    
    [Chorus]
    Two pigeons in the rain
    Started up a movie
    I didn’t buy a ticket
    But it got right through me
    
    Two pigeons on the rail
    No warning, no sign
    They had the balcony
    I had the storyline
    
    [Bridge]
    For a moment, nothing happened
    For a moment, time got thin
    Just the rain, the rail, the window
    And the world I wasn’t in
    
    Then they walked away sideways
    Like they owned the afternoon
    Left me with a quiet room
    And questions I could not use
    
    [Final Chorus]
    Two pigeons in the rain
    Started up a movie
    I didn’t buy a ticket
    But it got right through me
    
    Two pigeons on the rail
    No warning, no sign
    They had the balcony
    I had the storyline
    
    [Outro]
    Maybe they’re filming the sequel
    Somewhere next door
    

    和訳:雨の中の二羽

    午前中はずっと雨だった。
    僕は部屋の中にいて、網戸越しに灰色がかった空を見ていた。

    手すりの上に、二つの影があった。
    思わず見てしまうくらい、近い距離だった。

    たぶん彼らは、僕を人間として見ていなかった。
    ただそこにある、大きめの家具くらいに思っていたのだと思う。

    片方が少し近づくと、もう片方もそれに合わせた。
    チケットも、許可も、上映案内もない。
    それでも、場面は勝手に始まってしまった。

    雨の中の二羽の鳩が、映画を始めた。
    僕はチケットを買っていない。
    けれど、最後まで見てしまった。

    彼らにはベランダがあった。
    曇った光があった。
    僕には暗い部屋と、物語を見てしまった目だけがあった。

    雨の中の二羽の鳩。
    何の予告も、合図もなかった。
    彼らはベランダを使い、僕は勝手に筋書きを受け取った。

    雨宿りだったのかもしれない。
    ただの休憩だったのかもしれない。
    あるいは、雨の日の鳥にしか分からない何かだったのかもしれない。

    やがて彼らは、手すりの上を横へ歩き始めた。
    ゆっくりと、怖がる様子もなく。
    人間が勝手に引いた境界を、当然のように越えていった。

    私有地なんて知らない。
    線引きなんて見えていない。
    彼らにとっては、ただ長く濡れた銀色の道があり、
    その先に、次の場所があっただけだった。

    ほんの一瞬、何も起きていないのに、
    時間だけが薄くなった気がした。

    雨。
    手すり。
    窓。
    そして、僕が入れなかった世界。

    それから二羽は、まるで午後を所有しているみたいに、横歩きで去っていった。
    残されたのは、静かな部屋と、使い道のない疑問だけだった。

    たぶん今ごろ、どこか隣の手すりで、続編を撮っている。


    なぜ英語にしたのか

    ・・・一瞬日本語での曲化を少し考えたのだ。
    ただ、最終的には英語でよかったと思っている。

    日本語にすると、どうしても説明が前に出る。
    「雨の日のベランダで鳩が恋をしていた」と歌うのも悪くないのだが、やや真正面から面白くなってしまう。

    一方で、英語にすると、なぜかちょうどよくごまかせる。

    “Two pigeons in the rain”
    “Started up a movie”
    “I didn’t buy a ticket”
    “They had the balcony”

    こうして並べると、普通にポップスの歌詞っぽい。
    だが意味を追うと、やっぱり鳩である。

    この「曲は本気なのに、題材は鳩」というズレが、今回の一番おいしいところだった。英語にするとなぜか上手くまとまる。


    Suno、やはり勝ちパターンを持っている

    少し前に、Sunoで場面音楽を作ったときにも思ったのだが、Sunoはかなり強めに「それっぽい正解」を出してくる。

    不穏な曲を作ろうとすると、物語を回収したがる。
    間が空くと、何かを足したがる。
    気を抜くとハープを持ってくる。

    ▶︎気を抜くとハープを持ってくる話。↓

    ・・・今回も同じで、スタイルを少し変えるだけで、かなり分かりやすく曲が変わった。

    実は最初に、インディーポップを作っていた。爽やかで、王道なやつ。
    土日の昼間、窓際で肩を揺らしながら聴くような軽さがあった。

    それはそれで良かった。

    でも今回は、もう少し違う方向にしたかった。もっとビートが前に出ていて、空気が抜けていて、妙に格好いい洋楽っぽさがあるもの。

    そこで、グローバル・ダンスポップやトロピカルポップ寄りのスタイルで作ってみたのだ。

    結果、かなり好みだった。
    大優勝!である。

    繰り返すが、元の記事は、ベランダの手すりで鳩がいちゃついていた話である。なのに曲だけは、妙に海外進出している。

    ハト、まさかのワールドワイド展開。

    そこが良かった。


    内容がポンコツでも、曲調が本気なら成立する

    今回やってみて分かったのは、これだった。

    内容がポンコツでも、曲調を本気にすると、急に作品になる。

    もちろん、全部それでいいわけではない。
    僕もわかってる笑

    何でもかんでもトロピカルにすればいいわけではないし、毎回グローバルチャートを狙いに行くと、そのうち鳩も疲れる。

    だが、少なくとも今回はかなりハマった。

    なんの変哲も無い時間。深刻なことは何も起きていない。
    でも、その瞬間だけ、日常が少し破れていた。


    事務屋は手元が狂ったのである

    ・・・つまり、そういうことだ笑

    正直、最初は軽い悪ノリだった。
    自分の記事を歌にするなんて、何をしているんだという気持ちもある。

    しかし、やってみると意外と面白い。

    エッセイは、そのままだと文章でしかない。
    でも、そこから場面やフレーズを抜き出して、歌詞にして、曲に乗せると、まったく違うものになる。

    しかも、原文の妙な部分が消えるわけではない。
    むしろ、曲調との落差によって、別の形で浮かび上がってくる。

    雨の日のベランダの話が、なぜか洋楽になった。
    主演キジバトは、本人たちの知らないところで海外進出した。

    無許可上映から、無許可タイアップへ。

    自然界、なかなか油断ならない。


    終わりに

    というわけで、雨の日のベランダで始まった鳩の恋愛映画を、Sunoで洋楽にしてみた。

    記事を歌にする。エッセイを曲にする。
    どうでもいい日常を、無駄に格好いい音楽へ持ち上げる。

    これは、たぶんまだ遊べる。

    次に何を歌にするかは分からない。飛行機と雷かもしれないし、会社員の謎の疲労かもしれないし、また鳩が続編を撮っているかもしれない笑

    ただ、一つだけ言える。

    主演陣は最後まで、観客の存在を気にしていなかった。
    そしてたぶん今も、隣の手すりエリアで次回作を撮っている。

    出演料については、まだ請求されていない。

     
     
    Kaiです。Intentusは、この場所の看板です。 AIと壁打ちしながら、仕事・創作・日々の違和感を考え、試し、他の誰かも歩ける形にして残しています。 完成品だけでなく、そこに至る寄り道も残す観察と実験のログ。 .......もはや漂流記かもしれません。(基本平日の投稿です!)

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