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運動後のケア、何をやればいいか迷っている人へ

    質問:もさり先生のおすすめのアフターケアがあれば教えてください。
    ノルウェー式HIITなどをした日は、フォームローラー、二つの球がついたツボ押し器具、シャクティマット、せんねん灸など、体によさそうなものを思いつきでやっています。冷水シャワーは心臓に悪そうな気がして、やれていません。

    ※以下は一般的な医学情報に基づく回答であり、個別の診断・治療には該当しません。

    質問に質問を返すようですが、ここで考えたいことがあります。

    ノルウェー式HIITのようにかなり追い込んだあと、本当に何かケアが必要なのか?

    健康や体力づくりが目的で、きつい運動のあいだに1日以上休みを入れられる人なら、じつは特別なリカバリー用品は基本的にいりません。

    もちろん、回復は必要です。ただ、水分、食事、睡眠が普段どおり足りていれば、フォームローラーやストレッチなど特別なことをしなくても、体は回復と適応を進めてくれます。

    何もしない時間も、回復中です。

    「今、ホルミシス中だな」と思ってゆっくりする

    運動をすると、体はまずダメージを受けます。体はそれを修復するときに、次も同じ負荷に耐えられるよう、元より少し強く戻る。この「ダメージへの適応で体が強くなる」仕組みが、ホルミシスです。

    HIIT後に体が重かったり、張っていたりすると、つい何かを使って早く消したくなります。フォームローラー、お灸、冷水、マッサージガン。体が重いと道具を増やしたくなりますよね。自分もリカバリー用品は一通り試しました。

    でも、実際は何もしなくてもいいんです。
     
    「ああ、今ホルミシス中なんだな」と思って少しゆっくりする。

    グッズを次々と足すより、このくらいの態度のほうが大事かもしれません。体の張りや重さを消しても、トレーニングの効果が上がるわけではありません。残っていても、回復と適応は進んでいます。

    疲労を無理に残す必要はないですが、全部を焦って消す必要もない。

    負荷と適応の関係は、「正しい毒」が体を強くする──ホルミシスの科学で詳しく書きました。

    グッズの効果は、思ったほど大きくない

    多くのリカバリーグッズが得意なのは、回復している時間を少し過ごしやすくすることです。22件の試験をまとめた大規模な解析でも、何もしない場合との差の多くは運動の直後から翌日までにとどまり、2〜3日後には小さくなっていました。¹⁾

    本人が楽になって、翌日を普段どおり過ごせるなら使う意味はあります。ただ、きつい運動のあいだに1日以上休みを入れられる人にとっては、何種類ものケアをマストとする理由はあまりないようです。

    自分のたどり着いたルーチン

    と言いつつ、自分はかなりのリカバリーグッズフェチです。フォームローラー、マッサージガン、骨盤職人など、だいたい試しました。買うのは好きです。でも、かなりのめんどくさがり屋でもあります。めんどくさいのは続きませんでした。

    そんな自分が今でも続けているルーチンを紹介します。

    高強度のトレーニング後のクールダウン
    4分のきつい運動を4本くり返すノルウェー式HIITでは、最後の1本が終わったあとも、自分はすぐにバイクを降りません。負荷を下げて、5分ほど軽く漕ぎます。

    回復を速める効果は期待していません。クールダウンで翌日の筋肉痛やパフォーマンスが大きくよくなるとは、確認されていません。けがを防ぐ効果もはっきりしていません²⁾。心拍数や呼吸が上がった状態から急に止まるより、軽く漕ぐほうが楽だからやっています。実際、クールダウンしたときのほうがその後の体調がいいです。高強度のトレーニングで大きく上がった心拍や呼吸などを、軟着陸させるイメージです。

    運動後も頭が高ぶっている日は、数回ゆっくり呼吸することもあります。鼻から一度吸い、もう一口だけ吸ってから、口から長く吐くサイクリック・サイがお気に入りです。筋肉の回復を速めるためではなく、トレーニングが終わったと気持ちを切り替えるためです。

    寝る前のストレッチ
    本格的にほぐすのは、寝る前です。背中(胸椎)と股関節まわりをストレッチした後に、ベッドでストレッチポールを使い、ふくらはぎ、太ももの裏、お尻をゴロゴロする。

    ストレッチで毎日絶対にやっているのは、股割り、脚の付け根の前を伸ばすカウチストレッチ、お尻を伸ばすピジョンポーズ、背中のストレッチの4つです。

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    寝る前に10年以上やってます

    これは筋トレやHIIT後のダメージを早く消すためではありません。2025年に、15件の研究をまとめた解析があります。運動後にストレッチをしても、何もしない場合と比べて筋肉痛や筋力、運動能力の回復は明確によくなりませんでした。³⁾

    ストレッチは、筋肉痛を早く引かせる方法というより、柔軟性のトレーニングです⁴⁾。HIIT直後に全部やる形では続きませんでした(疲れて動きたくない)。寝る前にまとめたらずぼらな自分でも継続できました。柔軟性があると、日々の生活の質が上がります。

    🚩ここから先はメンバーシップ限定です。張りを楽にしたいときに一つだけ選ぶなら何か、質問にあったシャクティマットとせんねん灸、冷水シャワーをどう考えるか、何に困っているかでケアを選ぶ方法、連戦が続く競技アスリートは何が違うかを書いています。

     
     
    東大医学部卒の総合内科・呼吸器専門医。医学博士。経営者のパーソナルドクター。NewsPicks公式の健康番組にレギュラー出演。HALEO最高科学・医療顧問。外来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも試して、失敗まで書いています。深掘りはDr.もさりラボで。

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