第2章 #53 王陽明は理想主義にバークレイやフィヒテに劣らず同じくらいまでに至り、人知の外に物象の存在することを否定した
#53 He went as far as, if not farther than, Berkeley and Fichte, in Idealism, denying the existence of things outside of human ken.


私の訳:彼は理想主義にバークレイやフィヒテに劣らず同じくらいまでに至り、人知の外に物象の存在することを否定した。


if not farther than の使い方
英文の中で使われている if not farther than は、「~より遠くまで(深く、あるいは極端に)行っていないとしても(=少なくともそれと同じくらいか、それ以上に)」 という意味を表す挿入句です。
この文の構造とニュアンスを分かりやすく分解して解説します。
1. 文全体の意味
「彼は、唯心論(観念論)において、バークリーやフィヒテと同じくらい、あるいは彼ら以上に極端なところまで行き、人間の知識の及ばないものの存在を否定した。」
Berkeley and Fichte:バークリーとフィヒテ(哲学の「観念論」で有名な哲学者たち)
human ken:人間の知識、理解の及ぶ範囲
2. 「if not ~」の文法的な仕組み
この表現は if not + 比較級(あるいは形容詞) の形でよく使われる定番のフレーズです。「もし~でないとしても、少なくとも…」という、一歩踏み込んだ強調をするときに使います。
as far as:~と同じくらい遠くまで
if not farther than:~より遠くへ行っていない(= farther than)にしても(if not)
つまり、「バークリーやフィヒテよりさらに遠く(過激なところ)へ行ったと言い切れるかは別として、仮にそうでなかったとしても、彼らと同じくらいまでは確実に行った」 というニュアンスになります。
3. よくある似たような表現(仲間たち)
このパターンを覚えると、英語の長文がぐっと読みやすくなります。
if not better(より良いとは言えないまでも、同じくらい良い)
"He plays the piano as well as, if not better than, his teacher."
(彼は先生より上手いとは言えないまでも、少なくとも同じくらい上手にピアノを弾く。)
if not impossible(不可能ではないにしても、極めて難しい)
"It is difficult, if not impossible, to finish this today."
(これを今日中に終わらせるのは、不可能ではないにしても難しい。)
💡 読み解くコツ
長文を読むときは、この if not farther than を一旦カッコで括って(無視して) 読んでみてください。
He went as far as Berkeley and Fichte in Idealism...
(彼は観念論において、バークリーやフィヒテと同じくらい極端なところまで行った…)
これだけで文の骨組み(=同じくらい極端だった)が分かります。そこに「もしかしたら彼ら以上だったかもね」という書き手のニュアンス(強調)が付け足されているだけ、と考えるとスムーズに理解できます。


#64とも関連あり


