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書斎派アウトドア司書の冒険読書#9/『海底二万マイル』・『海底二万海里』・『海底二万里』……

    暑い夏こそ、読書で「冒険」に出かけましょう!

    「夏の冒険読書」の連載では、児童文学の名作たちを、
    毎回1冊ずつ配本(紹介)していきます。

    ▶️バックナンバーは『夏の冒険読書ガイド』マガジンからどうぞ!

    配本を届けたい方としては……
    ・子育てや教育に関わっている方
    ・読書好きの方/昔、読書が好きだった方
    ・日々の生活に疲れ、現実逃避したいと思っている方

    つまり、これを読んでいる方、ほぼ全員ですね(笑)。

    さて、今回お届けするのは……

    空想科学読み物を代表する、あの古典的名作です。


    第9回配本

    『海底二万海里』 ジュール・ベルヌ(福音館書店)

    今回は、究極の海の冒険モノ、『海底二万海里』です。

    東京ディズニーシーのアトラクションとしてもおなじみですね。

    『十五少年漂流記(二年間の休暇)』で有名なジュール・ヴェルヌ(ベルヌ)には「驚異の旅」と呼ばれる一連の作品群があります。

    たとえば、気球に乗ってアフリカ大陸を縦断したり、80日間で世界を一周したり、地底にもぐったり、月に飛んでいったり……。

    なんか、昔なつかしのハラハラドキドキ感がありますよね!

    豊富な知識に裏打ちされた、奔放な想像力の産物。

    まさに「空想科学読み物」という言葉がピッタリです!

    ロケットどころか飛行機もない時代に、「科学の知識」をもって、人間を月にまで飛ばしてしまう想像力。

    これこそが、ヴェルヌの真骨頂だと思います。

    中でも、本書『海底二万海里』の知名度・充実度は、一連の「驚異の旅」の中でも、アタマひとつ抜きん出ているのではないでしょうか? 

    潜水艦ノーチラス号と行く、七つの海の「海底」の旅。
    驚異の大旅行の水先案内人は、かの有名なネモ艦長!

    海底火山の噴火、サメの襲撃、氷山にとじこめられて危機一髪、大ダコとの死闘、そして軍艦との戦闘……。
    ――控えめにいって、「最高」です!

    作者ヴェルヌは、
    「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
    という名言を残しました。

    ノーチラス号の「動力」は電気なんですが、
    この本が書かれた当時、電気は発明されたばかりで、エネルギーとしては石炭より弱かったそうです。

    この本の中では、電気を起こすためのエネルギーを「海から調達している」というのです。

    ロマンがありますよね。
    このあたりが、空想科学小説の楽しさです。

    そして、電気で動く潜水艦も、いまや現実のものになっている……。

    感慨深いですね。


    ここで、ちょっとマニアックな話を。

    無人島モノに、持ち物を紹介してあるページがありますよね。
    ロビンソンや十五少年が、難破船の中から何を持ち出したか?

    ……そういうのを、私は「持ち物ズラズラリスト」と呼んでいます(笑)。

    そういう「ズラズラリスト」が大好物だった私としては、ノーチラス号の収納物に興味津々だったことを申し添えておきます。

    図書室には、科学や哲学、文学など、1万2千冊の本。
    絵画や彫刻、標本など、自然・芸術のコレクションもあり、

    これは潜水艦というより、図書館、博物館、美術館……。

    豪華絢爛にもほどがある!

    あ、艦内にはパイプオルガンも設置されていて、クラシック音楽の楽譜も常備されているというのですから……(うっとり)

    こんな豪華客船の旅、憧れますよね。

    7泊8日くらいの添乗員さん付きのツアーガイド(安全保証付き)があったら、ぜひ申し込みたいところです!

    ネモ艦長のように、「地上には戻らない覚悟」は持てませんが。


    さて、名作中の名作なので、いろいろな出版社から刊行されていますが、私の個人的なおすすめは「福音館古典童話シリーズ」です。

    重厚な翻訳も素晴らしいですが、復刻された原書の銅版画がオシャレなんです!

    そして、やはり、謎めいたあの人のことは「ネモ艦長」と呼びたい。

    実は「ネモ船長」と表記する本の方が多いですし、どちらが間違っているというわけではないのですが……

    やっぱり、「潜水艦」ノーチラス号ですからね。
    私は「艦長」の方がしっくりくるのです。

    「潜水船」ならいいですが。

    いや、それはノーチラス号のイメージと合わない……

    ちなみに、「ノーチラス」とは、ギリシア語で船員・船舶を、
    ラテン語でオウムガイを意味する言葉です。

    そして、「ネモ」は、ラテン語で「誰でもない」を意味する「nemo」から採られているそうです。


    ところで……

    みなさんも、おそらくご存知のように、この本、出版社によって、
    「二万里」「二万海里」「二万マイル」「二万リーグ」…と、題名だけでも、いろいろに訳されているんですね。

    単位が違うってことは、ぜんぜん距離が変わってくるんですが、それは大丈夫なんでしょうか(笑)。

    福音館は「海里」を採用しています。

    原書(フランス語)のタイトルは、
    『Vingt Mille Lieues Sous Les Mers』(海底二万リュー)です。

    英語でのタイトルも、上記の直訳、『Twenty Thousand Leagues Under the Sea』(海底二万リーグ)。

    ところが、最初に翻訳したとき、「リュー」や「リーグ」では意味が伝わらないと考えたため、『海底六万哩(マイル)』と単位をマイルに変更、それにあわせて距離も「6万」に換算したタイトルがつけられたのですが、その後、原題の「二万」が活かされるようになって、『海底二万マイル』という題名が広まりました。

    実は、原題で使われている単位「リュー」に一番近いのは「里」なんです。

    だから、本来は『海底二万里』という日本語タイトルにするのが一番いいのかもしれません。

    「リュー」と「里」。
    なんか似てますしね。

    ちなみに、「里」・「海里」・「マイル」・「リーグ」では、実際の距離はどれくらい違うのでしょうか。

    まず、1里は 約4 kmなので、
    二万里は、約80,000 kmです。
    (「リュー」でも、ほぼ同じ)

    次に、1海里=1.852 km なので
    二万海里は、 約37,040 km。

    最後に、1マイル=約1.609 km なので
    二万マイルは、約32,000 km。

    なるほど、なるほど。
    全然違いますね(笑)。

    なので、原題になるべく合わせるなら
    『海底二万里』というタイトルが正確で、
    他の2つは「半分以下」しかない、ということになります。

    まぁ、「大航海の距離」としては誤差の範囲、ということにしておきましょう。(誤差、デカいな……)


    ここからは、改めて、児童書として出版されている『海底二万海里/里/マイル/リーグ』を紹介していきます。

    まずは、先ほど紹介した「福音館古典童話シリーズ」。

    単位は「海里」。
    作者名は「ベルヌ」。
    ネモは「艦長」。


    次、「岩波少年文庫」版。

    単位は「里」。
    作者名は「ヴェルヌ」。
    ネモは「船長」。


    「講談社青い鳥文庫」版。

    単位は「マイル」。
    作者名は「ベルヌ」。
    ネモは「艦長」。


    「角川つばさ文庫」版。

    単位は「マイル」。
    作者名は「ベルヌ」。
    ネモは「船長」。

    ところで、角川つばさ文庫はイラストが今風なのが特徴。
    本書も、表紙の2人のうち、どちらかが「ネモ船長」だって信じられますか?
    ……にわかには信じがたし(笑)


    最後に……
    「リーグ」表記の代表として、1972年刊行の古い本を見つけました。
    なつかしの「少年少女世界SF文学全集」版。

    この表紙、すっごく見覚えがあるので、
    私が小学生の頃、一番最初に読んだ本はこれかもしれません……

    今回の記事を書いて、封印されていた記憶の扉が少し開きました(笑)。


    さて、今回の「配本」、いかがでしたでしょうか。
    あなたも、自分にぴったりの「マイ海底旅行」を探してみてくださいね。

    あなたの心に、冒険の火が灯りますように🔥


    <関連note>
    本書の続編『神秘の島』をご紹介。


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    関西在住。1級FP、独立系司書。50代でFIREを達成し、 何があっても「この先、生きのころー!」をテーマに 自称「マルチ・ポテンシャライター」(多趣味ライター 的な造語)として活動。今まで読んだ5000冊以上の本 から生まれたアイデアをもとに、童心で楽しむ日常 や創作を発信中。

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