
浮世絵をAIで動かしてみた。オープンデータで「天神祭」の動画を作るまで
1. はじめに
オープンデータとして公開されている浮世絵を使って、
「天神祭」のショート動画を作ってみました。
古い絵の中に描かれた船、人、提灯、川のにぎわい。
それを少しずつ動かしていくと、
まるで当時にタイムスリップしたかのようです。
2. なぜ作ろうと思ったか
大阪の「天神祭」は、1000年以上の歴史があり
京都の祇園祭、東京の神田祭と並ぶ「日本三大祭り」の一つです。
今も大阪の夏の風物詩となっています。
浮世絵に描かれた天神祭を見ると、
今の写真や動画とは違う、
昔の人たちの熱気や楽しみ方が見えてきます。
この絵をただ眺めるだけではなく、
浮世絵に描かれた人たちや行き交う船を
AIのチカラを借りて、動かすことができたら?
当時のにぎわいの雰囲気を感じられるかもしれない
そんなことを考えました。
3. 素材:デジタルアーカイブで公開されている資料

今回使用したのは
デジタルアーカイブで公開されている、
江戸時代に制作された浮世絵です。
図書館や美術館、博物館などが所蔵している資料の中には、
利用条件を満たせば、二次利用できるものがあります。
この資料は
「インターネット公開(保護期間満了)」となっており
著作権保護期間が満了しているため、自由に利用することができました。
4. 作り方:静止画を“動く絵”にする
① 素材の画像を探す
② 動かしたい部分を決める
③ 動画生成AIで動きをつける
④ 編集でつなげる
⑤ 音楽やテンポを調整し字幕をいれる
⑥ YouTubeショート用に仕上げる
用意した浮世絵は3枚。
3枚それぞれの動かしたい部分を考えながら
ChatGPTで、プロンプトを作成。
動画生成AIが理解しやすいように
プロンプトを短めの英語にしました。
動画生成AI「Kling AI」に画像を取り込み
プロンプトを入力し動画生成してみる。
あっという間に、ぬるぬると動く
約10秒の動画が完成しました。
今度はそれを
動画編集ツール「CapCut」に取り込み
3本順番に並べて、動きをみる。
そのまま並べるだけだと、少し不自然。
そこで、速度を落としたり、ズームを加えたり、
つなぎ目にトランジションを入れたりして、
できるだけ一つの流れに見えるように調整しました。
また動画に似合う音楽を選びBGMとして追加し、
天神祭の簡単な紹介文を入れました。
こうして、ようやく約1分の動画が完成です!
AIでの作業は一瞬ですが、
この編集作業が何より大変でした。
何度も作っては、確認をくり返して
最も時間がかかり、骨が折れる作業となりました。
5. 資料に新たな価値を与えること
オープンデータは「ただ無料で使える素材」ではない。
誰かが描き、誰かが残し、誰かが保存してきたものが、
今の私のパソコンの中で、また別の形になる。
それは資料がもう一度「生き直す」ような感覚でした。
現在、私は図書館司書の勉強をしています。
勉強をすすめると、資料は「保存するもの」であると同時に、
「使われることで価値が生まれるもの」なのだと学びます。
デジタルアーカイブに公開されている資料も、
誰かが見つけて、使って、また新しい形にすることで、
次の人に届いていく。
今回の動画づくりは、その小さな実験でもありました。
6. おわりに
たった1分のショート動画ですが、
動画生成AIの性能の高さに驚くと同時に
作ってみることで、古い資料との距離が
ぐっと近くなったように感じました。
浮世絵に描かれた「天神祭」は
過去の資料ではなく、
新たなデジタルコンテンツ「動画」として
YouTubeで視聴することができるようになりました。
古い資料は、ただ保存されているだけではなく、
誰かが見つけて、使って、また別の形にすることで、
次の時代へ届いていくのかもしれません。
この動画は、そんな小さな一歩です。