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『好奇心は旅のはじまり』

    ■衝動はまだ、肚の中に

        平日の朝の出勤時。「このまま会社じゃなくて、どこか遠くへ行ってしまいたい」
        会社員なら誰しも一度は過ったことがあるのではないかと思う。西武池袋線 池袋駅から朝の7時半に特急Laviewに乗れば、9時前には秩父に着く。上り列車の混雑を逆走する形だ。

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    Laviewで食べた、あんこネキのための
    たんぱく質ランチボックス
    手前は鬼のように硬いローストポーク
    オレンジカップは炊いたあんこダイレクトイン

        まずは西武秩父駅から秩父鉄道を1つ北上し、秩父駅で降り別件を済ませる。正直歩いた方が早かったように思うがそれもまた良し。旅の提案は友人からで、彼女は通称〝あんこネキ〟。あんこが好きで、あんこをそのまま食べてるから。彼女が宝登山に咲く蝋梅を観たいというので2026年2月にこの地へ。後にここから約9ヶ月に渡る巡礼を共にすることになる。

        そして私たちは次の目的地である長瀞に向かうため、再度秩父駅へ。そこからは20分程度で着くはずだったが、お喋りに夢中な私たちはまた御花畑駅に戻ってしまい、それを更に通過して初めて逆方向に乗ってしまったことに気づく。

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    原因は御花畑駅で
    同一ホームに別方面の列車が
    発着していたこと

        まぁそんな事もあるか〜と、次の影森駅で折り返すことに。誰も居ない影森ホームに立つ駅員さんに念のため確認し、反対ホームの電車へ。乗り間違えなかったら、きっと人生で影森の駅員さんと会話することはなかったねと言い合う。そして今度は影森駅から長瀞駅に向かう。その車中で私たちはあまりにも見慣れないものを目にする。

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    秩父駅のホームで撮っていた残雪ピラミッド
    この時はギザギザにさほど気づかず

    ■秩父ピラミッド

    雪「あんネキ、いまの山見た?ギザギザの山」
    餡「見た。ピラミッドあった。すごい人工物あった」

        秩父のゆったりとした自然を楽しんでいた私たちは、明らかに段々になっている、ものすごい三角の山の存在を飲み込めずにいた。
         そうこうしているうちに本来の旅の目的地である宝登山に到着。2月上旬、結局蝋梅は二分咲き程度に留まり、殆ど観られなかった。目的なんてそんなものなのかも。その代わり目に入ったのは先ほどのギザギザ山である。

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    宝登山からピラミッドを観る
    あんこネキ

        調べてみるとこの段々の山は当然ピラミッドなどではなく、武甲山という石灰岩を切り出している山だということがわかる。その切り出された岩は砕かれ、秩父鉄道で運ばれてセメントの材料となるらしい。
        ということは、武甲山はもともとはこの形でなかったはずだし、このまま削り続けたらいつか無くなってしまうのでは。もっと知りたい、もっとこの土地の歴史を知りたい。
        秩父という土地の魅力にハマりつつある私たちは、宝登山に2025年7月にオープンしたばかりのSUSABINOテラスに腰掛けながら、次の旅を決めた。

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    パノラマ撮影で分裂してしまった
    カフェ・オ・レ

    ■ペットじゃないよ、眷属(けんぞく)だよ

    雪「あんネキね、私御朱印帳集めが趣味で今年三年目なんだ。2026年は午年じゃん?観音様ってウマ飼ってるらしくて(違う)、いつもは閉じてる御本尊の扉が12年に一度開いて見られるんだって。午年総開帳っていうらしいのね。しかも丙午だからか、めちゃくちゃいま動かなきゃって衝動に突き動かされてんだよね。34箇所のお寺を巡って御朱印頂くんだけど、興味無い?」

        私は常に喋りたくて喋りたくて、アウトプットしないと脳から言葉が溢れてしまう。ここまで早口で捲し立てる私にあんネキは答える。

    餡「いいよ、楽しそうだね。いつからスタートする?」

        話が早い。
        こうして私たちの次の旅が決まった。

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    夜の西武秩父駅

    ■紀行と随筆:今後の連載予定

        ここから先は午年総開帳の秩父三十四観音霊場巡りをしながら、そこで見たもの感じたもの語り合ったものを主軸にモンスター調教をしていきます。

    【モンスターについてはこちら↓ #はじめてのnote 】


        一つのお寺につき一記事、写真と共に一緒に旅をして行く形になります。お寺紹介は色んな方が書いていますので信仰心が少し薄い私は、自分の衝動を昇華する視点で綴っていきます。観音様を通して思考を巡らせ、気になったことがあれば別記事で深掘りする。そうやって自分の中のモンスターの扱い方を、探ってゆくつもりです。

        1つめの旅は、秩父三十四観音霊場 札所1番 四萬部寺へ。

     
     
    紀行と自省の連載開始。言葉が溢れて溢れて堪らない私が、秩父三十四観音巡りをして自分の中の衝動の正体を探しに行く記録。note外ですが、純文学に挑戦し今年は文學界新人賞に応募完了しました。

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