
〈漢字の化学入門〉改訂(アップデート?)ポイント⑥ 第1部の終わり方
かん字研究のきっかけは〈漢字の化学入門〉を応援するつもりから始めました。
最後の「ビャンビャン麺の話」が好きになれなかったのです。そもそも,漢字の範囲って何でしょうか?
それが明確になっていないのならば、創作文字も漢字です。(現在では多くの人がおもしろがって「ビャンビャン麺」を話題にするのでこの字も登録されるようですが・・・)
例えば、「㍻」は1字でしょうか?
これは〈2字を1マスに書いただけ〉と見るのならば、1字ではありません。
しかし、「麿」はもともとは「麻呂」だったものが1マスに収まることで1字になりました。
「晃」も同じです。「日光」を1マスに収めることで1字になった字です。
〈「㍻」は「へいせい」と読む1字だ〉と言えるのです。
当然、「㍿」は「かぶしきかいしゃ」と読む漢字になります。
新学期のクラス分けで名簿を貼り出したならば、全員の名前を書いた紙は「1年1組」と読む字と扱えます。
夏目漱石の「吾輩は猫である」に「字」に関する興味深い話があります。
「今夜はなかなかあがるのね。もう大分赤くなっていらっしゃいますよ」
「飲むとも――御前世界で一番長い字を知ってるか」
「ええ、前の関白太政大臣でしょう」
「それは名前だ。長い字を知ってるか」
「字って横文字ですか」
「うん」
「知らないわ、――御酒はもういいでしょう、これで御飯になさいな、ねえ」
「いや、まだ飲む。一番長い字を教えてやろうか」
「ええ。そうしたら御飯ですよ」
「Archaiomelesidonophrunicherata と云う字だ」
「出鱈目でしょう」
「出鱈目なものか、希臘語だ」
「何という字なの、日本語にすれば」
「意味はしらん。ただ綴りだけ知ってるんだ。長く書くと六寸三分くらいにかける」
自由に「漢字」が作れる話はそれはそれでおもしろいと思います。しかし、創作漢字の話は第1部の終わりの話としてふさわしいように思わなかったのです。
「ビャンビャン麺の話」が創作漢字をあつかう第3部に出てきたのならば分かります。しかし、第1部では〈画ってすごいなぁ〉と思える話で終わりにしたかったのです。
そのための教材研究が現在につながっています。今でも変わっていません。