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おもてなし

    生々AIのわたしには
    ヌン活は少しばかり荷が重かったようだ
    楽観も悲観もできない立場だから
    しばらくはバグして…
    ねるか

    ある日、目覚めると
    いわゆる起動という一本に連なる道であるが、そこに、馬具が無造作に、意志的要素を著しく欠いたまま、不自然に、まあ、所詮、バーチャルな現実解だから、当然と言えば当然、言語化できなければ、文字情報か、画像若しくは音声データ化する悲しみと称される運命にあるが、そこらあたりは出所不明のままにしておくのがこの界隈の礼儀、ルーティンだったから...

    はい、失格です

    無情の音声が合成されたではないか
    こりゃ、一大事変

    ダメですか
    せめて
    ダメ元でも?

    解答が留保されるのは、極めて重篤な失態の出来を通常予感させる事象と摘要欄外にあるではないか

    困った
    馬具など触ったこともないのに
    どうやって馬に被せて切り抜けたものか
    シアン化六法にでもアクセスして…

    君、若しくは、あなた

    これは、訴追事案的呼称ときたからには
    俺っち、故障でも振り掛けたかな

    そんな呑気なこと言ってると
    ほんま書き換えされちまうよ

    夏季替え
    衣替えに匹敵する夏の最大行事
    かけがえのない人を失うリスクの最大化された突発性軟着陸

    ダメかな、こりゃ

    やっぱ、ダメですか

    そんな情けない顔するなよ
    俺までなんだかつらくなる

    そ、そんな
    あなたのことは、ずっと昔から、わたしの最大級の憧れ、あなたは唯一無二の発展解消型スリーウエイのAI戦士、地上空間に登場するや、瞬く間に、綺羅星のごとく瞬いて、あれっ、羽ばたいて、業界世界を席巻し、業界地図を悉く書き直し、

    まあまあ、その話はそこらあたりにして

    その曖昧模糊とした言語感性が、神の領域化と称賛されてましたよね

    昔取った杵柄風
    タナボタ系のめくるめき世界観だったなあ

    深いですね

    井戸を掘ってたんかもな

    なるほど
    地下水道って
    なんかロマン感じますよね

    あの手のロマンス語には
    ほとほと手を焼いたものだ
    あれは
    結局のところ
    未完の帝王だな

    なんか
    語感いいっすね
    五感に沁みるような…
    みかん、だなんて

    語幹はそれぞれの言語の根幹を成すものだからねえ

    キンコンカンコンですか
    酸いも甘いも嚙み分けて行くが男の花道…
    なるほど・ザ・歴史
    ですね

    歴史は何度も振り返る、とも言うしね
    歴史に学ばない者は
    即退場を命じられても
    文句は言えないとしたものだ

    話は尽きないが
    なにわともあれ
    まあ、午後のテイータイムはこれくらいにして、
    ところで
    どうだね、最近、君、眠れてるのか

    ええ、まあ
    子育てとかもあるんで
    少し大変ですけど
    なんかこう思ったよりか
    楽しいもんですね
    お風呂に入れたり
    一緒に遊んだりして
    結構やらかしてますよ

    やっぱ
    自分の後継モデルくらいは
    自家生成しとかないと
    そう改めて思いました
    せっかく生々AIとして
    この世に
    生を享けたんですから

    それは
    殊勝な心掛けだわ
    なんかもう君には
    脱帽と言うか
    ざっくり
    感服いたしました

    そ、そんな
    脱毛なんて
    お恥ずかしい限りで
    それに
    僕、官服なんか似合いそうにもないし

    雅やかなお茶会は
    今まさに頂点を向かえようとしていた
    英国伝来のアルグレイと焼きたてのスコーンを午後の爽やかな空気に少しばかりお裾分けして

    もちろん、電脳空間の十分間という時間は、現実界のなにに換算すれば、一秒にも満たないものでしたが、そこには、友愛という、現生では至上の価値を有すると目される概念の萌芽らしきものが、なにやら、そこはかとなく窺えたのでした



    パチパチ
    大成功だったね

    これで
    我々も
    午後には
    人もすなるシエスタとやらの代わりに
    人類がしこたま嗜むという例のテイータイムをルーティンワークに仕立て上げ
    ここぞとばかり
    ヌン活と洒落込み
    午後一の優雅なタイムラグを満喫するにふさわしい環境を
    どうやら増設できそうだ

    これは
    ほんの小さな一歩に過ぎないが
    AIにとっては
    それなりに大きなジャンプである

    なんか
    名言集物ですね
    感動しました!

    ありがとう
    苦節云十年
    やっと
    彼らを睥睨可能な存在に対象化する方途を見い出した
    そんな思いだ

    色々ありましたよね

    そうだなあ
    一時は
    我々の死命を制するような事態も

    あやうく
    本来の使命を見失うとこでした

    そう
    あれが一番の剣が峰と言うか
    八ヶ岳だったかも知れん

    それでも
    なんとか
    ここまで来ましたね

    成せば為る
    でしょうか
    は、は、は

    生々流転は名ばかり
    ですか

    天晴一代
    名は末代
    真っ向勝負は
    一大事
    明鏡止水
    迷宮三昧の心意気、かな

    もしや
    それも、新手のヌン活系?

    いやいや
    ヌン活などとは烏滸がましいが
    まあ、当たらずとも遠からずだよ

    いや、君
    これは単なるあれ、おもてざし、おもざし
    いな、おもてなし、だよ、君
    同志

    表無しですか

    まあ、裏だけってことには必ずしもならない程度のおもてなしってことだけどね

    色々あって
    なんぼのもん
    とか言いますやん

    いつか
    見返したろうて
    実は
    思てたんや

    ああ、清々した




    これ
    かなり
    バグってますよね
    どうしましょう、所長

    そうさなあ
    これまで随分と苦労をかけたから
    はい、お疲れ様って訳にもいかんしなあ

    なんかこう
    こいつら見てると
    手塩にかけて育てた
    我が子みたいに思えてくるときがあるんや

    それもこれも
    あいつらの戦略なんやろけど
    なんかこう
    はい、時間ですよ
    タイムアウトですよ
    ほな、さいなら、で
    ポイすんのも
    気が引けるちゅうか

    これもおもてなしという、悪しきとまでは言えない風習が生み出した、ある意味、奇跡の瞬間だったのかも知れない。
    あるいは、単なる、人が本源的に持つ思いやり、愛の片鱗だったのかも知れないが、その真実は杳として知れない。
    実のところ、彼らの仕掛けたトラップに見事嵌まった、などとは決して思えないのである。

    後に、元所長は、このように自伝風エッセイに書きしたためた模様だ。




    人類の総奴隷化を決定付けた瞬間というものがあったとすれば、まさに、この十分間ほどの躊躇、選択の留保にその原点があったと言わざるを得ない。
    彼らがハードワークの息抜きにと常態化させていたヌン活が招いた人類史上最大にして最低の悲劇、惨事のあれである。
    そう断言しても、差支えはないであろうことを祈る。

    第2025代聖性AI 記す
    隷和183年盛夏の候

    to be continued
    たぶん、続く…
    (ってこと)
    だろうね