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#4-3 栗色の光|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

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    これまでの話:
    ノーレムから新たな街・ヴァリスを目指していたタト、ミミ、レイの3人は、「人型の魔獣」と呼ばれる謎の影に襲われ、一晩中森をさまよった。朝日に救われ、ようやく腰を下ろした彼らの目に映ったのは、朽ち果てたヴァリスの塔だった。


    「とりあえず、街の人を探そう」

    恐ろしい一夜の疲れが拭いきれないまま、レイが言った。

    ミミは小さく頷き、タトはそっと塔の跡を見渡した。

    まだ何も始まっていないのに、すでに何かを失ったような気がした――。



    街は、意図的に破壊されたかのようだった。
    瓦礫の中には、比較的新しいものも混じっている。

    ノーレムとの落差に、三人はショックを隠せず、言葉少なに歩を進めた。


    中央の通りを郊外へ向かうと、唐突に、
    数人の子どもたちの影がふわっと駆けていくのが見えた。
    この荒廃した街とは対照的な、無邪気で楽しげな姿だった。


    「こ、子どもの……ぼ、亡霊……?」

    「いや、もう日も昇ってるし、実体っぽいな」

    三人はその影を追ってみることにした。 

    やがて街の細道を抜けると、生活の気配がある集落が現れた。

    そこでは数十人の若者たちが輪になり、一人の少女の歌に耳を傾けていた。


    先ほどの子どもたちも加わり、嬉しそうに耳を澄ませる。

    まるで賛美歌を聴くように、皆が静かに聴き入っていた。

    やがて少女が、見慣れない三人に気づき、歌を止めた。

    「あら……?」

    若者たちは一斉に振り返り、タトたちを見てギョッとした。
    その異様な反応に、タトは不安を覚えた。

    「大丈夫よ、みんな。きっと旅人よ」

    少女が落ち着いた声で言った。

    「どちらからいらしたの?」

    「……ボクたちは、ノーレムから来ました。ここは――自信の塔の街、ヴァリスですか?」

    「ほら、ね?」

    少女は皆を安心させるように微笑み、答えた。

    「ええ、そうです。ようこそいらっしゃいました。
    旅人が来るのは十年ぶりです。長の家にご案内しますわ。
    その前に、歌を聴いていかれませんか?」


    レイが、何かをつぶやいた。
    「……」

    タトは若者たちを見回して慎重に言う。

    「はい。もしよければ、一緒に聴かせていただきます」

    人々は少女の言葉に従うように、再び彼女の方へ目を向けた。

    少女の歌は、美しかった。
    聴いているだけで、昨夜の疲れがすっと消えていくようだった。


    タトはいつの間にか目を閉じていた。

    少し、眠っていたのかもしれない。


    気づけば歌は終わり、若者たちは散り散りに去っていった。


    「私は、ルリといいます」

    にっこりと笑った少女は、タトと同じくらいの年頃、
    瑠璃色の瞳と、栗色のつややかな長い髪。

    とても魅力的な少女――いや、女性だった。




    (つづく)

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    ぼんやりと生きています。心に湧いたお話は『ナルニア国物語』を思わせる、「児童文学ファンタジー」をちょっぴりと目指しています。 ◆note: 長編小説「追憶のオリジン」(全話公開中)イラスト 短編/短歌/自由詩/エッセイ ◆tales: 「追憶のオリジン(改訂版)」「読み切り」

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