
背骨とトラウマ ──背骨は、過去を覚えている
トラウマは、
心だけに残るものではない。
身体の緊張や、
呼吸の浅さや、
姿勢のクセとして現れることがある。
トラウマという言葉のイメージは、
大きな出来事や体験、
強烈な記憶を思い浮かべるかもしれない。
けれど身体の視点から見ると、
それは出来事そのものよりも、
そのとき身体がどう反応し、
その反応がどれだけ長く残っているか。
そこに現れることがある。
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ポリヴェーガル理論では、
人の神経系は、
安全を感じているときと、
危険を感じているときで、
違う反応をすると考えられている。
安心しているとき、
呼吸は深くなり、
表情はやわらぎ、
人とのつながりも感じやすくなる。
反対に、
危険を感じると、
身体は瞬時に身を守ろうとする。
闘う。
逃げる。
固まる。
そうした防御反応が、自律神経の状態と
深く関わっていると考えられている。
胸が閉じる。
背中が丸まる。
腰が固まる。
呼吸が浅くなる。
目線が下がる。
声が出にくくなる。
これらは単なる性格ではなく、
神経が覚えている反応かもしれない。
その時に、その人特有の癖が浮き彫りになる。
いわば、
身体に残った、
無意識の履歴のようなものだ。
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背骨は、
過去に身体が経験してきた反応を映し出す、
無言の詩人のような場所でもある。
恐怖を感じたとき、
身体は一瞬で身を守ろうとする。
筋肉はこわばり、
呼吸は浅くなり、
背骨の動きも小さくなる。
その状態が長く続くと、
緊張の“形”が、
姿勢として残っていくことがある。
でもそれは、
弱さではない。
あなたが、
ここまで生き延びてきた証でもある。
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だから、
無理に姿勢を正そうとしなくていい。
いきなり胸を張らなくていい。
「ちゃんとしよう」としすぎなくていい。
まず必要なのは、
身体が安全を感じられること。
呼吸。
小さな動き。
安心できる触れ方。
急がない時間。
そうしたものを通して、
背骨の波が少しずつほどけるとき、
身体の奥に残っていた記憶が、
静かにゆるみはじめる瞬間がある。
無理に変えようとしなくても、
責めなくていい。
ただ、
背骨にそっと意識を向けてみる。
今日の一日一呼吸。
ただ、
背骨にそっと意識を向けてみる。
あなたの背骨は、
今日、何を語っているだろうか。