
朝のコーヒーで、頭をもう少し働かせたい。クレアチンとMCTオイルの使い方
頭をしゃっきりさせるために、朝のコーヒーを淹れる。自分はそのタイミングで、クレアチンも別に飲んでいる。
筋トレのために続けてきたものだけれど、今は脳への効果にも期待している。睡眠不足のときなどに、記憶や情報処理を助ける可能性が報告されているからだ¹⁾。
では、ここにMCTオイルも加えたらどうだろう。
MCTは、脳が燃料として使える「ケトン体」の材料になる²⁾⁹⁾。こちらも脳のパフォーマンスへの効果が研究されていて、健康な若者を対象にした小規模な試験でも、一部の認知課題の成績が改善している³⁾。
コーヒーとクレアチンに、MCTオイル。組み合わせて使えば、朝の頭をもう少し働かせられるのか。それぞれの働き方と、併用するときに気をつけたいことを考えてみたい。
コーヒー、クレアチン、MCTは何が違うのか
コーヒーのカフェインは、覚醒度や注意力を高める。眠気の自覚だけでなく、反応の速さなどを調べる認知課題でも効果が確かめられている⁴⁾。
クレアチンは、脳や筋肉の細胞で使うATPの再生を助ける。細胞内のリン酸クレアチンが、ATPを消費したあとにすばやく再生するための備えになる。たとえるなら、急な電力需要に応じる蓄電池に近い⁵⁾。
MCTオイルは中鎖脂肪酸を含む油だ。肝臓でケトン体の材料になりやすく、そのケトン体を脳も燃料として使う。こちらは、発電所に別ルートの燃料を追加するイメージになる²⁾⁹⁾。
眠気への働きかけ、ATPの再生、燃料の供給。3つは働き方が違う。

だから組み合わせる発想は面白いなと思う。ただ、仕組みの違いだけで、併用したときの効果まで決めることはできない。
クレアチンも、健康な人の普段の認知機能を調べた試験では、主要な検査で統計的に明確な差が出なかったものもある。わずかな効果がある可能性は残るものの、結果はまだ限定的だ⁶⁾。朝の集中力のためだけに買うなら、期待は少し控えめにしたい。
筋肉と脳で期待できることの違いや、睡眠不足の研究で使われた量については、クレアチンは「筋肉の粉」じゃない。(無料)で詳しく書いた。
なお、MCTやクレアチンでお腹を壊す人もいる。カフェインでは眠りにくさや動悸が出ることがある。不調を我慢して量を増やさず、腎臓に持病がある人はクレアチンを始める前に主治医へ相談してほしい⁵⁾⁷⁾⁸⁾⁹⁾。
MCTオイルまで足す価値はあるか
MCTで知りたいのは、ケトン体が増えるかだけではない。実際に頭の働きが変わるのか。それも、普段仕事をしている健康な人でどうなのか、ということだ。
2026年のPhysiology & Behaviorに掲載された研究では、健康な若者36人をMCTとオリーブオイルの2群に分けた。使われたMCTは1日12g。一度飲んだときと、4週間続けたあとの認知機能を調べている³⁾。
単回摂取では、余計な情報に惑わされず反応する能力について、一部で有利な結果があった。4週間後には、情報を一時的に覚えながら処理する「ワーキングメモリー」の課題で、反応の速さなどが改善していた³⁾。
ただ、正確さを評価する項目の一部では、オリーブオイル群の方がよかった。速さと正確さを合わせて考えると、MCTで認知機能が全体的に上がったとは言い切れない。少人数の若者の結果で、仕事の能率を測った試験でもない³⁾。
使われた油はC8とC10の混合だった。単回の実験ではオートミールに混ぜ、4週間の継続中は朝食と一緒に摂っている。C8だけをブラックコーヒーに入れた条件とは違う。血中ケトン体も測っていないので、改善の仕組みまでは確かめられていない³⁾。
それでも、健康な人でも一部の検査成績が変わった点は、自分には面白い。MCTをすでに使っていて体に合う人や、このくらいの研究段階だと理解して試したい人にとっては、検討する材料になる。
製品に「C8」と書いてあると、より脳によさそうに感じるかもしれない。C8がC10などよりケトン体を上げやすいことは、小規模なヒト試験で確かめられている²⁾。ただ、ケトン体の上がりやすさだけで、頭の働きへの効果まで順位づけはできない。
🚩ここから先はメンバー限定です。すでにクレアチンを飲んでいる人の量の考え方と、同じカップで飲むときの工夫。クレアチンの吸収と腸内細菌について自分が気にしていること、今夜の睡眠を削らないコーヒーの飲み方まで書きました。