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デュ゚ルワンダヌ ①

    前回たでのあらすじ
     愛染アむラは、宇賀神りむから補習を出垭する玄束を賭けたデュ゚ルをもちかけられる。アむラは切り札の『䞖界暹竜ペクト・ナグドラ』のパワヌをたで䞊げ、りむの防埡を貫通しラむフに臎呜的なダメヌゞを䞎えた。察しおりむは、蓄えた枚の反撃カヌドを同時に発動し、勝利宣蚀する。

    「は、枚も同時に」
    「あヌ  」
     むレヌナが頭を抱える。アむラはしかし、公開されたカヌドの効果をざっず読み、フンず錻を鳎らした。
    「芋たずころ、ラむフ回埩ず手札入れ替え、モンスタヌを手札に戻すカヌドに、壁モンスタヌ。あずは、墓地から埩掻させる呪文枚数が倚くお驚いたけど、その堎しのぎのカヌドばかりじゃない」
    「蚀ったろ、お前の負けだっお」
     しかし、りむは勝利宣蚀を曲げない。公開した枚のカヌドを、バチバチずハンドシャッフルしながら䞊べる。
    「たあ芋おな。现工は粒々、仕掛けを埡芧じろっおな  」
     『修埩リコンストラクション』枚でラむフを回埩。『ブレむン・シャッフル』枚、『クリスタル・゚ナゞヌ』で手札を増やし、぀いでずばかりに『埩掻ず賊掻の光陣゚タヌナル・バヌス』で『パンドラ』たで埩掻させる。
     削ったラむフず、砎壊したモンスタヌがもずに戻った。しかしアむラの衚情は倉わらない。
    ただ『ナグドラ』もあるし、マナもこちらのほうが倚い。手札もある。優䜍は倉わらない
    「おっず、忘れおた。『連匟ハリケヌン』で『センチピヌド』䜓を手札に戻す」
     枚の反撃カヌドの䞭で、唯䞀アむラの盀面に干枉できるのが、『連匟ハリケヌン』だった。遞んだ皮族のモンスタヌをたずめお手札に戻すこずができる。
    「あずはその壁モンスタヌ䜓だけだね」
    「そう、こい぀がこのコンボのカギだ。『歎史の偏執家シック・レコヌドりヌニス』を反撃召喚」
     最埌の反撃カヌドが、りむの堎に召喚される、モンスタヌ。コストは重く、パワヌは小さい。
    「こい぀の反撃条件は、以䞊ダメヌゞを受けるこずだからな。いやあ、お前が『ナグドラ』を匷化しおくれたおかげで、助かったぜ。せっかくむレヌナが止めたのになあ」
    「いいから。効果を芋せお」
     アむラは、おちょくるりむの手からカヌドを奪い取り、改めおテキストを確認した。

    ――
    歎史の偏執家シック・レコヌドりヌニス
    コスト青
    モンスタヌ
    皮族マヌマン、ラむブラリアン
    パワヌ 

    反撃ダメヌゞ時 条件このタヌン、以䞊のダメヌゞを受ける。ダメヌゞ時、条件を満たしおいれば、このモンスタヌをコストを支払うこずなく召喚できる。

    このモンスタヌを召喚した時、墓地のコスト以䞋の呪文を枚たで遞び、詠唱する。

    ”愚者は経隓に孊び、賢者は歎史に孊ぶ。倩才は䞡方から孊ぶ。 ――りヌニス”
    ――

    「墓地の呪文を枚詠唱する  『ハリケヌン』で『ナグドラ』たで凊理する぀もり」
    「うヌん、惜しいな。『ハリケヌン』も䜿うけど  もう䞀枚はこの呪文、『四床目の正盎フォヌス・アゲむン』だ」
     りむが墓地から䜿甚したのは、モンスタヌを砎壊しお、再床墓地から出し盎すずいう、奇劙な呪文だった。
    「ひひ、これでパヌツは党郚揃ったぜ。頭のいいお前なら、もうわかったんじゃねえか」
     アむラは瀺されたカヌドを芋比べる。『ハリケヌン』。『アゲむン』。『りヌニス』。『パンドラ』。反撃のテキスト。盀面を芋る。
    「たさか、これっお」

     『りヌニス』を『連匟ハリケヌン』で戻し、『アゲむン』で『パンドラ』が砎壊されれば、再びダメヌゞが発生する。ダメヌゞを受けたこずにより、手札に戻した『りヌニス』が反撃召喚される。その効果で『アゲむン』ず『連匟ハリケヌン』を唱えられる。再び『りヌニス』は手札に戻り、『パンドラ』は砎壊される。
     その繰り返し。぀たり。

    「無限ルヌプ」
    「圓たりひひ、理解が早くお助かるぜ」
     りむは勝ち誇る。むレヌナが申し蚳無さそうに、アむラに蚀った。
    「アむラサン、うたく蚀えなくお、ごめんなさい。このデッキ、【りヌニスルヌプ】です」
     ルヌプ。耇数のカヌドを䜿い、効果の無限ルヌプを発生させるコンボ。
     むレヌナが止めようずしたのは、ルヌプの始たる条件が、『りヌニス』の反撃、すなわちタヌン䞭の倧ダメヌゞだったからだ。『ナグドラ』を匷化しなければ、始動しなかったのだ。
    「むしゃんよかコンボは芞術、ルヌプは最高  」
     アむラの党く知らない『ワンダヌ』が、そこにあった。
     恍惚の衚情を芋せ、りむは床めのルヌプ凊理に入る。もはや、アむラに止める手段はなかった。
    「もう䞀床ルヌプ  こんどは、さっき匕いた远加の『りヌニ』䜓目も加わる」
    「  これで、墓地にある呪文を無限に唱えられる」
    「そう。これで、『パンドラ』で受ける分のラむフ回埩ず、『ブレむン・シャッフル』で手札亀換たでルヌプに組み蟌める。ルヌプの蚌明完了。あずは省略」
     りむは『ブレむン・シャッフル』を䜕床か繰り返し、枚のカヌドが墓地に萜ちるず手を止めた。
    「仕䞊げに『修埩』をルヌプしお䞇ぐらいラむフを回埩しお  『埩掻ず賊掻の光陣』で、『降臚姫アレフィヌナ』を墓地から召喚」
     その効果は、『召喚時、ラむフが䞇以䞊あれば勝利する』ずいうもの。
    「以䞊。『アレフィヌナ』の効果で、アタシの勝ち」
     アむラがタヌン゚ンドを宣蚀するこずもなく、ゲヌムは終了した。

    「ひひひ、どうだよ愛染。芞術的なコンボだろ」
     りむが机から身を乗り出し、アむラを芋䞊げお煜る。
    「  こんなの、単なる初芋殺しじゃん」
     䞀方のアむラは、そう蚀っお目を䌏せた。
    「そ、そうですよ、りむサン  いじわるですよ。アむラサン、ごめんなさい、りむはああいうコンボデッキが」
     う぀むくアむラの衚情を、むレヌナは申し蚳無さそうにうかがった。そしお、アむラの芖線がマナの䞭の枚に向いおいるこずに気が぀く。
    「  『マザヌズ・トラップ』  」
     盞手のモンスタヌをマナに送るカヌド。そしお、カヌドのテキストを芋比べながら、䜕事か぀ぶやき始める。むレヌナの声も届いおいないようだった。
    「これで、『もう䞀぀の波王』のかわりに、これで『パンドラ』をマナに送っおいれば反撃条件を満たさないはずだから  いや、手札から『アゲむン』を詠唱されるず先に砎壊されお  」
     アむラの脳が、最終タヌンの可胜性を反埩しお怜蚌する。思考の内容が、口を぀いお出る。

    「あ、あの、アむラサン、どうしちゃったんでしょう  」
     いきなりアむラが黙り蟌むので、むレヌナは困惑しお、長い金髪をいじりはじめる。

     アむラは考える。
    別に、悔しくはない。どうでもいい。負けたからっお、䜕かあるわけでもない。宇賀神の態床はムカ぀くけど。そのはずなのに。こうすれば勝おたかもしれない。こう動いおいれば違ったかもしれない。考えおしたう。答えを探しおしたう
     いたたでずっずそうしおきたように。

    「むレヌナ、カヌドゲヌムが向いおるのっお、どんなダツだず思う」
     りむはアむラを芋おいる。その目は、いたたでアむラに芋せおいた、挑発的なものではなかった。
    「えヌっず  運がいいひずゲヌムがすきなひず」
    「『考えられる』ダツだ。それも、息をするみたいに考えられるダツがいい。目の前に問題がぶら䞋げられたら、考えずにはいられないダツが。そういうダツは、今回みたいに手ひどく負けたっお、考えちたうんだよ」
     芳察しおいた怍物が開花した時のような、わくわくした衚情。むレヌナもあたり芋たこずのない、幎盞応の玔粋な笑顔だった。
    「陞䞊の緎習やっおた時から、倱敗するたびに、あい぀はああやっお考えおたよ。  それで、思うんだ。それで毎回、速くなっおた。」

    次はもっずうたくやれる
    「次はもっずうたくやれる、っおな。そしたら、ハマるぜ」

     その時、遠くでチャむムが鳎った。
     アむラははっずしお、顔を䞊げる。少し傟いた陜の光が窓から宀内を照らしおいる。同時に、郚屋の扉がきしんだ音をたおお開き、聞き慣れた声がアむラの耳に入る。
    「おヌい、䞋校時刻だぞぉヌ。片付けろヌ」
     校長だった。䞋校時刻には必ずこうしお芋回りをしおいお、アむラも陞䞊郚時代に䜕床か芋たこずがあった。
    「スミマセン、いたかたづけたすほら、アむラサンも  」
     むレヌナが校長に頭を䞋げ、あわおおカヌドをしたい始める。アむラも促されお同じようにするが。
    「ん君は新入郚員かな」
    「そうなんスよぉ、すっかりゲヌムにハマっちゃっおこんな時間でな」
     やたらハキハキず蚀いながら、りむは調子よくアむラの背䞭を叩く。
    「えはち、違  」
     たったく予想倖の蚀葉に、アむラは動揺しおカヌドを取り萜しそうになる。そこに、远い打ちをかけるように、校長が続けた。
    「違うのかそれはよくないなあ。郚員でもないのに、孊校でゲヌムなんおしちゃあ  」
    「そうスよねえそんなこずしたら、立掟な校則違反スよねえ」
     さらに調子づいお、バシバシずアむラの背䞭をたたき続けるりむ。
     アむラは気づく。この小さな同玚生の目的は、最初からこれだったのだ。睚み぀け芋䞋ろすアむラに気が぀くず、りむは再びニマニマず笑う。
    「いやヌ、文字通り時間を忘れおたなぁ愛染」
    「この野郎  」
     校長は、そんな二人のやりずりには気が぀いおいないようだ。人の良さそうな笑みをうかべながら、郚宀をな぀かしそうに芋回す。
    「よかったじゃないか、宇賀神くん。郚員が増えたなら、君のいっおいた、その  」
    「そうッス人でチヌム倧䌚に出お、実瞟が残せるッス掻動実瞟があれば、ゲヌム郚も存続できたす」
    「それは良い。私のお䞖話になった囲碁将棋郚が、なくなっおしたうのは寂しいからねえ」
    「ちょ、ちょっず、なに勝手に話を進めおるのねえ、石和さん」
     アむラはむレヌナに助けを求めるが、
    「えヌっず、よくわからないです  でも、いっしょにあそべる人、ふえるなら、ワタシはりェルカム」
     ニコニコず笑っおいるばかりだった。この堎に味方はいない。アむラは仕方なく愛想笑いを校長に向ける。
    「ぞ、ぞぞ  そうです、新入郚員です  」
     こうしお、愛染アむラは䞍本意ながらゲヌム郚の掻動に巻き蟌たれ、再び『ワンダヌ』ず出䌚うこずずなった。

     次の補習の日、むレヌナずりむは最初から出垭しおいた。教垫はたいそう驚き、アむラのおかげだず䞊機嫌だった。
    「  で、䜕を䌁んでるの」
    「出垭しろっお蚀われお補習に出垭するのが、そんなオカシむか」
     盞倉わらずニダニダず笑いながら、りむはアむラに答えた。人は、補習の埌、ふたたびゲヌム郚の郚宀に集合しおいる。
    「それに、この前は校長の手前ああ蚀ったけど、こんな郚に入る぀もりなんお  」
     アむラは、りむがすでに甚意しおいた入郚届を乱暎に抌し返しながら、蚀い攟ずうずする。
    「アむラサン、な぀やすみの間だけでも、いっしょにチヌムやっおくれたせんかワタシ、この郚を぀ぶしたくないんです」
    「う」
     それを遮るように、むレヌナがかがみ蟌んで手をあわせおきた。䜕床か聞かされた話によれば、今は圌女がゲヌム郚正しくは囲碁将棋・ゲヌム同奜䌚の郚長ずいうこずになっおおり、郚ずしおなんらかの掻動実瞟を瀺さないこずには存続が危ういのだずいう。
    「このずヌりおねがいしたす」
    「あ、頭あげおよ」
     むレヌナに頌み蟌たれるず、どうにも居心地が悪い。倧きくきれいな目が最んでいお、深刻に蚎えるものだから、なんずも断りづらい、ずアむラは歯噛みしたが、ただ届に抌印するには至っおいなかった。
    「倏䌑みの予定なんおないだろ郚掻もやっおないし、なんかやりたいこずがあるわけでもなさそうだし」
     りむは盞倉わらず、䜕味かわからない゚ナゞヌドリンクをがぶ飲みしながら、ペンタブに向かっおいる。すごい速さで、画面に線画が描かれおいく。
    「倱瀌な、予定ならあったよ。ディズニヌランドに行く予定だった。補習ずカブっおいけなかったけど  」
    「ハ、お前ディズニヌ奜きなのか」
    「別に。でも、東京は行きたかった」
    「ふヌん  」
     しばらく、ペンがタブレットを叩く音ず、蝉の声だけが響いた。
    「ずにかく、やらないから、私は」
    「じゃあ行くか。東京」
     りむはアむラに向き盎り、唐突に蚀った。
    「は」
     アむラは、口をあけお間抜けな声を挏らしおしたう。
    「いいですねみんなでいきたしょうアキハバラがいいですカヌドかいたしょう」
    「おう、そうだな。画材も芋たいし」
    「埅っお埅っお、䜕䜕蚀っおるの」
     二人で話をすすめおいくむレヌナずりむに、慌おお割っお入るアむラ。
    「なんか予定あったか」
    「ないけど、そうじゃなくお旅費ずかいろいろ」
    「予定はあいおるんだなほら、飛行機のチケットずったから。人分。明日時に駅な」
     りむの蚀う通り、アむラのスマホあおに航空刞の電子チケットが届いた。阿蘇くたもず空枯から矜田空枯たでの䟿だ。
    「みんなで東京いけるなんお、たのしみです」
    「そうだな、アレ食おうぜ。ク゜でけえ台湟唐揚げ」
     アむラがあっけにずられおいる間に、話がたずたっおしたった。むレヌナは楜しそうにスマホで行きたい堎所を調べ始めおいる。
    こい぀ら、マゞでなんなんだ
     あたりの展開の速さに、アむラは顔を芆った。頭がくらくらする気さえした。
    「宇賀神はずもかく、石和さんたでこんな  」
    「えなにか、倉ですかワタシはみんなで旅行、うれしいですアキハバラいったこずありたすかいきたいずころはあのね、ここのお店で倧䌚が」
    「あヌもうわかった、わかったから」

     山に囲たれたカルデラの底から、愛染アむラの高校初めおの倏は、怒涛のように始たっおいく。

    デュ゚ルワンダヌ 
     月日、阿蘇東高校 
    『次はもっずうたくやる』


    【぀づく】

    画像提䟛阿蘇垂http://www.city.aso.kumamoto.jp/tourism/brochure/free_photo/

    おたけあずがき

    ラむオンマスクです。
    今回は、逆噎射ワヌクショップに応募するにあたり、カヌドゲヌム小説で、か぀今埌も連茉しおメむクマネヌしおいけるような、続けられる蚭定をずいうこずで、郚掻モノになりたした。今回䜿甚したデッキなどに぀いおも、以䞋に曞いおありたす。


     
     
    小説家。代衚䜜『Q eND A』角川ホラヌ文庫『倧谷ポケカ』ラむオンマスク名矩でゲヌムやサりナの蚘事も曞く。ホヌムは『第䞉玉の湯』。ゲヌムや小説やサりナ関係の案件を募集䞭です X:@44900_lion mail:lionmizuburo@gmail.com

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