
【療育探偵07】言葉を促す仕組みが、 友達に寄り添う「優しさ」に変わる
はじめまして、emcOmi_in_progress です。
このページに立ち寄っていただき、ありがとうございます。
このnoteでは、家族を守るために「仕組み」で戦ってきた私の実体験を綴っています。
前回の年長になったばかりの4月の記録では、
息子が「不適切行動」の裏側に隠していた、
優しさについて綴りました。
こどもの日、お子様の成長を祝う節目に、
幼稚園年長になって1ヶ月が経った5月の記録、
療育の仕組みが育んだ、
息子なりの「優しさ」の記録を届けます。
自分を守るための「命綱」が、
誰かと心を通わせる「優しさ」に変わっていく、
穏やかな変化の記録です。
1. 「命綱」の芽吹き
「せんせい、あそぼ」
「下でやりたい」
「もう一回やりたい」
「先生、赤、車、ちょうだい」
5月の個別レッスン、
息子の意思が響くようになりました。
恐竜のフィギュアで遊びながら、
主語・目的語・述語が揃った「3語文」を
自然と使うようになり、息子の想像が
他者に伝わる形で描写され始めました。
「恐竜、落ちる」
「水のむ」
「マグマ入る」
「恐竜、草かくれる」
これは単なる発語の練習ではありません。
「今、何を考え、何を求めているか」を伝える。
将来の社会と繋がる「命綱」が一本ずつ
丁寧に編み上げられていく過程でした。
2. 訪問支援:「廊下の住人」からの卒業
この「命綱」がもたらした変化は、
幼稚園での訪問支援の記録にも表れていました。
年中時代、彼は「廊下の住人」でした。
教室で何をすればいいのか分からず、
廊下に脱走する機を狙っていた息子。
しかし、年長になった5月の記録。
担任の先生からのコメントには、
別人のような姿が記されていました。
「廊下に出るなどの離席は、一切なくなった」
「全体指示を聞いて、周りの様子を観察しながら、
部屋の真ん中でしっかり話を聞けている」
年中以前の参観日のこと。
自由に走り回り、
1人、パパのもとに遊びに来たり、
歌の時間、
ピアノを弾く先生の隣に進んで
先生の指の動きを観察していたり。
(参観日に先生はやりにくかったことでしょう)
かつての自由気ままな息子の姿が嘘のようです。
特筆すべきは、彼なりに行動の
「使い分け」ができるようになったことです。
自由時間に大好きな砂遊びをしていても、
整列の号令がかかれば、切り替えて列に加わる。
園長先生からのお話の間、手持ち無沙汰で
砂場にふらふら戻ることもありましたが、
「今からみんなで踊ります」の掛け声で
スコップを片付けてからクラスの列に戻り、
ダンスに参加する。
「ここは、ちゃんとやる場面だ」
息子なりに状況を判断し、
自律的に行動を切り替える姿に、
担任の先生からも驚きの声が上がりました。
「活動参加に難しさがなくなり、
次の目標を何にすべきか悩んでいます」
「どう支援すべきか」という悩みから、
「次に何を伸ばそうか」という
うれしい悩みに変わっている。
療育で言葉を育み、見通し表というステップで、
少し先を考えられるようになったことで、
園のみんなと一緒に過ごす時間が増え、
「ここにいても大丈夫だ」という
安心感で脱走が無くなったのかもしれません。
3. 「わからなくなったら聞きにきてね」
世界を理解し始めた彼は、
同時に「分からない」という不安への
対処法も学び始めていました。
「これ?」と先生に都度質問する。
自分の席に他児が誤って座っているとき、
指差しで先生に伝え、指示を仰ぐ。
「わからなくなったら、聞きに来てね」
という先生との約束を、
息子は「困ったときのルール」として
見事に遂行しています。
親としてこれほど安心を感じる成長はありません。
分からないことを隠さず、
他者に助けを求められる。
これこそ、将来、
息子が社会と繋がる「命綱」になるからです。
4. 間違い探し:「共感」
言葉を頼りに、自身の困りごとが少なくなると、
「他者の内面」に目が向かい始めました。
間違い探しの絵で、
スプーンを反対にくわえている少年の絵を見て、
彼はポツリと呟きました。
「スプーン、反対。痛そう」
事実を指摘するだけでなく、
その先にいる感情を推察する言葉。
「自分だったら痛い」
息子の優しさが、
共感の形で言葉にされた瞬間でした。
5. ただそばにいる「優しさ」
この共感の芽は、
具体的な「行動」として現れます。
ある日のレッスン、
課題に上手く参加できず、
部屋の隅に座り込んでしまったお友達がいました。
息子はその子のそばに歩み寄り、
お友達の視界にそっと入り込むように、
顔を覗き込んでは、優しい笑顔を向けたのです。
言葉ではなく、
ただお友達のそばで寄り添おうとしたのです。
前回記事のいじけの一幕で、
部屋の隅で壁に向かい、
心を閉ざしてしまったのは、息子自身でした。
言葉を発信する力、言葉を理解する力が育ち、
社会と関わる安心感が生まれた息子は、
そのエネルギーを、まっすぐに、素直に、
「優しい」気持ちに注いでいきました。
友達に寄り添う様子を療育の先生から伺ったとき、
息子はこのままでいいんだ、
言葉より大切なことがしっかり育っている。
そう思えました。
6. 結び:仕組みが「自信」に変わる時
これまで取り組んできた
「3語文」や「見通し表」の課題は、
息子が社会の中で自分を表現し、
真っ直ぐに伸びていくための「添え木」になりました。
自分を守るための「命綱」が
一本ずつ丁寧に編み上がるにつれて、
息子は「小さな社会」の中で
自由に泳げるようになったのです。
守られているという安心感は、
やがて確かな土台となり、息子の内側にあった
「他者を思いやる心」を鮮やかに芽吹かせました。
「ねぇ、先生」
困っている友達のために先生を呼びに行く後ろ姿。
かつて迷子だった少年は、今、自らの意思で
「誰かのための灯火」になろうとしています。
私の言葉が、
日々、大切な人を支えるため
不安と闘っている誰かの、
足下を照らす小さな灯火になりますように。
emcOmi_in_progress
✔あわせて読んでいただきたい、私たちの軌跡
✔パパの守り神
今回の「寄り添い」を見せた息子が、数年後、どのように私を支えてくれる存在になったのか。この物語の「未来」の姿です。
✔「迷い」が消え、「意思」が宿る
自らセンサーを駆使し、園活動の波に立ち向かう、
「自律」の挑戦の始まりです。
✔【療育探偵 01】すべては、ここから始まった
「廊下の住人」だった頃の彼と、私たちの最初の一歩。【療育探偵】シリーズを最初から追いかけたい方はこちらから。