
ガッカリ時代劇「黒牢城」は傑作だった
昨日、多摩センターのイオンシネマで見てきた「黒牢城」の感想ですが。
例によって、何の予備知識もなく見ましたけど。(通常、ポスターとかもろくに見ない)
でも、この映画、イオン系の地元スーパーで宣伝してたから、残念ながら買い物中、ちょっと知ってしまっていました。
監督が黒沢清であることとか。
黒沢清が何者かは知らないけどね。
ただ黒沢って名前で、映画作るのうまそうだ、と思っただけで。
私は作家主義で映画を見るような左翼インテリ野郎ではないので。
本能で映画を見る。
この映画に関しては、時代劇だってことは、イオン系スーパーのおかげで知っていた。
当日、映画館に行ってわかったけど、われわれ年寄りには、もう時代劇くらいしか見るのがないわけよ。
あとはわけのわからんアニメばかり。
コロナ期に、年寄りが映画館に寄りつかないうちにこうなったから、仕方ない面もあるけど。
でも、時代劇なら安心だろう。
と思って「黒牢城」を観た年寄りはガッカリでしょう。
以下、核心部分はネタバレしないつもりですが。
少しはバレるかもしれない。
でも、もういいんじゃないですかね。
1番館では、そろそろ上映が終わりかけてんじゃないか。
客の入りは、土曜日で、3割強くらいでした。
最初に「TBS」の文字がデカデカと映って、ちょっと血圧が上がった。
「左翼め! 死ね!」と思って。
まあ、それはともかく。
これ、原作小説があるんですね。映画を見てて、すぐわかった。
直木賞とかいう、あのゴーカン野郎の名前を冠した文学賞を得ているらしい。
原作は読んでないけど、原作があるっぽい映画の作り方。
脚本は監督自身。
ちなみに、「黒牢城」をどう読むのか、映画を見る前も、見終わってからも、まったくわからなかった。
ルビ振ってないから。
インテリは、こういうの、ふりがなを振らない。だから、客が来ない。不親切なんだよ。(こくろうじょう、らしい)
たぶん原作からそうだと思うんだけど、これを時代劇というのは、一種のサギです。
時代劇のフリをした、ミステリーなんですね。
しかも「本格」寄りの。
これに意表をつかれました。
そして、私はこの趣向、楽しめました。
でも、「時代劇」を期待してきた客は悲惨ですよ。
戦国時代の話のはずなのに、チャンバラ、殺陣がない。血がドバーッと出たりする剣戟アクションがない。
戦国時代の甲斐がない。
時代劇の格好をしているだけだからね、基本的には。
インチキ時代劇というか、理知的すぎる時代劇というか。
探偵役は、菅田将暉演じる黒田官兵衛ですが。
でも、役者では、荒木村重を演じた主役・本木雅弘が抜群によかった。
これまで本木雅弘がよかったと思ったことありませんでしたが、初めて思いました。
時代劇は、普通は「顔」で演技させる。怒りとか、無念の思いとかを、どう表情で演じるか、というのが見ものなのですが。
この映画では、むしろ顔が表情を隠している。顔をわざと見せないようにしているとさえ思いました。
要するに、何を考えているか、誰も顔に表さない。そういうアンチ時代劇の演出をしています。そういうとこが新鮮で面白かった。
一種の思想劇でもあり、その中身は戦後民主主義・平和主義的ですが、まあインテリ監督はみんな左翼だから仕方ない。
でも、映画として、よくできてると思いました。
まあ、原作がよかった、ということかもしれないけど。
ただ、長すぎる。
「急に具合が悪くなる」の3時間半で、こっちに免疫ができてたから、見逃しそうになったけど、2時間半もなげーよ。
途中でトイレにたった客も複数いました。
映画は90分で終わらせろ。この話ならできるだろう。
ちなみに、「急に具合が悪くなる」も「黒牢城」も、カンヌ国際映画祭出品作。
芸術的に見せようとして話を長くするのは迷惑だ。とくに時代劇を見に行くような年寄りには。
あと、多摩センターのイオンシネマは壁が薄いのか、隣のスクリーンからドンドンという重低音がずっと聞こえていた。
「マイケル」じゃないか、と思うけどね。うるさかったよ。
でも、映画としてはよかった。大スクリーンで見る価値があるかというと、疑問だけど、満足できました。
<参考>