
観葉植物の土のおすすめは、室内なら鉱物だけの土|100均3袋の原料を比較
100円の棚に、観葉植物の土が3種類並んでいました。どれも似たような袋に見えて、どれをカゴに入れればよいのか見当がつかない。店先でも、そうしたご相談をよくいただきます。「100均の土で大丈夫でしょうか」と。
三十年、この商売をやってまいりましたが、土選びで迷うのはごく自然なことです。売り場には「観葉植物の土」としか書かれていないことが多いからです。
同じ100円の棚に、たい肥入りの土と鉱物だけの土が並んでいます。名前ではなく、袋の材質表示で見分けます。
土選びを間違えると、部屋の中で虫が出たり、根が呼吸できずに傷んだりします。枯れるのには、必ず理由があります。まずは、袋の裏側を覗いてみましょう。
室内なら、鉱物だけでできた土を選びます

室内で育てるにあたって、何を基準に選べばよいか。
室内で虫やカビを防ぎたいなら、鉱物だけでできた土を選んでください。
ダイソーの公式ネットストアで確認できる3つの商品は、材質表示を見るとまったくの別物です。
■ 観葉植物の土(2.0L・税込110円) → ココピート、パーライト、たい肥、赤土、くん炭
■ かるい観葉植物の土(2L・税込110円) → ココヤシガラ、ハスクチップ、パーライト
■ 室内向け観葉・多肉の土4号鉢用(0.6L・税込220円) → 鹿沼土、パーライト、赤玉土、速効性化成肥料、緩効性化成肥料
この中で注目していただきたいのは、3つめの「室内向け観葉・多肉の土4号鉢用」です。この商品だけ、公式の説明に「虫が寄り付きにくく、カビやキノコも生えにくい粒状タイプの培養土」と明記しています。
なぜそう言い切れるのか。答えは原料にあります。鹿沼土、パーライト、赤玉土という鉱物(無機質)だけで構成されており、肥料も化成肥料が使われているからです。虫やカビの餌になる有機質が入っていません。
一方で、1つめには「たい肥」が入っています。たい肥は植物にとって豊かな養分になりますが、湿った土を好むコバエの発生源になりやすい性質があります。2つめはヤシの実を原料とした植物性の有機質です。
「100均の土だからダメ」なのではなく、同じ棚の中で中身が分かれているのです。
外で育てるのか、それともリビングの机の上に置くのか。その目的によって選ぶべき袋は最初から決まっています。
「そのまま使える」は、配合済みという意味です

土の袋の表には、よく「そのまま使える」「このまま使えるブレンド土」と書かれています。ダイソーの「室内向け観葉・多肉の土4号鉢用」にも「袋を開け、鉢やプランターに注ぎ込んでください」と案内があります。
これを見ると、園芸に不慣れな方は「これさえ買えば絶対に失敗しない」と受け取ってしまいがちです。しかし、ここは冷静に言葉を切り分けましょう。
ええ、枯らしました。堂々と枯らしました。「そのまま使える」と書いてあれば何にでも使える魔法の土だ、と思い込む。これはよくある読み違いです。
「そのまま使える」という言葉は、あらかじめ混ぜてある配合済みという意味にすぎません。
園芸の土には、赤玉土や鹿沼土、パーライトのように素材が単体で袋に入っている「単用土」と、それらをあらかじめ混ぜ合わせた「培養土」があります。単用土を買うと自分で配合を考えて混ぜ合わせる必要がありますが、培養土ならその手間がかかりません。「そのまま使える」とは、その混ぜる手間がいらないという工程の話であって、中身の品質や室内での安全性を保証する言葉ではないのです。
配合された土が室内環境に適しているかどうかは、表のキャッチコピーではなく、袋の裏の原料欄を見なければ分かりません。原料欄の読み方は、虫がわかない土のカルテのほうで詳しくお話ししています。ここでは要点だけ言えば、たい肥や腐葉土といった有機物が入っているか、鉱物だけの無機質な土なのかを自分で確かめる姿勢が欠かせません。
軽い土は、乾きにくく虫が出やすくなります

ダイソーの「かるい観葉植物の土 2L」を手に取ると、驚くほどふんわりと軽いことに気づきます。公式の説明でも「軽くて持ち運びがラク!」「水持ちが良い!」「小型の観葉植物に最適です。」とうたわれています。
店から歩いて持ち帰るときや、高い棚、ハンギングで鉢を吊るしたいときには、この軽さは大きな魅力です。
しかし、植物の生理から見ると、軽さには必ず裏の顔があります。
この土の材質は、ココヤシガラ、ハスクチップ、パーライトです。主原料であるココヤシガラやハスクチップは、ヤシの実の繊維を砕いたものであり、植物性の有機質にあたります。繊維が水を抱え込むので水持ちがよく、乾くまでに時間がかかります。
軽さと保水性を得る代わりに、乾きやすさと虫の出にくさを譲っているのです。
土を替えて止まる虫と、土だけでは止まらない虫の線引きは、こちらにまとめています。
室内で風通しが悪い場所に置くと、いつまでも土が湿ったままになり、根が酸素を取り込みにくくなります。さらに、有機質が湿り続ける環境はコバエにとっても好都合です。
室内で土を選ぶときの条件は、こちらにまとめています。
玄関や棚の上など、重い鉢を置けない場所へ運ぶ工夫については玄関のカルテでも触れていますが、室内で使う場合は「軽いから便利」と安易に選ばず、水やりの間隔を空けてしっかり乾かす配慮が必要になります。
何リットル買えばいいか

売り場で次に手が止まるのが、「何リットル入りの袋を買えば足りるのか」という疑問です。2.0Lや2L、あるいは0.6Lといった数字が並んでいますが、自宅の鉢に必要な量が分からないと選びようがありません。
ここは、カルテに書いておきましょう。4号鉢ひとつに対して、土の量は0.6Lが目安です。
ダイソーの「室内向け観葉・多肉の土4号鉢用 0.6L」は、商品名そのものが鉢の号数と必要な容量の関係を示してくれています。4号鉢を植え替えるのであれば、この0.6Lの小袋がちょうど1回分になるわけです。
もちろん、鉢のサイズが大きくなれば必要となる土の量も増えていきます。2.0Lの袋であれば、小さな鉢をいくつかまとめて植え替えるのに適した分量になるでしょう。
もうひとつ、袋の量を見積もるときに忘れやすいものがあります。鉢底石です。
ダイソーの「かるい観葉植物の土」の使い方には、鉢底石を鉢の底から2〜3cmの厚さに敷く、と書かれています。鉢の底の数センチは石が占めるわけですから、必要な土は鉢の容積そのものより少なくて済みます。深い鉢ほど、この差は大きくなります。
同じ案内は、土を鉢の半分ほど入れてから苗を置き、すき間に土を足して、割り箸や棒で軽く突く、と続きます。突いてすき間を埋めるぶん、最後に土が少し要る。袋はぴったりではなく、少しだけ余裕を見て選んでください。
ここで気をつけていただきたいのは、「余ったら取っておけばいい」と大袋を買い込まないことです。
土は余らせず、植え替えのたびに使い切れる量を選ぶのが基本です。
植え替えそのものの時期の決め方は、こちらにまとめています。
一度開封した土を長く放置していると、湿気を含んだり粒が崩れたりして質が落ちてしまいます。今ある鉢の植え替えに必要な分だけを、その都度買い求めるのが土を上質に保つ秘訣です。
値段の帯で、何が変わるか

ダイソーの売り場を見渡すと、税込110円で2.0L入っている袋の隣に、税込220円で0.6Lしか入っていない袋が置かれています。
1リットルあたりの単価を比べてみると、この2つの関係は完全に逆転します。220円で0.6Lの袋のほうが、容量あたりで見れば高価です。
しかし、これを「割高だ」と切り捨ててはいけません。ここまで見てきたとおり、両者は中身そのものがまったく違います。
容量単価の安さだけで選ぶと、育てる環境に合わない土を持ち込むことになります。
片方はたい肥やヤシがらを含んだ土、もう片方は鹿沼土・赤玉土・パーライトを揃えた粒だけの土です。リットルあたりの数字を並べても、比べているものが違います。室内で虫やカビを出したくないという目的にいくら払うか、という話になります。
もし育てている鉢が増えてきて、0.6Lの小袋を何度も買い足すのが大変になってきた場合は、通販を活用するのもひとつの方法です。
通販では、プロトリーフから「室内向け観葉・多肉の土 3.5L」という商品が500円前後で売られています。ダイソーの220円の商品と同じ名前・同じ材質表記(鹿沼土、パーライト、赤玉土、速効性化成肥料、緩効性化成肥料)で、容量違いのものが売られている形です。
一鉢だけなら100円ショップの小袋で無駄なく使い切り、鉢数が多い場合は大袋を自宅まで届けてもらう。育てる規模に合わせて使い分けるとよいでしょう。
鉢が増えてきたら、この大きさが楽です。
買ったあと、水やりの合図が変わります

新しい土に植え替えたあと、もっとも注意していただきたいのが水やりのタイミングです。
ダイソーの「室内向け観葉・多肉の土4号鉢用」のパッケージには、「土の表面の色が変化することで、水やりのタイミングをお知らせします」という案内が書かれています。
これは、観葉植物を健やかに育てるための基本とまっすぐにつながっています。
たい肥や腐葉土を多く含む土は、湿っていても乾いていても全体が黒っぽいままになりがちです。表面が乾いたかどうかを、目だけで見分けるのは難しくなります。
それに対して、鹿沼土や赤玉土といった鉱物主体の土は、水を含んでいるときは濃い茶色や黄色をしており、水分が抜けると白っぽく明るい色へ劇的に変化します。目で見るだけで「乾いた」という合図がはっきりと伝わってくるのです。
土の種類を替えたら、水やりはこれまでの日数ではなく土の色の変化で判断してください。
——まあ、私も昔はやったのですが、「毎週日曜日に水をやる」とカレンダーで決めてしまうやり方は枯らすもとです。
水やりは日数で決めません。土の表面が白っぽく乾き、土の中に指を入れて湿り気がないことを確かめてから行います。与えるときは鉢底から流れ出るまでたっぷりと与え、受け皿に溜まった水は必ず捨てる。土を替えた直後こそ、この観察の基本に立ち返ってください。
まとめ

100円ショップの園芸棚に並ぶ土は、どれも同じように見えて、原料はまったく違います。迷ったときは、次の手順で選んでみてください。
■ 袋の裏の材質表示を最初に見る:室内で虫やカビを防ぎたいなら鹿沼土や赤玉土などの鉱物系を選び、軽さや保水性を優先するならヤシガラ系を選びます。
■ 「そのまま使える」を過信しない:配合済みという意味にすぎず、あらゆる室内環境で安全であることを保証する言葉ではありません。
■ 鉢の大きさに合わせて使い切れる量を買う:4号鉢なら0.6Lが目安です。余らせて古くするより、必要な分だけをその都度使い切るのが鉄則です。
室内での環境づくりについては室内の土のカルテ、土の配合や植え替えの手順については植え替えのカルテでも触れています。植物を枯らさないための第一歩は、土の袋の裏側を覗くことから始まります。
よくある質問
Q1. ダイソーの土はおすすめできますか?
A. 結論:室内で虫を出したくないなら、無機質原料の「室内向け観葉・多肉の土」をおすすめします。
100円ショップの土だからといって一括りに良い・悪いと断じることはできません。たい肥が入ったものは室内のコバエの原因になりやすい一方、鹿沼土や赤玉土、パーライトだけで構成された「室内向け観葉・多肉の土」であれば、虫やカビが発生しにくく室内でも安心して使えます。袋の裏を見て、目的に合った中身を選ぶことが肝心です。
Q2. 観葉植物の土はどれが綺麗ですか?
A. 結論:粒が揃った鉱物系の土を選び、表面に化粧砂を敷くと清潔に整います。
たい肥や腐葉土を含む黒い土は、土埃が舞いやすく見た目も湿っぽく見えがちです。鹿沼土や赤玉土などの粒状培養土は、手や床が汚れにくく見た目も明るい印象になります。どうしても既存の土の見た目が気になる場合は、土の表面に無機質の化粧砂を薄く敷き詰めて覆うだけでも、すっきりと清潔に整えることができます。
Q3. 花ごころの土は無機質ですか?
A. 結論:商品名で決めつけず、パッケージ裏面の材質表示を確認して判断してください。
メーカーやブランドの名前だけでは、無機質かどうかまでは分かりません。同じメーカーが、たい肥入りの土と鉱物だけの土を並べて出していることもあります。ダイソーの棚がまさにそうでした。袋の裏の原料欄を見て、「たい肥」「腐葉土」「バーク」などの表記があれば有機質、「鹿沼土」「赤玉土」「パーライト」などの鉱物名だけであれば無機質と判断してください。
Q4. 土が乾くまで何日かかりますか?
A. 結論:土が乾くまでの日数は、季節や室内の環境によって変わるため一概には決まりません。
「3日に1回」「週に1回」といった日数で管理するのはおすすめできません。気温、湿度、風通し、鉢の材質、そして土の配合によって乾く速度は毎日変わるからです。日数で測るのではなく、土の表面が白っぽく乾いているか、鉢を持ち上げて軽くなっているかを指や目で確かめてから水を与えてください。土が乾く仕組みは、水やりのカルテのほうで改めてお話しします。
Q5. 買ってきた鉢の土は、すぐ入れ替えたほうがいいですか?
A. 結論:土の中身は袋と同じ目で見分けられますが、入れ替えは株が落ち着いてからにしてください。
鉢の表面を見れば、黒くて細かい土なのか、鹿沼土や赤玉土のような粒が揃っているのかは分かります。有機質の土だと分かっても、買ってきたその日に根を触るのは勧めません。店から家へ移った直後の株は、光も温度も風も変わったところへ置かれています。そこへ植え替えの傷が重なると、立て直すのに時間がかかります。まずは2週間ほど置き場所に慣らして、新しい葉が動きはじめてから考えてください。入れ替えの手順そのものは、植え替えのカルテのほうでお話ししています。
Q6. サンスベリアも観葉植物の土でいいですか?
A. 結論:一般的なたい肥入りの土よりも、水はけが良い無機質の土が向いています。
サンスベリアは乾燥を好む植物ですので、湿り気が長く残る土に植えると根腐れを起こしやすくなります。ダイソーの3商品で言えば、水持ちの良いヤシガラ土やたい肥入りの土ではなく、「室内向け観葉・多肉の土」のように多肉植物と兼用になっていて排水性の高い土を選んであげると安心です。
土の袋を手に取ったら、まず裏返して材質表示を見る。
たったそれだけのことで、部屋のコバエに悩まされたり、根を腐らせたりする失敗はずっと減らせます。
植物が健やかに育つかどうかは、売り場の棚の前であなたが選ぶその一袋から始まっています。
もしすでに部屋のコバエに悩まされているなら、原因の切り分け方をまとめたこちらの記事も役に立つはずです。
私についての自己紹介や、このカルテでお伝えしていることの全体像は、以下のページにまとめております。
では、よい緑を。