メインコンテンツへスキップ
見出し画像

EA列伝⑫(GPS Forex Robot)

    FXの自動売買(EA)の世界で最も息の長いシステムの一つである「GPS Forex Robot」は、そのユニークな開発経緯と、相場の荒波を乗り越えてきた独自の歴史を持っています。

    その誕生秘話とこれまでの歩みについて、詳しく解説します。

    1.誕生の背景:なぜ「GPS」なのか?

    GPS Forex Robotは、16年以上のトレード経験を持つ著名なFXトレーダーでありメンターでもあるマーク・ラーセン(Mark Larsen)氏とその開発チームによって、2010年に開発されました。

    彼がこのシステムに「GPS」という名前をつけたのには、明確な開発コンセプト(誕生秘話)があります。

    • カーナビゲーションのような仕組み
      ラーセン氏は、「車を運転していて道を間違えても、GPS(カーナビ)は即座にそれを検知し、目的地に到着するための『新しいルート(修正ルート)』を再計算して提示してくれる」という点に着目しました。

    • 相場での応用
      これをFXに落とし込み、「もし最初の予測(エントリー)が外れて相場が逆行しても、GPSのように即座に間違いを検知し、180度逆のポジションを取ることで損失を相殺し、最終的に利益(目的地)に変える」というコンセプトで設計されました。これがGPS Forex Robotの最大の武器である「リバース・リカバリー戦略」の原点です。

    2.GPS Forex Robotの歴史と進化

    2010年のリリース以降、リテール(個人)向けFX市場で15年以上にわたり販売・運用され続けています。

    ① 初代の登場(2010年〜2011年)

    当時のFX自動売買業界は、一度の負けで口座を破綻させる危険な「ナンピン・マーチンゲール」のEAが乱立していました。その中で、「基本は高勝率の順張りトレンドフォロー」「負けそうになったらドテン(リバース)して即座に回収する」というGPSのロジックは非常に画期的で、瞬く間に世界中のトレーダーから注目を浴びました。

    ② GPS Forex Robot 2へのアップデート(2012年以降)

    2012年頃にはメジャーアップデートが行われ、通貨ペアの最適化(EURUSD、USDCHF、EURGBPなど)や、MetaTrader 4(MT4)での動作安定性が大幅に向上しました。公式が「Myfxbook」という公開口座で数年にわたるリアルタイムの実績を開示し続けたため、「バックテストだけでなくフォワードテストでも本当に右肩上がりに資産が増えるEA」として不動の地位を築きました。

    ③ GPS Forex Robot 3(近年の動き)

    現在はさらに最適化された「GPS Forex Robot 3」へと進化しています。MT5(MetaTrader 5)への対応や、近年のボラティリティ(価格変動)が激しい相場に合わせたパラメーターの微調整が行われてきました。

    3.光と影:歴史の中で見えてきた弱点

    15年以上の歴史を持つGPSですが、常に完璧だったわけではありません。その歴史の中で、トレーダーの間では以下の「リスク(影の部分)」も浮き彫りになりました。

    • リバース時のロット倍率リスク
      最初の予測が外れた際、逆方向にポジションを持つ「リバース(ドテン)トレード」の際、損失を取り戻すために約5倍〜7倍近くの大きなロット数でエントリーする仕様になっています。

    • 「98%の勝率」が破られた時
      普段の勝率は宣伝通り98%に近い驚異的な数字を叩き出しますが、歴史的な大相場(例:2015年のスイスフランショックや、近年の急激な金融政策転換)において、リバースした先でもさらに相場が反転するという「最悪のシナリオ」が起きると、それまでの利益を一瞬で吹き飛ばすほどの大きなドローダウンを経験してきました。

    4.GPS Forex Robotの現在

    GPS Forex Robot(現在はバージョン3)は2026年現在も現役で稼働・販売されています。

    しかし、開発者のマーク・ラーセン氏などによる公式口座は既に停止しています。

    画像
    https://www.myfxbook.com/ja/members/ForexMark/gps-robot-fxchoice-250/3382612
    画像
    https://www.myfxbook.com/members/erm1981/gps-forex-3-robot-live/7587453

    (1)月利は1%〜2%程度の「超低空飛行」が主流

    リリース当初(10年以上前)は月利20%〜30%といった爆発的な利益を出すこともありましたが、現在の検証データでは月利1%〜2%前後、年利で10%〜20%程度を狙う非常にスローな設定(安全第一の設定)で運用されているケースがほとんどです。

    (2)取引頻度が極端に減っている

    近年のボラティリティ(価格変動)が激しい相場環境に合わせ、フィルター(無駄なエントリーを避ける仕組み)が厳しく設定されています。そのため、ユーザーからは「数日〜1週間以上まったくトレードしない」「動いているのか不安になる」という声が多く上がっています。

    (3)破綻リスク(ドテン時の大負け)は健在

    基本勝率は98%近くを維持していますが、予測が外れた際に「ロット数を5倍〜7倍にして逆張り(ドテン)する」という根本的なロジックは変わっていません。そのため、運悪くそのドテンすら失敗する大相場に捕まると、数ヶ月〜1年分の利益が一瞬で吹き飛ぶリスクを常に抱えた現役生活を送っています。

    (4)現時点での評価

    海外の評価サイト(New York City Serversの2026年最新レビューなど)やコミュニティの分析をまとめると、以下のような評価に落ち着いています。

    • 149ドルの買い切りとしては優秀:月額費用がかかるEAが多い中、149ドル(一生涯ライセンス)という安さは今でも魅力的です。

    • ポートフォリオの一部としてならアリ:メインの稼ぎ頭にするには地味すぎますが、「手堅く低利回りで回すための1つのパーツ」として、資金に余裕があるトレーダーが口座の片隅で動かすのには適しています。

    1つの時代をつくったEAが未だに販売されていることは驚くべきことです。
    しかし、当時の輝きは既に失われ「資金に余裕があるトレーダーが口座の片隅で動かすのには適しています」と辛辣な評価が下されているのを見ると、物悲しさと相場で勝ち続けることの難しさを再認識させられます。

    あなたへのおすすめ