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「サルに恋する秒前」1「サルの圌女はストレむシヌプ恋の迷子」

    「あらすじ」
    サルに䌌た画家、悟流サトルに恋する23歳の恋の初心者、くるみがヒロむン。
    悟流の藝倧の同玚生で芪友の画家の柿本最平カッキヌ、悟流の恋人で矎女のあおい、東倧将棋郚䞻将の経歎でむケメンの鈎村朔、二十代の男女5人の恋愛小説。
    心理を䞁寧に描いたラブコメ颚。

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    桜野くるみ23歳は䌚瀟垰り、画廊に通っおいる。
    朚山悟流サトルの描いた情熱的な絵に魅了されおしたった。


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    自画像の森のサル䌌の男の絵は、くるみの1番のお気に入りだ。

    顔銎染みになった画廊の髭のオヌナヌに、朚山悟流の写真を芋せおもらったら、サルにそっくりで愛嬌のある笑顔に恋しおしたった。

    「オヌナヌ、今日も朚山悟流の゚ピ゜ヌド聞かせお」

    ✹✹✹

    25歳のあおいは、姉の緑子40歳ずマンションで二人暮らし。

    緑子は隠し撮りした䌚瀟の埌茩の写真を、あおいに芋せお玹介したい。

    「東倧卒のホヌプなの。鈎村くん」

    「お姉ちゃん黙っおおごめん。圌氏がいるの」

    「圌氏 サルじゃないよね」

    あおいの目が泳いだ。

    「サルのこず、笑えないお笑い芞人みたいっお蚀っおたじゃん」
    「楜しい圌氏に栌䞊げしちゃった」
    「動物に䟋えたら癟人のうち99人がサルっお蚀うよ」
    「チンパンゞヌずか蚀う人もいるよ」
    「鈎村くんは人気俳優レベルよ。䞀床だけ芋お」
    「嫌だ」
    あおいは逃げた。

    ✹✹✹

    あおいずサルの出䌚い。

    あおいは䌚瀟垰り、公園を抜けお駅ぞ出る。その方が気分が良い。


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    数か月前、あおいは倧阪支瀟から期間限定で東京本瀟に異動になった男ず、恋に萜ちた。
    男が倧阪支瀟に戻る前日、公園を歩いた。

    男は実は劻子持ちだずいうこずを告癜し、逃げるように去った。

    あおいが呆然ずするず、倧朚からスケッチブックを抱えたサルが飛び降りお蚀った。
    「ドンマむ」

    「あなた誰なの」
    「通りすがりの絵描き」

    サルはスケッチブックを芋せた。
    男が倧あくびした絵が描いおある。

    「男はあんな話をする前なのに、この通り」
    「嘘よ」
    あおいは頭にきお歩き去った。

    翌日、䌚瀟垰りのあおいが通るず、スケッチブックを抱えたサルが倧朚から飛び降りた。

    「サルに恋する5秒前🎵」

    サルは1,2,3,4,5ワンツヌスリヌずリズムに乗っお、広末涌子のマゞに恋する5秒前の替え歌で、サルに恋する5秒前を歌っお螊った。

    サルは、ぱっずスケッチブックを芋せた。
    サルが膝たずいお花束を差し出す絵が描いおある。


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    あおいがきょずんずするず、珟実のサルが芝生に膝たずいお、花䞀茪をあおいに差し出した。


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    その花は家の䞀茪挿しに食られた。
    あおいがむか぀くず蚀いながら食ったのだ。

    「サルに5秒で恋するかっおの」

    「サルっお若い男」緑子が聞くず、
    「27歳だっお」
    「なんで幎たで知っおるの」
    あおいは笑っおごたかした。

    あおいはサルず䌚瀟垰りの公園で䜕床も䌚ううち、奜きになった。

    緑子はサルに文句を蚀うため䌚いに行き、モデルになっお欲しいず口説かれ、朚登りモデルになった。

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    ✹✹✹

    悟流は朚に食らい぀く朚登り女、緑子の絵をアパヌトでカンバスに倢䞭になっお描いおいた。

    あおいはふくれっ面をしお、悟流の顔を芋぀めおいる。

    「なに 可愛いんだけど」

    「可愛いんならほっずかないでよ、お姉ちゃんばっかり」

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    悟流はあおいのほっぺの右巊に玠早くキスし、本栌的にキスしようずしたら、ドアベルが鳎った。

    玄関ぞ行くず、
    「おっす。遊びに来たぞ」
    ず明るく元気な声が聞こえた。

    悟流の藝倧時代の同玚生で芪友の柿本最平カッキヌが、筋トレで鍛えた長身の䜓で入っおきた。

    「あおいちゃん来おたんや  ラッキヌやなあ」

    「こんにちは、カッキヌ」

    「あおいちゃんにカッキヌっお呌ばれるずテンションあがるわ」

    悟流はカッキヌを芪友、あおいを恋人ずしお玹介し、䞉人で䜕床か食事した。

    よく喋るお調子者なので、あおいはこの人が芪友ず意倖だった。

    出䌚った時の悟流はお笑い芞人みたいに笑わせおきたが、ロクデナシの男にフラれお傷぀いたあおいを笑顔にしたくおやったこずで、悟流のキャラではない。

    カッキヌをむメヌゞしお、お笑い芞人を挔じたそうだ。

    カッキヌはお寺の次男で、長男が寺を継ぐので自由な身で画家だ。

    「お茶でもいれたすね」
    あおいが垭を立぀ず、「コヌヒヌが飲みたいなあ」カッキヌが声かけた。

    「あおいちゃん埮劙な感じやけど、キスの最䞭やったか」

    よく通る声なので、キッチンのあおいに䞞聞こえだ。
    そしお⋯勘が良すぎる。

    「え、あおいちゃんを描かないの 胞が小さいから」

    あおいはコヌヒヌを運びながら咳払いし、カッキヌを睚んだ。
    「胞が小さいっお、なんの話」

    「 若手画家の登竜門のコンクヌルがあっお、今幎のテヌマは裞䜓画なんや。金賞を取れば立身出䞖が玄束される。悟流、あおいちゃんは描かないっお蚀うから」

    あおいは、そんな話は聞いおない。

    「俺なんおヌヌドになっおくれる圌女もおらんから、先茩画家の玹介でヌヌドモデルを雇ったんや。次の日曜日の十時からやけど、悟流も䞀緒にどうや  実家のアトリ゚」

    あおいは混乱した。
    私を描かないっお決めたのは、モデルのあおがあるんだろうか

    「そろそろ垰るわ。じゃあな」
    喋るだけ喋るず、カッキヌが玄関ぞ行った。
    あおいは忘れ物のゞャケットを枡しに行った。

    カッキヌはあおいを芋぀めた。

    「あおいちゃん。 裞䜓画のコンクヌルは真剣に挑んで勝ち取んなくちゃいけないものやし、応募条件が商業掻動しお五幎以内やから、俺も悟流もラストチャンスなんや。こんなんでやきもちやいたら画家の圌女は぀ずたんないよ」

    「わかっおる」

    「なら、いいんやけど」

    わざず忘れたゞャケットをカッキヌは着た。

    「けど䞍思議やな。俺、圌女があおいちゃんなら絶察描くわ。なんで悟流は描かないんやろう」

    あおいも気になっおいる点だ。
    い぀も悟流のモデルをしおいるのに。

    「悟流に盎接聞いおみたら  それより俺のモデルやらない」

    あおいは悟流の靎を぀かんで、おなかを狙っお投げた。

    カッキヌは玠早く避けお、
    「ヌヌドずは蚀っおないじゃん。じゃあね。キスの続きをどうぞ」  
    ず投げキッスしお垰っお行った。

    隒がしいカッキヌが垰った埌、ギクシャクした雰囲気になった。

    悟流はプロずしお合栌点の絵なら難なく描くけど、勝負をかけた本気の絵は情熱が無いず描けない。

    コンクヌルのモデルにあおいを遞ばないのは、あおいに察しお情熱が薄れたんじゃないか、ずいう疑いがある。

    「カッキヌにモデルやらないかっお、玄関で口説かれちゃった」

    「あい぀はああいうキャラだからな」悟流は笑う。

    やきもちをやかないのはカッキヌを信じおいるのか、あおいを信じおいるのか、情熱が薄れたのか、あおいは䞍安だった。

    ✹✹✹

    日曜日になっお、あおいは倉装をしお、カッキヌの実家お寺の向かいの朚陰に隠れた。
    垜子を目深にかぶっお黒のメンズのカット゜ヌに、ゆるっずしたパンツ姿だ。

    悟流がカッキヌの雇ったモデルの絵を描くのか知りたかった。

    目の前を肉感的な可愛くお色っぜい女性が、歩いお行く。

    圌女はカッキヌの実家のドアベルを鳎らした。
    カッキヌが頭をペコリず䞋げお、䞭に通すのが芋えた。

    悟流が走っお来るのが芋えた。画材甚のリュックを背負っおいる。

    悟流はドアベルを抌し、カッキヌに䞭に招かれた。

    これで、はっきりした。
    悟流はあの肉感的な色っぜい女の子をモデルに描くのだ。
    勝負のかかったコンクヌルで、あおいを倖し、よく知らないあの嚘を遞んだ。

    隠れお芋おいる自分が、愚物のように感じお泣きたくなった。

    電話が鳎った。緑子だ。
    販促むベントなのに䌚瀟のパ゜コンを忘れたので、届けお欲しいず蚀う。

    ✹✹✹

    姉の勀める䌚瀟にあおいは行き、受付で呌び出した。

    チェヌンを党囜に持぀䞀郚䞊堎のスヌパヌマヌケットで、本瀟は郜内で自瀟ビルだ。

    緑子が珟れ、「迷惑かけおごめん タクシヌ代ず食事代ね」
    ずパ゜コンを持っお戻っお行った。

    あおいは甚事がすんで途方に暮れ、ビルの倖ぞ出た。

    「あおいさん」

    振り返るず、人気俳優みたいにカッコよく甘いマスクの男性が、息をはずたせお立っおいた。

    「7階から階段を走っおきたした。䌚えお良かった。鈎村ず申したす」
      
    「あっ、お姉ちゃんが写真を芋せようずした鈎村くん」

    「っおこずは写真を芋おないんですね」

    あおいががおっずしおいるず、鈎村は心配そうに芋぀めた。

    「どうかしたんですか」
    「え」

    「普段のあおいさんを知らないので芋圓違いかもしれたせんが、どうかしたらしく芋えるので」
    「  」
    「良かったら少し話したせんか この先に矊雲っおいう喫茶店があるので埅っおおください」

    鈎村は階段を駆け䞊がった。

    ✹✹✹

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    矊雲であおいがコヌヒヌを飲んでいるず、鈎村はやっお来た。

    「販促むベントなのに倧䞈倫なんですか」

    「䜓調が悪いので早退したすっお䜓育䌚の遞手みたいな元気いい声で䞊叞に蚀っお垰りたした」

    「なんで䜓調悪そうに蚀わないんですか」

    「嘘を挔技しおそれらしく芋せるのは卑怯だず思っおるんで。わかりやすく嘘぀いおたすっお衚珟したわけです。ただ25歳だけど俺、仕事できるんで、いくらでも取り返しおやりたすよ」

    キラキラした鈎村の生呜力が今のあおいには眩しく芋えた。

    鈎村はコヌヒヌをブラックで飲んで、あおいを芋぀めた。

    「真面目に本圓のこず蚀うね」
    急にタメぐちになった。
    「緑子さんが芋せおくれた写真のあおいさんに䞀目がれしたんだ」

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    「隠し撮りに気づいおたけど、緑子さん、あれから効の話をしおこないから、おかしいなっお考えおいた」

    「拒吊されたずは思わなかったんですか」

    「拒吊される遞択肢は無かった」 

    「すごい自信ですね」

    「拒吊された経隓ないので。あ、女性ず付き合った経隓が倚いわけじゃないよ。緑子さんは写真を芋せたがった」

    「マンションの狭い䞭をスマホを持っお远いかけおきたした」

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    「あおいさんは芋たくなかった。おいうこずは圌氏がいる」

    あおいは今の埮劙な状況を思っお、銖を傟げた。

    「圌氏がいた 過去圢」

    あおいは銖を傟げた。

    「埮劙なずころか。それで元気ないのかな」

    あおいは鈎村をき぀く睚んだ。初察面で立ち入り過ぎだ。

    「嫌われそうだから、これ以䞊は聞かない。圌氏がいたら写真も芋ないっおいう真面目な性栌が知れただけで、自分の立堎は耇雑だけど感動しおいる」

    すごくわかりやすく喋る人だな、ずあおいは感心した。
    カッキヌもお調子者だけど、ちゃんず説明しおくれる。
    本音を語っおくれない悟流が憎らしくなった。

    「あおいさん、この埌時間ある ボりリング付き合っおくれない」

    「めちゃくちゃ苊手なの。1ピン、ガヌタヌの繰り返し」

    「俺が教えれば5ピンは倒せるようになるよ」

    「絶察無理よ」

    「やっずタメぐちになった。5ピン倒せなかったら髪を坊䞻にするよ」

    はあ  あおいは呆れた。
    坊䞻にするわけないじゃん。

    「俺は嘘が嫌いなんで本圓に坊䞻にするよ。そのくらい真剣に誘っおる」
    「  」
    「どう この生意気な男を坊䞻にするのも気か晎れるんじゃない」

    「坊䞻頭で出勀できるの」

    「びっくりされるのはせいぜい初芋だけ。人間なんお、他人の無鉄砲にい぀たでも付き合わないよ」

    面癜い人だな、ずあおいは思った。

    ✹✹✹

    あおいはボりリングに぀いお行った。
    鈎村は投げるフォヌムずか角床ずか立ち䜍眮ずか目線ずか指導し、2ゲヌムやっお䞀床もビン倒せなければ髪を坊䞻にするず玄束した。

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    圌を坊䞻頭にするのは気の毒なので、あおいはアドバむス通り真剣に投げた。

    けれど運動センスも腕力も無く、ボヌルも軜いので勢いが無く、最高で3ピンしか倒せずに終了した。

    鈎村はめちゃくちゃ䞊手くお、ストラむクかスペアだった。

    「垰りに床屋ぞ行く」
    鈎村はショックを隠せない様子だ。
    「指導が䞋手くそだった。俺が悪い」

    あおいは真顔で鈎村を芋぀めた。

    「私ずあなたはもう䌚わないんだから、玄束を守らなくおも私にはわからないです」

    「䌚いたい。どんな圢でも」

    鈎村は鞄から文庫本を取り出しお、あおいの手のひらに乗せた。

    倏目挱石の「䞉四郎」だ。

    「次に䌚えるための小道具ずしお枡しおいる。俺は二床読んだ本なので、感想など蚀い合えたら嬉しい。読たないなら、読んでない報告を盎接聞けたら嬉しい。緑子さんから返されたら、きっぱり諊める」

    真剣な申し出にあおいは戞惑った。

    「奜奇心でいいから、俺が本圓に坊䞻にしたか確認するため、もう䞀床䌚っおほしい」

    「お借りしたす。読むか読たないか盎接返すか、今はお答えしたせん。もう䞀ゲヌムやりたせんか なんかコツを぀かみかけた気がするんで」

    鈎村は喜んで応じた。
    「アドバむスするず逆効果な気がするので黙るね。倒したいっお気持ちで投げお」

    あおいは鈎村が坊䞻頭にならなくおすみたすように、ず願いをこめお投げた。

    よろけたピンに圓たっお他のピンが倒れ、奇跡的に䞀床だけ5ピン倒すこずができた。

    腕を突き䞊げ飛び䞊がっお喜んだ鈎村ず、あおいはハむタッチした。

    ✹✹✹

    悟流はカッキヌの家でヌヌドモデルを描いた埌、お墓参りをしおいた。

    二幎前に亀通事故で亡くなった祖父の呜日だ。

    祖父の奜きな日本酒ずこしあんの最䞭を䟛えお、悟流は手を合わせた。

    あおいずいう玠敵な圌女ず、䞀幎近く付き合っおいるこずを報告した。

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    祖父ずは絵を描く公園で将棋を教えおもらった。

    飛車萜ちで䜕床も負かされお、たたに勝おた時は祖父は悟流の髪の毛をくしゃくしゃにしお、
    「匷くなったな」
    悔しがりながら喜んでくれた。

    悟流は空にいる祖父に芋えるように、倧朚の䞊で今も絵を描いおいる。

    ✹✹✹

    緑子が家に垰るず、あおいが゜ファヌに座っお読曞しおいた。

    「珍しいね。あおいが読曞なんお」
    文庫本の衚玙を芗き蟌む。

    「䞉四郎  䌚瀟の鈎村くんも昌䌑みに読んでいたけど」

    「鈎村くんに借りたの」

    「え」

    「今日、お姉ちゃんの䌚瀟で声かけられたの。ボりリング教えおもらったよ」

    「鈎村くん、䜓調䞍良で早退したすっお倧きな声で蚀っお垰ったけど」

    「嘘をそれらしく挔技したら卑怯だから、嘘ずわかるように蚀ったんだっお。䌚瀟で問題にしないでよ。元気ない私を心配しおくれたんだから」

    「あおい、元気が無かったの」

    「そういう日もあるでしょ」

    あおいはうるさがっおシッシッず手で払った。

    「ストレむシヌプ迷子」
    あおいは呟いた。

    なんかの呪文か

    「カシスオレンゞ飲む」

    あおいのお気に入りのお酒を蚀うず、あおいは「飲む」ず蚀った。

    緑子はカシスオレンゞを持っお行き、悩みを聞き出した。

    裞䜓画のコンクヌルがあり、若手画家の登竜門でラストチャンス。
    悟流はあおいを描かない。
    カッキヌの雇ったヌヌドモデルを描く。䜕も蚀っおくれない。

    「鈎村くんずはたた䌚うの」

    「䌚っお感想ずか喋っおもいいかな」

    ぀たり、あおいは悟流に䞍信感を持ち、鈎村に興味を持っおいるんだ、ず緑子は解釈した。

    ✹✹✹

    ドアベルが鳎り悟流は玄関ぞ行くず、緑子が立っおいた。

    「ちょっず飲たない」 

    緑子は座垃団に座っお、買っおきた猶ビヌルを出した。

    「話があるんでしょ 飲たずに話したい」

    「ストレむシヌプっお知っおる」

    悟流は本棚から倏目挱石の䞉四郎の文庫本を出しおテヌブルに眮いた。

    「迷子っお意味」

    「あおいがそれ読んでストレむシヌプっお呟くの。うちの䌚瀟の鈎村くんが、あおいに本を貞したんだけどね」
    「  」
    「あおい元気ないの。理由わかる」

    「裞䜓画のコンクヌルのこずでしょ」

    「なんであおいを描かないの」

    「想像しおみお。俺があおいちゃんを描いおコンクヌルに出しお、最終遞考に残ったらネットにも画像があがるんだよ」

    緑子はハッずした。

    「たくさんの人の県に裞がさらされお審査員に点数を぀けられおさ。金賞ずっおプロポヌズできるならいいよ。萜遞したら あおいちゃんの人生は」

    「じゃ、あおいのために描かないっおこず」

    「それだけじゃない。自分のためでもある」

    「どういうこず」

    「俺には画家ずしおの矜持がある。それが唯䞀、自信を持っおあおいちゃんを愛せる理由だ。しかし情熱を持っお描きたいあおいちゃんを、描けない自分は画家ずしお倱栌じゃないか  あおいちゃんを描いお確実に金賞をずる自信がないのか  そんな自分の匱さをあおいちゃんに知られたくない」

    緑子はポカヌンずした。
    頭がチカチカする。

    キョりゞずいう蚀葉がわからない。
    正盎ごちゃごちゃしお、半分くらいしか理解できなかった。

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    そう蚀えば䞉四郎も若い時に読んたが、䞻人公の䞉四郎がごちゃごちゃ考えるので、めんどくさくなっお途䞭で投げ出した蚘憶がある。
    ストレむシヌプの堎面たで、たどり着いおない。

    悟流のごちゃごちゃした自意識は眮いずいお、あおいのこずを真面目に考えおくれおいるずわかっお、緑子は姉ずしお嬉しかった。

    「さっき金賞をずったらプロポヌズずか蚀ったけど、賞をずれなかったら結婚しないっおこず」
    「  」
    「なら金賞ずらないず ヌヌドモデルは䞊手に描けたの」

    「知らない人で情熱がわかないから金賞どころのレベルじゃない」

    「私、裞で朚に登ろうか」

    悟流が思わず吹き出した。

    「裞䜓画っお男を描いおもいいの」

    「性別の指定は無いから構わないはず」

    「じゃあカッキヌはどうなの  あおいの話ではお調子者だけど、芋た目は割ずカッコ良いっお聞いたけど」

    「確かにカッキヌは絵になるかもな。背が高くお筋トレで鍛えた䜓で、衚情が豊かで男の色気がある。でもカッキヌはラむバルだからモデルを承知するわけない」

    「銭湯ずか枩泉に誘ったら よぉく芳察しお描いちゃえばいいよ」

    「やっちゃダメでしよ。蚱可もなく」

    「やっちゃえばいいじゃん。私なら描くよ」

    悟流は緑子を芋据えた。

    「それは人ずしおやったらダメです」

    「人ずしお」ダメだしされお緑子は萜ち蟌んだ。

    これたで恋を幟぀かしおフラれたりフラれたりしたのも、「人ずしお」欠萜しおいたんだろうか

    緑子はしょんがりしお垰ろうずしたが、猶ビヌルを腰に手をあおお䞀気に飲んで、猶を぀ぶしお垰った。

    ✹✹✹

    あおいは悟流ず土日に連絡も取らないで過ごし、月曜日の䌚瀟垰り、圌が絵を描く公園の入り口にいた。

    いっそ明るく聞いおみようか。
    カッキヌのモデルを描いたのっお。

    「あおいさん」

    振り向くず、カゞュアルな服装の鈎村がいた。

    「むベントの代䌑だったから、あおいさんず䌚えたらなっお思っお。䌚瀟垰りに公園を通るっお聞いたから」

    あおいはかたたった。

    「ごめん。匕くよね 䞉四郎は読んでたすかっおラむンしたら、途䞭たで読んだっお返信くれたでしょ。感想蚀い合えたらなっお」

    悟流ず鉢合わせになっおしたう。

    「迷惑だよねアポ無しは。俺、なんか焊っおるな。垰るね」
    鈎村は垰ろうずした。

    「埅っお」あおいは呌び止めた。

    やきもちをやかない悟流に、めちゃくちゃカッコ良い鈎村ず䞀緒なのを芋せたらどんな反応をするだろうか。

    「駅たで歩きながら感想蚀う」

    鈎村は喜びを衚情に衚し、あおいず䞊んで歩いた。
    「どこたで読んだの」

    「ストレむシヌプ」

    「あれは矎犰子みねこが䞉四郎を奜きになった日だず思うよ」

    「私は矎犰子に感情移入しちゃった」
    「  」
    「ストレむシヌプの䜙韻にひたっちゃっお、本を読み進めたくなくなったの。自分の答えを埗おから読みたくなっお。倉かな」

    鈎村はあおいをじっず芋぀めた。
    圌女は今、ストレむシヌプ迷子なんだなず思った。

    「俺もよく本を寝かせるんだ。その空間に、自分の思考を育おるこずができる。そんなずころが読曞の玠晎らしいずころでもあるず思う」

    あおいは鈎村ず歩くのが思いのほか楜しくなった。
    第䞀印象では隙のない自信家だず思ったが、意倖ず「すき間」がある人だなず思った。

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    䞊んで歩くうち倧朚のずころぞ行った。

    朚の䞊で絵を描いおいた悟流が、二人を芋䞋ろした。

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    サルみたいな男が朚の䞊から芋䞋ろしおいるのを芋た鈎村は、きょずんずした。

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    サル䌌の男はあおいず芖線を亀わし合っおいた。

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    「お姉ちゃんの䌚瀟の鈎村くん。本の感想を聞きたいっお来たの」

    悟流はするするず朚から降りお、鈎村の前に進み出た。

    鈎村は悟流に名を名乗っお名刺を枡した。

    悟流も名刺を枡し、挚拶した。

    「あおいさんずどんな関係ですか」
    鈎村は悟流を芋据えお切り蟌んだ。

    「どんな関係っお聞かれおるよ」あおいは蚀った。

    「あおいちゃんの知り合いだから、あおいちゃんが答えたら」

    「私の自由にしろっおこず」

    「あおいちゃんは自由だよ」

    「わかった。鈎村くん行こう」

    あおいは歩きながら涙ぐんでいた。
    鈎村が心配しお話しかけられずにいるず、ぱっず二人の前に、悟流がスケッチブックを持っお走っお珟れた。
     
    「䞀枚描かせおくれる」

    悟流は二人を朚の前に立たせおスケッチした。

    あおいは冷静に描く悟流が憎らしくなっお、鈎村の腕に自分の手をからたせた。

    鈎村は驚いおあおいを芋た。
    あおいは悟流を芋おいる。

    「カッコいいですね」
    悟流は鈎村に蚀った。

    「よく蚀われたす」

    「あおいちゃんず絵になるね」

    悟流は色を䜿っお䞁寧に仕䞊げた。
    嫉劬の感情が筆に乗っお、迫力が䞊乗せされた絵を二人に芋せる。

    女が男の腕に手をからめ、男が女の顔を熱く芋぀め、女はこちら画家を熟芖しおいる。
    静かな、しかし凄たじく愛がばらばらに飛び亀っおいる絵だ。

    「凄い絵だな」鈎村は息を吐いた。「幟らですか」

    悟流は絵を匕っ蟌めた。
    「これはスケッチなんで、描いおほしければ正匏に䟝頌しおください。たたね、あおいちゃん」

    悟流は朚に登った。

    あおいは䜕も蚀わず歩き出した。
    鈎村はあおいに寄り添い、公園を駅の方ぞ歩いた。

    ✹✹✹

    暗くなっおきた公園で、悟流はスケッチブックを画材甚のリュックに入れお垰り支床した。
    鈎村がやっお来た。

    「あおいさんず駅で別れたした。䞀人で垰りたいっお蚀われお」

    「それで」

    「あおいさんはストレむシヌプです。意味わかりたすか」

    「䞉四郎。迷子。了解」

    「䜕が了解」

    「圌女の今の状況を理解したずいう意味。それで䜕」

    「さっき描いおもらった絵を正匏に䟝頌したす」

    悟流は呆れたように鈎村を芋぀め、息を匷めに吐いた。

    「朚山悟琉を怜玢したので、絵が安くないこずは知っおいたす。あの絵がどうしおも欲しい」

    「無鉄砲だな。あおいちゃんがストレむシヌプを抜け出しおから䟝頌したら」

    「無鉄砲は芪譲りで」

    「無鉄砲な男に、あおいを枡したくない」

    「描いおくれないわけ」

    「䟝頌したらキャンセルできないよ。もし鈎村くんが振られたら絵はどうするの」

    「買ったものは燃やそうが抌し入れに突っ蟌もうが客の自由でしょ」

    「ああ、そういう性栌か」

    「そっちこそ振られおも絵を仕䞊げるこずができる」

    「描くよ。プロだから」

    「じゃ正匏にお願いしたす」

    「了解。埌で絵の倧きさをメヌルしお」

    鈎村は垰っお行った。

    悟流は草に倧の字にひっくり返った。
    「挑発に乗っおしたった」

    悟流は寝っ転がったたた、空に向けお吠えた。

    「描きたくねえ」

    ✹✹✹

    あおいは悟流ず連絡を取らないたた、次の土曜日になった。

    鈎村からラむンが来たが、

    「矊は倢の䞭を圷埚っおいたす。メ゚メ゚」

    ず曞き、埌は既読無芖した。

    鈎村は每日䞀文ず぀ラむンしおきた。既読無芖した。

    「あの絵を朚山悟琉に正匏に䟝頌したした」
    ず曞いおきた日は思わず返信しかけたが、既読無芖した。

    「お姉ちゃん、ボりリングでも行く」
    あおいが緑子を誘った。

    「わあ久しぶりにあおいずボりリング」緑子は喜んだ。
    「悟流ず䌚わないの」

    「連絡ないから知らない」

    緑子はいそいそず出かける準備をした。お気に入りのレモンむ゚ロヌのワンピヌス。

    緑子が悟流に䌚いに行った時、蚀い合いになり、怒っお垰る緑子に、
    「こういう服が䌌合うず思うよ」ず絵に描いおくれたのず䌌たワンピヌスを芋぀けお買ったのだ。

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    緑子は鏡に自分の姿を映した。

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    よし綺麗。
    鏡に埮笑んだ。

    バッグに携垯を入れようずした時、緑子は考えた。

    おせっかいだけど攟っおおけないのが私だ。

    ✹✹✹

    悟流のスマホの電話が鳎った。
    緑子だ。

    「今からボりリングやろうよ。必ず来おね」
    ボりリング堎の名前を䌝えお切った。

    必ずず蚀うので、あおいず䞀緒なんだろうず悟流は思った。
    あおいず䞀緒だず蚀わないのは、あおいに内緒にしおいるんだろう。

    ✹✹✹

    緑子ずあおいは姉効で久々にボりリングをした。

    あおいはガヌタヌ、1ピン、2ピン。
    「あれ コツがわかんなくなっちゃった」

    䞀ゲヌム目が終わっお、緑子はキョロキョロした。

    「誰か来るの」

    緑子は蚀葉を濁した。
    悟流を呌んだ、ず蚀っお圌が来なかったら、あおいが傷぀くからだ。

    あおいは「私、垰る」ず察しお立ち䞊がった。

    悟流から連絡しおこないのは䌚いたくないのだず、認めざるを埗ない。
    緑子が呌んでも来なければ、もう恋人でもないのかもしれない、ずあおいは哀しくなった。

    その時、悟流がやっお来た。

    悟流は緑子のこずだから自分を呌んだこずは隠せないだろうし、行かなければあおいが傷぀くず読んでいた。

    あおいにゆっくり䞀人で考える時間をあげたかったけど、来るしかない。
    本音はあおいに䌚いたかった。

    匵り詰めた感情を抱えるあおいに、悟流は悪戯っぜく笑った。
    「䞋手くそでびっくりするなよ」

    「私もすごく䞋手くそ。ただ最高で3ピン。私より運動音痎はいないず思う」

    緑子は安定したストラむクを出した。
    あおいは1ピン倒した。

    悟流の番になり、スムヌズに投げた。
    そのフォヌムは緑子には綺麗に芋えた。
    しかし䞀盎線にガヌタヌずなった。

    その調子で緑子はストラむクかスペア、あおいはガヌタヌかピンか2ピン、悟流はガヌタヌを連発しお0点だった。

    あおいが投げる時、緑子は悟流の背䞭をバシッず叩いた。

    「い぀たで道化を挔じる぀もり」

    ゲヌムのラスト、10回が来た。
    あず投だ。

    悟流は綺麗なフォヌムで投げ、ダむナミックにストラむクを出した。

    あおいが驚いおハむタッチしようずしたが、悟流は無芖した。

    次も集䞭しお流れるような動きでストラむクを取った。
    あおいを芋ないでボヌルを取る。
    ラスト䞀球。

    悟流は投げた。3球連続のストラむク。

    垭にいるあおいの前に戻り、䞡手を掲げた。
    あおいも応じお䞡手を出した。

    悟流は真顔であおいの手に思いっきりハむタッチした。
    手が痛くお、あおいは驚く。

    「じゃあね、あおいちゃん」
    悟流は垰っお行った。

    「たたね」ず蚀わなかった。

    「远いかけたら」
    緑子は蚀った。

    あおいは立ち䞊がり、駅ぞ走った。

    ✹✹✹

    駅のホヌムで悟流のアパヌトぞ向かう電車を埅っおいるずラむンが来た。
    鈎村からだ。

    「既読が぀くず嬉しいし哀しい」

    芋ちゃったのでたた既読無芖になる。

    私はずるい、ずあおいは思った。

    電車が来お乗ろうか迷うず、
    「乗らないなら邪魔」ず男の人に突き飛ばされた。
     
    あおいはよろけながら電車を芋送り、反察偎のホヌムぞ走った。
    行く堎所の倉曎。

    あおいは衝動的にそこぞ向かった。  

    お寺の隣の隣にその人の家はある。
    ご䞡芪が建おおくれた家に䞀人暮らしをしおいる。

    男っぜい芋た目に䌌合わず花を愛し、花壇に色ずりどりの花が咲いおいる。

    その人は出お来た。

    昌過ぎたで寝おいたのか、声かけようずするあおいに気づかず、半分くらいしか県を開けおなくお、髪がパンクロッカヌみたいに寝癖で爆発し、しゃがんで金物のゞョヌロにホヌスの氎を入れた。

    スりェットのズボンのゎムがゆるゆるで、しゃがんだ埌ろから䞋着のパンツが芋えおいた。

    その人は眠そうに目をこすりながら立ち䞊がり、あおいを認めた。

    わあ 悲鳎をあげお飛び退いた。
    「あおいちゃん、䜕でや」

    「カッキヌ、来ちゃった」

    カッキヌはゞョヌロを萜ずした。
    ぜちゃんず氎があおいにはねた。

    幎季の入ったペレペレのスりェットの袖口をクンクン臭っお、ダバず叫んで家の䞭にすっこんで行った。

    あおいはゞョヌロを拟っお、花壇に氎をあげた。

    ゞョヌロが空になっお振り返るず、カッキヌがお排萜な普段着を着お戞惑い立っおいた。
    寝癖はピョコンずはねおいる。

    「あおいちゃん。花に氎をあげに来た」

    あおいは笑っお銖を暪に振った。

    「モデルになりに来たんや」

    ヌヌドのむメヌゞがあるので、軜く睚んで銖を暪に振った。

    「じゃあ」
    カッキヌの衚情が切なく䞀倉した。

    い぀もおちゃらけおばかりいるカッキヌが、真剣な県であおいを熱く芋぀める。

    その時、あおいはカッキヌの気持ちに気づいおしたった。

    ストレむシヌプを抜け出すために来たのに、たた新たなストレむシヌプの森に迷い蟌んでしたいそうだ。

    戞惑うあおいに芋぀め返されお、カッキヌは照れおそっぜを向いた。

    「デヌトしに来たんや」

    悟流がカッキヌのこずを男の色気があるず蚀ったが、あおいは今気づいおドキッずした。

    ✹✹✹

    くるみは今日も画廊で悟流の絵を眺める。
    サルに䌌た愛嬌のある悟流の笑顔の写真も芋る。

    (サルに䌚いたいな) 
    くるみは思った。


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    2話に続く


    むラストを描いおくださった方々です。




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    みゆ

     
     
    倪宰治、芥川韍之介の小説から発想した自分流の短線小説。新䜜【小説】3䜜読んでくれた方の䞭でフォロヌ返し。コメント欄は感想をお願いしたす。 埗意分野は思考力ず想像力♪ 将棋ずテニスずコヌラスずコヌヒヌが奜き。気たたにレモンティヌ