
👻 GHOST HOTEL― 今夜は、空室ございます。―
丘の上に建つ、大きなホテル。

さっきまで遠くに見えていたはずなのに、
歩いても。
歩いても。
なぜか全然近づかない。
「……遠くないかにゃ?」
しれネコが立ち止まった。
しろくまもホテルを見上げる。
「さっきから同じくらいの大きさに見えますね」
「歩いてるにゃ。」
「歩いてます。」
「なのに着かないにゃ。」
「帰ります?」
「それはイヤにゃ。」
「どうしてです?」
しれネコはホテルを指さした。
玄関横の看板。
そこには大きく――
WELCOME
そしてその下に、
FREE COOKIE

「クッキーにゃ。」
「……。」
「無料にゃ。」
「急に元気になりましたね。」
その瞬間だった。
ホテルが、
ズン。
と近くなった。

「…………。」
「…………。」
二人は顔を見合わせた。
「ホテルの方から来たにゃ。」
「便利ですね。」
便利で済ませていいのだろうか。
🏨 見るだけにゃ
ホテルは、近くで見るとさらに大きかった。
何階あるのか分からない。
窓はたくさんあるのに、
明かりがついているのは、ところどころだけ。
一番上の窓では、
白い何かがこちらを見ていた。
「……。」
しれネコが見上げる。
白い何かが手を振った。
しれネコも手を振った。
「知り合いです?」
「知らないにゃ。」
「なんで振り返したんです?」
「振られたからにゃ。」
礼儀だけはいい。
玄関前では、小さなおばけたちが荷物を運んでいる。
ひとつ。
ふたつ。
みっつ。
その中のひとつには、
『SHIRENEKO』
と書いてあった。
「…………。」
しれネコが二度見した。

「しれネコの荷物があるにゃ。」
「荷物、持ってきました?」
「持ってきてないにゃ。」
「じゃあ違うんじゃないですか?」
「SHIRENEKOって書いてあるにゃ!」
小さなおばけは、何事もなかったように荷物をホテルの中へ運んでいった。
「追いかけるにゃ!」
「見るだけじゃなかったんですか?」
「見るだけにゃ!」
そう言いながら、
しれネコはもう階段を上っていた。
見るだけの人は、
だいたい扉を開けない。
🚪 GHOST HOTELへようこそ
ギィィィィィ……。
大きな扉が開く。

「おじゃましますにゃー。」
返事はない。
中には、立派なロビーが広がっていた。
赤いじゅうたん。
大きなシャンデリア。
壁には古い時計。
ふかふかのソファ。
そして、
誰もいない。
「……静かですね。」
「ホテルってこんな感じかにゃ?」
「普通は誰かいます。」
正面にはフロント。
その上に、
小さなベルがひとつ。
🔔
しれネコが近づく。
「これは知ってるにゃ。」
「押すんですか?」
チーン。
……。
何も起こらない。
「留守かにゃ?」
もう一度。
チーン。
……。
やっぱり何も起こらない。
しれネコはベルを見つめた。
チーン。
チーン。
チーンチーンチーンチーン。
「しれネコ!」
チーンチーンチーン。

「押しすぎ💦」
「壊れてるかもしれないにゃ。」
「壊そうとしてるように見えます。」
そのとき。
フロントの下から――
ぬっ。
👻「お待ちしておりました。」
「にゃあああああああ!!!」
しれネコが飛んだ。
お菓子袋も飛んだ。
キャンディーも飛んだ。
しろくまは一個拾った。
「落ちたよ。」
「そこじゃないにゃ!!」
👻 ご予約のお名前をどうぞ
フロントに現れたのは、
蝶ネクタイをした半透明のおばけだった。
👻「ようこそ、GHOST HOTELへ。」
「びっくりさせるなにゃ!」
👻「申し訳ございません。」
「心臓止まるかと思ったにゃ!」
👻「その場合も対応しております。」
「何の対応にゃ!?」
しろくまが横から聞いた。
「クッキーはどこですか?」
「そっちも今じゃないにゃ!」
おばけは何事もなかったように帳簿を開いた。
👻「では、ご予約のお名前をどうぞ。」
「予約してないにゃ。」
👻「はい。」
「はい?」
👻「問題ございません。」
「予約してないのに?」
👻「すでに入っておりますので。」
「何がにゃ?」
おばけが、
ゆっくり帳簿を二人の方へ向けた。

📖 宿泊者名簿
そこには三つの名前が書かれていた。
SHIRENEKO
SHIROKUMA
そして――
本日の来園者
「…………。」
しれネコが帳簿を見る。
しろくまも見る。
そして、
こちらを見る。
🐱「……来園者って。」
🐻❄️「もしかして。」
👻「はい。」
おばけが、
にっこり笑った。
👻「今、これを読んでいるあなたです。」
ちょっと待ってください。
あなたは、
ランドへ遊びに来ただけだったはずです。
ホテルに泊まるとは、
一言も言っていません。
しかし。
帳簿には、
しっかりあなたの欄があります。
しかも――
チェックイン済み。
🐱「勝手にチェックインされてるにゃ!」
🐻❄️「便利ですね。」
🐱「便利じゃないにゃ!」
🔑 お部屋をお選びください
おばけはフロントの下から、
三本の鍵を取り出した。

カチャ。
一本目。
🔑 103
オレンジ色の鍵。
どこからか、
「あははははは!」
という楽しそうな笑い声が聞こえる。
👻「笑い声のするお部屋でございます。」
🐱「楽しそうにゃ。」
👻「そうですね。」
「……今の間は何にゃ。」
カチャ。
二本目。
🔑 404
青色の鍵。
でも――
鍵を置いたはずなのに、
一瞬目を離すと、
ない。
「……鍵、消えたにゃ。」
👻「404号室でございます。」
「鍵どこにゃ?」
👻「見つかりません。」
「部屋は?」
👻「見つかりません。」
「じゃあどうやって行くにゃ!?」
👻「それを探していただきます。」
「ホテル側が探すやつじゃないのかにゃ!?」
そして最後。
おばけが、
やけに慎重に三本目を置いた。
カチャ……。
🔑 666
紫の鍵。
札がついている。
『絶対に開けないでください』
「…………。」
しれネコが鍵を見る。
しろくまが鍵を見る。
あなたも見る。
👻「こちらだけは、絶対に開けないでください。」
🐱「なるほどにゃ。」
しれネコが鍵へ手を伸ばす。
🐻❄️「もう触ってます。」
👻「まだ説明中です。」
🐱「開けるなって言われると――」
👻「言わなくて結構です。」
🐱「開けたくなるにゃ。」
👻「知っております。」
どうやら、
このホテル。
客の扱いに慣れている。

👻 あなたのお部屋は、どこ?
おばけが三本の鍵を並べた。

ここから先は、
しれネコではなく――
あなたが選びます。
🔑 103号室
笑い声のする部屋
扉の向こうから、ずっと笑い声が聞こえています。
何がそんなに面白いのでしょう。
▶ 103号室へ行ってみる
(下のイラストをクリックして、いってらっしゃいませ)

🔑 404号室
見つからない部屋
鍵はあります。
たぶん。
問題は――
部屋がありません。
▶ 404号室を探す
(下のイラストをクリックしていってらっしゃいませ)

🔑 666号室
絶対に開けてはいけない部屋
説明はひとつだけ。
開けないでください。
以上です。
▶ 666号室を開ける
(下のイラストをクリックして、行ってらっしゃいませ)

🐱「どれにするにゃ?」
🐻❄️「普通のお部屋はないんですか?」
👻「ございますよ。」
二人が振り返る。
👻「101号室です。」
🐱「じゃあそこにするにゃ!」
👻「本日は満室です。」
🐱「なんで紹介したにゃ!!」
さて。
あなたは、どの鍵を取りますか? 🎃👻🔑
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