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呼吸が、呼吸しはじめる瞬間。



    静かに、深く。
    意識が内側へ沈んでいくとき、
    体は、言葉よりも正確に「いま」を語りはじめる。


    最初は、
    ほとんど意味がわからないのは
    心ここに在らず、だから。

    けれど、
    呼吸が少しずつ体をほどいていくにつれて、
    素直さが戻ってくる。

    ずっと忘れていた何かを、
    体が捉えはじめる。

    隠れていた緊張に気づきはじめると、
    意識が細部まで届くようになる。

    これまで把握できていなかった体の領域が、
    少しずつ拡張していく。

    あったのに観えなかったものが、
    観えはじめる。

    曖昧だったものが、
    少しずつ明確になる。

    呼吸が体の隅々まで届くほど、
    体は静かに応えていく。

    「体が呼吸する」という言葉の意味を、
    理解としてではなく、体感として知る瞬間。

    それが、
    体で考えることのはじまりなのだと思う。

    エネルギーが伝わり、
    細胞ひとつひとつが応答する。

    意識と重心が、
    真ん中へ集まっていく。

    分散していたものが密度を増し、
    芯が少しずつ太くなっていく。

    やがて、
    体の奥に響くような感覚が生まれはじめる。

    動き自体は地味なのに、
    集中が途切れそうなほど消耗する。

    でもその消耗の奥に、
    ただの疲れとは違う静けさがある。

    疲労とリラックスのあいだで、
    ふいに訪れる、深く心地よい微睡み。

    それは、
    意識の深い場所に触れたときに起きる反応に近い。

    ワークの終わりに訪れる静けさの中、
    体の内側から──

    呼吸が、呼吸をはじめる。

    その音色が、
    ようやく聴こえてくる。

    ⸻

     
     
    呼吸と身体の専門家|臨床もうすぐ30年 身体を通して、人生の見え方を変える。 呼吸・感覚・無意識から、自分の主導権を取り戻すためのnote。 初めての方へ ▶ 身体を知るための3つの入口 https://note.com/labo402/m/m921dacd5f7fa

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