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#2-10 燃える森と大災害|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

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    第10話 燃える森と大災害


    新しく茶を注ぎながら、彼女は語り始めた。霞色の湯気がふわりと立った。


    「フェリサリアでは、火魔法を扱える者"エレメンタル"が何人かいます。

    私たちは彼らを中心に、瘴気で広がり続ける森を食い止めようとしてきました。
    ……具体的には、焼くという手段で」


    静かに語られた事実に、タトは息を呑んだ。


    (森を、木を…、焼く……?)


    「けれど、ある一定以上焼くと、氷山から激しい吹き下ろしが起きるのです。

    幾度となく、街は大被害を受けてきました。そればかりか、森は焼けば焼くほど魔獣に満ちていく…

    今では、氷山の様子を伺いながら、街の周りを最小限に焼くだけで精一杯なのです」


    タトは、フェリサリア周辺で目にしてきた森の様子を思い返した。

    街の周囲は焼かれたことで木々が低く、その反動のように外側は天を衝くような暗い森が広がっていたのだ。

    「ルミナリー方面は多くの魔獣と深い森、反対の北側は…」

    彼女は少し間を置いた。

    「水が押し寄せてきています。
    この時期は特に水位が上がり、北の地が脅かされる、
    そのため、街のほとんどの人々を防壁の強化に向かわせています」


    (それで、街には人の気配が少なかったのか…)

    タトは、部屋の壁に貼られた表を見やった。

    役職や名前、仕事の内容と期日が、几帳面に記されている。
    その中心にいるのが、たぶん彼女だ。


    「私たちは今、災害に怯えながら街を守ることで精一杯なのです。遠方に使いを出す余力もありません。
    以前は何人も旅に出したようですが……誰ひとり、戻っては来ませんでした」


    伏し目がちに、彼女は言った。


    「今や私たちは、陸の孤島なのです」




    (つづく)



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    ぼんやりと生きています。心に湧いたお話は『ナルニア国物語』を思わせる、「児童文学ファンタジー」をちょっぴりと目指しています。 ◆note: 長編小説「追憶のオリジン」(全話公開中)イラスト 短編/短歌/自由詩/エッセイ ◆tales: 「追憶のオリジン(改訂版)」「読み切り」

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