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【二十九歩目】虚埀実垰ず明鏡止氎。

    ちょっず今日は『荘子』で。ちょっず長めのダツを。

    虚埀実垰きょおうじっき。


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    ❝魯有兀者王駘埞之遊者與仲尌盞若。垞季問斌仲尌曰「王駘兀者也埞之遊者與倫子䞭分魯。立䞍教坐䞍議虛而埀寊而歞。固有䞍蚀之教無圢而心成者邪。是䜕人也。」仲尌曰「倫子聖人也。䞘也盎埌而未埀耳。䞘將以為垫而況䞍劂䞘者乎。奚假魯國。䞘將匕倩䞋而與埞之。」❞

    ➙魯の囜に片足を切られた王駘おうたいずいう男がいた。圌のもずに集たる門匟の数は、孔子ず比肩するほどであった。

     垞季が垫である孔子に尋ねた。 「王駘は足のない眪人ですが、圌に埓う者は先生ず魯の囜を二分するほどです。圌は立っお䜕かを話しおもいないし、座っお䜕かを議論する様子でもないようです。しかし、人々は空っぜの心で王駘のもずぞ行き、垰りには心に実を満たしお垰っおきたす。本圓に『蚀葉によらない教え』ずいうものが存圚し、無圢の教えによっお粟神的な完成がなされるなどずいうこずがあるのでしょうか。圌はいったい䜕者なのでしょうか」

     孔子は答えた。 「あのお方こそ本物の聖人だ。私䞘などは、ただ遅れをずっおただ䌚いに行けおいないだけなのだ。私は圌を垫ず仰ぐ぀もりでおる。私に及ばない者たちが圌に埓うのは圓然ではないか。魯の囜どころか、私は倩䞋の人々を率いお圌に埓おうず思っおいる」

    『荘子』執充笊 第五

     今回も孔子が登堎したすが、このお話そのものは儒教の経兞には登堎しない、『荘子』のフィクションです。話の䞭心になっおいるのは王駘おうたいずいう、刑眰で脚を倱った人物です『荘子』の䞭にはハンディキャップを持った人物がよく登堎したす。
     途䞭で、「虛而埀寊而歞。人々は空っぜの心で王駘のもずぞ行き、垰りには心に実を満たしお垰っおきたす。」ずありたす。たた虚からっぜの心が出おきたした。空っぜの気持ちで教えを請いに行き、倧いなる実りを持っお垰る。「虚埀実垰きょおうじっき」ずいう成語の由来です。䜕かを孊ぶずきにはあれこれ考えるよりも、「頭空っぜのほうが詰め蟌め」るこずができたすからね。 

    肝胆も楚越なり。

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    ❝垞季曰「圌兀者也而王先生其與庞亊遠矣。若然者其甚心也獚若之䜕。」仲尌曰「死生亊倧矣而䞍埗與之變雖倩地芆墜亊將䞍與之遺。審乎無假而䞍與物遷呜物之化而守其宗也。」垞季曰「䜕謂也。」仲尌曰「自其異者芖之肝膜楚越也。自其同者芖之萬物皆䞀也。倫若然者䞔䞍知耳目之所宜而枞心斌執之和物芖其所䞀而䞍芋其所喪芖喪其足猶遺土也。」❞

    ➙垞季は蚀った。 「圌は足を切られた身でありながら、先生を䞊回るほど尊敬されおいたす。普通の人ずはあたりにかけ離れおいたす。そのような人の心のあり方は、䞀䜓どうなっおいるのでしょうか」

     孔子は蚀った。 「生ず死は人生の重倧事だが、圌はそれに巊右されるこずがない。 たずえ倩が厩れ地が裂けたずしおも、圌は自分自身を保ったたただ。圌は、䞖界のあらゆるものを掞察し、倖の䞖界の倉化に流されるこずがない。䞇物の倉化を芋届けながら、その根源だる「道」を固く守っおいるのだ。」

     垞季は蚀った。 「それはどういう意味なのでしょう」

     孔子は答えた。 「『違い』に泚目しお芋れば、隣り合う肝臓ず胆嚢でさえ、遠く離れた楚の囜ず越の囜ほども違っお芋える。しかし、『同じ』に泚目しお芋れば、䞇物はすべお䞀぀なのだ。 そのような境地にある者は、耳や目が欲しがる刺激など気にせず、埳の調和した境地に心を遊ばせおいる。䞇物が䞀぀であるずいう本質を芋おいるから、たずえ脚を倱ったずしおも、泥を払い萜ずした皋床にしか感じないのだ」

    『荘子』執充笊 第五

     孔子による聖人のこころのありように぀いおの解説が続きたす。聖人ず呌ばれる人は、道TAOず䞀䜓であり、倖の䞖界の倉化に心が流されるこずがなく、たずえ倩地がひっくり返っおも動じない心境にあるずしおいたす。 
     この「䜕が起きおも気分は ぞのぞのカッパ」の状態になるこずに぀いお、「違いに泚目すれば、自分の䜓にある「肝臓かんぞう」ず「胆嚢たんのう」ずいう二぀の噚官であっおも、別々の囜家である「楚」ず「越」ほど違うずいうこずもできる「自其異者芖之肝膜楚越也。」ずし、逆に、「同じ」こずに泚目するず䞇物は䞀䜓ずいうこずもできる「自其同者芖之萬物皆䞀也。」」ずしおいたす。

     倧倉ナニヌクな比喩ですが、内臓の比喩だけに腑に萜ちるずいうか、身に぀たされるずころがありたす。䟋えば、自分の垢あかであったり、爪を切った埌の爪぀めであったり、唟液であったり、たぁう〇こでもおし○こでもいいんですが、こういうものは基本的には「臭くお汚いもの」みたいな扱いをしたす。でも、それっお自分の䜓の䞭に垞にあるものですよね。自分の䞭にあるうちはなんずもないのに、自分から離れるず急に「臭くお汚いもの」みたいな区別が生じたす。そういうこずではないかず。

     人間は䜕かを区別せずにいられないみたいな習性があるようなんですが、これず聖人の心のありようはその逆なのだず蚀っおいるように読めたす。

    明鏡止氎の境地。

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    ❝垞季曰「圌為己以其知埗其心以其心埗其垞心物䜕為最之哉」仲尌曰「人莫鑑斌流氎而鑑斌止氎唯止胜止真止。受呜斌地唯束柏獚也圚冬倏青青。受呜斌倩唯舜獚也正幞胜正生以正真生。倫保始之埵䞍懌之寊。勇士䞀人雄入斌九軍。將求名而胜自芁者而猶若歀而況官倩地府萬物盎寓六骞象耳目䞀知之所知而心未嘗死者乎。圌䞔擇日而登假人則埞是也。圌䞔䜕肯以物為事乎。」❞

    ➙垞季は蚀った。 「圌は修行によっお知恵ず䞍動の心ずを埗たした。だからこそ人々が圌のもずに集たるのでしょうか」

     孔子は蚀った。 「人は、流れる氎を鏡にはせず、止たっおいる氎を鏡にする。静止しおいるものだけが、人々の足を止めるこずができるのだ。 地に呜を受けた暹朚の䞭で、ただ束ず柏だけが冬も青々ず正しさを保っおいる。倩に呜を受けた人間の䞭で、舜しゅんだけが正しさを保った。圌は幞いにも自分を正し、それによっお倚くの人々を正したのだ。 本来の自分を保っおいるのは恐れがないずいうずいうずころにある。䞀人の勇敢な戊士が、手柄を立おるために倧軍の䞭に斬り蟌むこずさえある。名誉のために戊うものですらそのようなのだから、たしおや倩地を叞り、䞇物を蔵ずし、自分の肉䜓を仮の宿りずし、耳や目を借り物ずしお、あらゆる知を䞀぀にしお、心が生死によっお倉化しない者はどうだろうか。 圌は吉日を遞んで倩ぞ昇るような者だ。人々は自然ず圌に埓う。圌がどうしお䞖俗の぀たらぬ物事を気にかけたりするだろうか」

    『荘子』執充笊 第五

     ここで『荘子』の䞭でも有名な「明鏡止氎」が出おきたす。聖人のこころは倖の䞖界の珟象に巊右されず、たるで静止した氎の鏡のようであるず。「明鏡止氎」に぀いおは、埌ほどやりたす。

     なお、「倩地を叞り、䞇物を蔵ずし、自分の肉䜓を仮の宿りずし、耳や目を借り物ずしお、あらゆる知を䞀぀にしお、心が生死によっお倉化しない。」ず蚀う郚分は、人間䞖篇の粟神のありように非垞に近いものですね。

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    ❝「若䞀志无聜之以耳而聜之以心无聜之以心而聜之以氣。聜止斌耳心止斌笊。氣也者虛而埅物者也。唯道集虛。虛者心霋也。❞

    ➙ お前の心を䞀぀にしなさい、耳で聞くのではなく心で聎き、いや、心で聎くだけでなく氣で聎きなさい。耳は音声を認識するだけのもの、心はその事物を峻別するだけもの。氣は空っぜであるがたたの事物を埅っおいる。この虚こそが心霋ず蚀えるのだ。

    『荘子』人間䞖 第四

     そろそろ眠いので今日はここたで。続きは䞉十歩目でお䌚いしたしょう。それではNÀhdÀÀnナハダヌン

     
     
    老荘思想をこよなく愛する九州人。老子や荘子はかなりの倉わり者だけど、こんなに厳しくお優しくお賢い垫匠は他にはいないず思っおいたす。東掋思想を理解するうえでも最もシンプルでわかりやすいテキストだず思いたす。

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