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馬と王国、音楽と人生ーあべこべになる価値観



    "A horse, a horse!  My kingdom for a horse!"

    「馬だ!馬をくれたら我が王国をやるぞ!」

    (『リチャード3世』第5幕第4場)

    優先順位の問題。

    王国を守るために馬に乗り、戦争をしているのであって、その逆ではない。

    仕事をくれ! 仕事をくれたら命をやるぞ!という人はいないだろうが、それと同じことになってしまう。

    さすがに、シェイクスピアは天才である。

    修羅場に置かれると、人間はパニックになって、あべこべ、逆さまになってしまう状況を一瞬のセリフで切り取っている。

    昔、ベルリン・フィルの指揮者、サイモン・ラトル(英国人)が、人生のために音楽があるのです、音楽のために生きるわけではありません、と言っていて、驚いたことがある。

    音楽家ともなれば、音楽=命だと思っていたから。

    さすがに、英国人はバランスが取れている。

    学問をやっているのに楽しそうでない人もいる。

    昔は楽しかったとしても、年をとれば興味も変わり得る。

    楽しくなくなってしまったら、仕方がない、変えるほうがいいだろう。

    学問のために生きているわけではない。

    ノーベル賞をもらうような人は別かもしれないが。


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    ◯明治大学政治経済学部教授◯言語学◯台湾文化研究◯太極拳◯台灣(紅)茶◯『言葉の森から出られない』(明大出版)◯ 食べ物から古代の文字。言葉をたどると人間と世界が見える。言語学を専門とする大学教員。日常の何気ない言葉から、語源、歴史、文学、台湾文化まで寄り道しながら考えます。

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