
志ん生②
前回までの志ん生
志ん生は側溝に入るのが好きな女だ。それで側溝を辿って東京湾までいったら汚かった。
だから暗渠の中に彼女はフィルターを噛ませた。
フィルターと言っても、シーツだった。
シーツだと水の抵抗が強すぎてだめだった。
スポンジみたいなスカスカのやつじゃないとうまくいかないと志ん生は思ったから、彼女は家の手伝いをした。つまり茶碗洗いだ。それでスポンジを一回だけ使っては暗渠に持って行って捨てた。それが流されて行かないように100均でアミを買ってきて結束バンドで繋いだ。「節約主婦」みたいなのを彼女は昔テレビで見て、そのときはダサいと思ったけれど、こんなところで役に立つとは思わなかった。
そんな処置をしたあとに、彼女は側溝を辿って東京湾を点検したら、なんぼかキレイになってるぽかったように思った。でも何回か側溝を辿るうちにめんどくなってきて、普通の道をチャリで行った。それが小6とかだから、その頃に側溝を歩くクセが治った。
志ん生は中学のとき卓球をしてた。同居してたいとこのおとこおんなふたりとやった。彼ら?は上手かった。性格も親切だし、おとこおんなじゃなかったらけっこうモテてたと彼女は思った。
でも彼女ら?はお互いに愛し合っていた。
どっちが男役で女役なんだろ、と志ん生は思ったけれど、そこまでは聞かなかった。やらしいと思われたらなんかやだった。
でも、志ん生は他の人というか、クラスメイトとかにはゲスい感じだった。彼女ら?は親切&丁寧だから、ゲスい感じに扱ったら嫌がられるかなって思った。
その頃爆発した。
つまり、その日が所謂Xデーだった。
志ん生はその日、焼け野原を歩いた。そこは後でわかるんだけれど、除草剤が撒かれていたから焼け野原風になっていただけで、正確には焼け野原じゃなかった。
でも世界は、特に日本はご存知の通りになった。ご存知の通り、パソコン通信も途絶えたし、犬の散歩も控えるようになった。しばらく家で風呂掃除もしないで呆然としてた。ご存知の通りな薄緑になってしまった空を、志ん生は中三の9月24日から今日まで、私(志ん生)は見ている。
つづく