
Blender×AIで指の動きを作る。たった5秒に何時間もかかった話
どうも、久我レイジです。
指を自然に動かす。
たったそれだけのことに、何時間も費やしています。
現在制作中のメタバースドラマ『記録にない君』。最近はBlenderを使って、キャラクターの細かな動きを作っています。
劇場版アニメーションのような映像表現を目指して、表情や視線、身体の動きなどを一つずつ調整しているのですが……。
これが、なかなか思うようにいかない(笑)
特に今、苦労しているのが「指の動き」です。
指を曲げる。物に触れる。服をつまむ。
人間なら何も考えずにできる動作なのに、3Dキャラクターで再現しようとすると、とんでもなく難しい。
人間の指って、こんなに複雑だったのか

人間の指って、こんなに複雑だったのか
今取り組んでいるのは、ヒロインのユイが涙を拭う約5秒間のシーンです。
目元にそっと手を伸ばし、指先で涙を拭う。文章にすれば、たったこれだけの動作なんです。
ところが、実際にBlenderで動かしてみると、これが想像以上に難しい。
指の向きがおかしくなったり、指の形がぐちゃぐちゃに崩れてしまったり。ようやく形が整ったと思っても、今度は動きがぎこちない。
特に、指先が目元に触れるまでの動きや、涙を拭うときの自然な仕草を再現するのが難しいんですよね。
AIに修正をお願いしても、なかなか思い描いた動きにならない。
何度も修正して、そのたびに映像を確認する。
いや、指を自然に動かすだけで、こんなに時間がかかるものなのかと(笑)
普段は何も意識せずに動かしている指先。それを3Dキャラクターで自然に再現することが、これほど難しいとは。
Blenderを使って、改めて思い知らされています。
AIに任せれば簡単だと思っていた

今回の制作では、AIにもかなり協力してもらっています。
BlenderのPythonスクリプトをAIに作ってもらい、アニメーションを調整するという方法です。
最初はClaude Opus 5.5を使って、何度も修正を繰り返していました。ところが、なかなか理想の動きにならない。指の向きを直したつもりが、今度は別の部分がおかしくなる。形を整えても、動かしてみると不自然さが残っている。

修正して、確認して、また修正して……。
これを何度繰り返したことか(笑)
さすがに何度も修正していると、これはもう難しいのかなと思い始めます。
そこで、試しにAstraにも同じ課題を投げてみたんです。
すると、わずか2回ほどの修正で、かなり自然な動きに近づいた。
いや、そんなに変わるのかと(笑)

もちろん、これだけでAstraの方が優秀だとは言えません。
これは同じ条件で比較した結果ではありません。Opus 5.5で何度も試行錯誤したあとだったので、問題点が整理されていたことも大きいと思います。
ただ、一つ感じたことがあります。
AIによって、同じ課題でも結果が変わることがある。
一つのAIでうまくいかないからといって、そこで諦める必要はないんですよね。複数のAIを使い分けることの大切さを、改めて実感しました。
たった5秒でも、そこには感情がある

そもそも、なぜ僕がここまで細かな動きにこだわるのか。
それは、単にキャラクターを自然に動かしたいからではありません。今回のユイのシーンには、言葉では説明しない感情があります。
振り返るまでのわずかなためらい。
相手に向ける視線。そして、胸元に触れる指先。
こうした小さな仕草によって、キャラクターの気持ちを伝えたいんです。
例えば、同じ振り返る動作でも、勢いよく振り返るのと、一瞬ためらってから振り返るのでは、受ける印象がまったく違います。
これは実写ドラマでも同じですよね。役者さんの何気ない仕草が、セリフ以上に感情を伝えることがあります。
僕はそれを、メタバースのキャラクターでも実現したい。だからこそ、指先の動き一つにも意味があると思っています。
AIは万能じゃない。でも、可能性は感じている

現在の制作では、clusterでの撮影を中心にしながら、Blenderで細かな演技や映像表現を補完する方法を模索しています。
顔の陰影を美しく見せる専用シェーダーや、2.5D背景を使った映画的な演出など、並行して検証している技術もあります。
正直、覚えることが多すぎます(笑)
それでも、少しずつ表現できることが増えているのは確かです。
今回の指の制御でも、AIに任せればすぐに完成すると思っていた作業が、想像以上に難しかった。でも、AIモデルを切り替えたことで、なかなか進まなかった部分に改善が見られました。これって、結構大きな発見だと思うんです。
AIを使った映像制作は、確かに以前よりもできることが増えました。
でも、それは必ずしも、すべての作業が簡単になったという意味ではないんですよね。
むしろ、これまで手が届かなかった表現に挑戦できるようになったからこそ、新しい難しさに直面している気がします。
大切なのは、どのAIが一番優秀なのかではなく、自分が作りたいものに対して、どのAIが力を発揮してくれるのか。
これからのAI活用では、そんな視点がますます重要になるのかもしれません。とはいえ、まだ指先との格闘は終わっていません。
AIを変えても、最後に動きを決めるのは僕自身。
さて、今日もBlenderに戻ります。
今度こそ、自然に動いてくれよ(笑)
こちらもおすすめ!