
【残されたメモ】おばあちゃんの遺言秘伝レシピが謎解きレベルだった話|ショートショート|拝啓文芸部さん
祖母の洋食屋「キッチン・ひまわり」の最後の夜、病床の祖母は私の手を握りしめて言った。
「私が逝っても大丈夫。あの引き出しに秘伝のレシピが入ってるから……店を頼むね」
数日後、通夜を終えた私は一人、静まり返った厨房に立っていた。
引き出しを開けると、そこには一冊のリングノート。
「これが、あの行列ができるデミグラスソースの秘密……!」
涙を拭い、期待に胸を膨らませてページをめくる。
だが、そこに躍っていたのは、味のある文字と、解読不能な「おばあちゃん語」の連発だった。

「ニソヅソ…? ホンドボオ…? きつね色じゃなくてタヌキ色…?」
絶望に頭を抱えたが、鍋を火にかけると、ふと祖母の笑顔が浮かんだ。
ここには祖母の歴史が詰まっている。
だけどね、おばあちゃん。
悪いけど、これじゃ無理かも…
おしまい。
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三須 ミス子