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1日90分をセールス電話に奪われていた ― 月1万4千円で始めた対策の話 ―


    社労士開業準備中のともちかと申します。
    以前、クラウドPBXの導入によって社内の電話環境を再構築した話を書きました。

    今回はその続きにあたる、代表電話のセールス電話対策についてお話しします。

    ①5年間、ずっとやりたかったこと

    先に書いておくと、この取り組みは思いつきではありません。
    前職の総務時代から、5年間ずっとやりたいと思い続けていたことです。
    総務が応対する代表電話には、取引先やお客さまからの問い合わせよりも、セールス電話の方が多いのが実情です。
    多い日には40件を超えることもあります。
    前職も同じ状況でした。
    当時から件数の記録を取り、数字を揃えた上で何度か対策を提案したのですが、結局どれも通らないまま退職することになります。
    その顛末については、最後に触れます。

    ②入社初月から、また実態を測り始めた

    現職に入社した時、着任してすぐに同じ記録を取り始めました。
    普通に考えれば、入社直後は業務を覚えることで手一杯です。
    それでも最初にこれを始めたのは、提案するなら数字が要ると分かっていたからです。
    「多い気がする」では、議論の土台にすら乗りません。
    体感を訴えても、忙しさを伝えても、判断する側には響きません。
    そして数字を出すには、最低でも数ヶ月分の記録が要ります。
    着任してすぐ始めなければ、提案できるのは1年後になってしまいます。
    記録した内容は単純で、1日の着信件数と、その内セールス電話が何件だったか。
    それを毎日、業務の合間に書き留めていきました。
    その結果が、次の数字です。
    2月から6月までの5ヶ月間、1日平均29.8件。
    1回あたりの平均応対時間は2分52秒でした。
    キリよく30件×3分で計算すると、1日のうち90分がセールス電話への応対に費やされていることになります。

    ②時間を、金額に換算してみる

    90分という数字だけでは、経営層には響きません。
    そこで人件費に換算しました。
    ここでは仮に、時給2,200円として計算してみます。
    社会保険料の会社負担分まで含めた人件費として、決して高い設定ではないはずです。
    これに1日90分を掛けると、次のようになります。

    ●    1日あたり 3,300円
    ●    1ヶ月あたり(20営業日) 6万6,000円
    ●    1年あたり 79万2,000円

    セールス電話をかけてくる業者に、こちらが賃金を支払っているようなものです。
    もちろん、時給をいくらに設定するかで金額は変わります。
    ただ、どんな数字を入れても年間数十万円という規模になることは変わりません。
    自社の水準で一度計算してみると、想像より大きな金額が出るはずです。
    誤解のないように書いておくと、セールス電話そのものが悪いとは思っていません。
    営業活動として当然のものですし、そこから有益な取引が生まれることもあります。
    ただ、これだけの時間と金額が発生している以上、何も手を打たないという選択はないと考えました。

    ③導入したのは、ナビダイヤル

    そこで導入したのが、NTTコミュニケーションズが提供するナビダイヤル(0570)です。
    一般には「1番を押してください」という音声ガイダンスで用件別に振り分ける仕組みとして知られていますが、当社ではその機能は使っていません。
    番号での振り分けはナビダイヤルのオプションサービスであり、契約していないためです。
    やったことは、もっと単純です。
    代表電話番号を、ナビダイヤルの番号に置き換えただけ。
    これまで「発信者 → 代表電話」と直結していた経路に、「発信者 → ナビダイヤル → 代表電話」という1クッションを挟みました。
    それだけです。

    ④なぜ、これがセールス電話対策になるのか

    「番号を挟んだだけで効果があるのか」と思われるかもしれませんが、私は次の2つの理由から、一定の効果が見込めると考えました。

    理由1:セールス電話は件数勝負だから
    セールス電話は、1件あたりの時間を短く抑え、できるだけ多くの会社にかけることで成果を出します。
    1回の応対に時間をかけるビジネスモデルではありません。
    ナビダイヤルを経由すると、目的の相手につながるまでに数秒から数十秒の待ち時間が生まれます。
    その時間があれば、次の会社にかけたほうが効率が良い。
    そう判断されれば、諦めてもらえる可能性があります。

    理由2:発信者に通話料が発生するから
    ナビダイヤルの通話料は発信者負担です。
    2024年1月から全国一律課金となり、固定電話などからの発信では3分ごとに税込9.35円がかかります。
    1件あたりの金額は小さいですが、1日に何百件とかける側からすれば、無視できるコストではありません。
    「かけるだけでお金がかかる番号」であることは、それ自体が一定の抑止力になります。

    ⑤正直に書いておく、この方法の限界

    万能な対策ではありません。
    事前に把握していた弱点が2つあります。

    弱点1:既存のリストには効かない
    代表電話番号そのものが使えなくなる訳ではないので、既に紙やExcelでリスト化されている場合は、これまで通り直接かかってきます。

    弱点2:ネット上の番号情報を変えないと意味がない
    自社ホームページの電話番号を変更するのは当然として、GoogleやYahooの検索結果に出る企業情報、ナビタイムやタウンページといった各種サイトに掲載された番号が代表電話のままでは、効果が半減します。
    主要なサイトへの番号変更依頼は、セットで進める必要があります。
    ここを省くと、導入した意味がほとんどなくなります。

    ⑥導入コストは、驚くほど安い

    この取り組みの最大の利点は、費用の安さです。
    当社の場合、契約したのは代表電話の1ダイヤルのみ。
    かかった費用は次の通りです。

    ●    初期費用:1,400円
    ●    月額利用料:14,000円

    前回書いたクラウドPBXの初期投資100万円と比べると、桁が2つ違います。

    ⑦導入1ヶ月の結果

    まだ導入から1ヶ月しか経っておらず、効果を断定するにはデータが不足しています。
    その前提でお読みください。
    現時点で、着信件数は導入前と比べて1日あたり10件ほど減少しています。
    1件3分で計算すれば、1日30分の削減です。
    同じ時給2,200円で計算すると、1日あたり1,100円、月間で2万2,000円。
    この時点で、ナビダイヤルの月額費用を上回っています。
    導入した価値はあったと考えています。

    ⑧完全に無くしたいなら、別の手段もある

    セールス電話を徹底的に排除したいのであれば、迷惑電話フィルタリングサービスやコールセンター代行の利用という選択肢もあります。
    効果は確実に高いでしょう。
    ただし、相応のコストがかかります。
    実態が見えていない段階で、いきなりそこに踏み込むのは勇気が要ります。
    その点、ナビダイヤルは月1万4千円です。
    まず試してみる対策としては、ちょうどよい規模だと思います。
    減ればそれで良し。
    それでもかかってくる業者は、記録を取っているのでリスト化できています。
    あとは着信拒否を設定すればいいだけです。

    ⑨前職で、この提案が通らなかった理由

    最後に、冒頭で触れた話に戻ります。
    前職でも、同じ提案を何度かしました。
    件数も応対時間も記録し、金額に換算した資料まで用意しました。
    それでも通りませんでした。
    理由は、「本当に問い合わせをしたいお客さまに迷惑がかかるから」というものでした。
    その懸念はもっともです。
    だから、対案も用意しました。
    提案したのは、名刺に印刷する電話番号は、ナビダイヤルではなく従来の代表電話番号のままにするという方法です。
    そうすれば、名刺を渡した相手、つまり既存の取引先や既に面識のあるお客さまは、これまで通り直接つながります。
    ナビダイヤルを経由するのは、ネット等で番号を調べてかけてくる相手だけになります。
    しかしこれも通りませんでした。
    今度は「新規のお客さまに迷惑がかかる」という理由でした。

    ⑩前提が違えば、対案は積み上がらない

    このやり取りから学んだことがあります。
    数字を出せば提案が通るわけではない、ということです。
    私は「時間とお金の無駄」という土俵で話していました。
    相手は「顧客への影響」という土俵で判断していました。
    噛み合っていなかったのは数字の精度ではなく、そもそも何を天秤にかけるかという前提のほうでした。
    前提が違うまま対案を出しても、次の反対理由が出てくるだけです。
    既存顧客への配慮を示せば新規顧客の話になる。
    そこに対策を打てば、また別の懸念が出てくるでしょう。
    議論しているように見えて、実は最初から結論が決まっていた。
    そういうことは、どの会社でも起こり得ます。
    今回それが通ったのは、私の資料が良くなったからではありません。
    判断する側が、従業員の負担も天秤に乗せてくれる会社だったというだけかもしれません。
    そう考えると、改善提案が通るかどうかは、提案する側の力量だけの問題ではないのだと思います。
    ただ、数字を持っていなければ、乗せてもらえる可能性すらありません。
    だから記録は取り続けます。


    バックオフィスの効率化や生成AIの実務活用について、引き続き発信していきます。
    ぜひフォローいただけると嬉しいです。

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    働き方改革・DX特化型の社労士を目指して開業準備中。 ▪️令和7年度(2025年)社会保険労務士試験合格 ▪️フルタイム共働き+小1男児の子育て中 ▪️筋トレ/水泳/スキー/音楽/漫画/アニメと多趣味 ▪️総務5年間の残業は合計10h未満 仕事・家庭・趣味を全て両立する仕組みを発信中。

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