
#13 ☕「任せる」と言いながら、手を離せない。
前回、人を育てる側になって、誘う言葉を探していると書いた。
けれど、声をかけた先にも、考えなければならないことがある。
「じゃあ、お願いします」
そう言ったあと、私はどこまで手を出せばいいのだろう。
🌱 自分でやったほうが早い。
仕事を教える立場になると、この言葉が頭をよぎる。
説明して、やってもらって、確認する。
自分なら迷わず進められるところで、相手の手が止まる。忙しい時間なら、なおさら気になる。
つい横から手を出したくなる。
そのほうが、その場は早く終わるからだ。
でも、それを繰り返していたら、相手が最後までやってみる機会はなくなってしまう。
そして、いつまでも私がやることになる。
自分も休めるようにしたい。
任せられる人を増やしたい。
そう思っているのに、目の前の忙しさを片づけようとすると、また自分で引き受ける方向へ戻ってしまう。
☕ では、手を出さずに見ていればいいのか。
それも、違う気がする。
初めて任された側に立てば、「任せたから」と言われても、迷うところはあるはずだ。
どこまで自分で決めていいのか。
何かあったら、誰に聞けばいいのか。
途中で確認してもらってもいいのか。
そこが分からないままでは、任されたことを喜ぶ余裕より、不安のほうが大きくなるかもしれない。
私にとっては当たり前になった作業にも、最初に覚えた日があった。
今は考えずに動いているからこそ、どこで迷うのかを忘れているのだと思う。
📝「任せる」を、もう少し具体的にしてみる。
たとえば、締め作業を覚えてもらうなら。
今日は、どこからどこまでやってみるのか。
途中のどこで、一緒に確認するのか。
予定どおりに進まなかったときは、どうするのか。
「分からなかったら聞いてね」の一言で済ませずに、そこまで決めておく。
教わる人にとっては、分からないこと自体を、うまく言葉にできない場合もあるだろう。
だから、こちらから確認する時間も必要なのだと思う。
任せる前に用意するものは、手順書だけではない。
練習する時間と、質問を受け止める人も必要なのだ。
ただ、現場では、その時間を確保することが難しい。
自分の仕事を進めながら教える。
お客様への対応をしながら、相手の様子も見る。
「丁寧に育てよう」と思うだけで、時間が増えるわけではない。教える側の気合いで埋め続けるにも、限りがある。
人を育てたいのなら、教える人と教わる人が、一緒に動ける時間をつくる。
そこまで含めて、仕事の組み方を考えたい。
🍀 私が練習することもある。
相手の手が止まったとき、すぐに代わってしまう前に、何に迷っているのかを聞くこと。
安全や大切な確認に関わるところは止める。
けれど、少し時間がかかるという理由だけで、取り上げない。
口で言うほど簡単ではないと思う。
忙しくなれば、きっとまた「私がやるよ」と言いたくなる。
それでも、相手が自分で終えられた仕事を、少しずつ増やしていきたい。
全部を一度に任せなくてもいい。
今日はここまで。次はもう一つ。
そうやって任せられる範囲が広がれば、相手にとっても、私にとっても、仕事の景色が少し変わるかもしれない。
前回、次の人にまで、今の私と同じ無理を引き継ぎたいわけではない、と書いた。
そのために、まず考えたい。
私がいなくても困らないように、私がいるうちに、何を一緒にやっておくか。
「任せる」と言う側にも、覚えることがたくさんある。
💬 皆さんは、仕事を任されたとき、どんな支えがあると安心できましたか。
教える側、教わる側、どちらの経験も聞いてみたいです。
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