
黒歴史 無敵の自信 フルセット~夢を諦めた40代モブのひとりごと。【中学生編】~
小学生の時に芽生えた確固たる根拠のない自信を胸に、中学生になった私は、もちろん部活動を始めるべく動き出した。
門を叩くは演劇部。
私は掲示板に貼られている部活募集のポスターから「演劇部」の文字をさがした。
ん?
んん??
無い。
無いではないか!!!!
演劇部の!!!
募集!!!
「廊下は走らずに」のポスターを尻目に、私は職員室へ走った。
「先生! え、演劇部はうちの学校には無いのでしょうか?」
血相を変えた私に、先生は動じることなく告げた。
「あぁ、演劇部ね。廃部になったんよ、去年」
MAJIKA!?

こうして私の中学時代は帰宅部という、控えめにいって「おもろない」3年間を送ったのだった。
――完――
と思いきや当時、声優になりたいという友だちができ、まだ自らは何のアクションも起こしていないにも関わらず、将来の夢だけは熱く語り合うことができていた。
それだけではない。本屋で子ども向けの演劇ノウハウ本を買って読んだだけで、役者としての戦闘力が爆上がりしたような錯覚まで起こしていた。
これが有名な「中二病」であることは言うまでもない。
そしてこの「中二病」の熱量が爆発するイベントが開催されることとなる。
「演説コンクール」だ。
国語の授業の一環で行われたこのイベントは、まずクラスでの予選を勝ち上がった者が本選に進めるというものだ。
本来、中学生というものは自分を前に出すことが恥ずかしい、思春期という繊細なお年頃だが、「中二病」を患っていた私にとっては、やり場のない情熱をぶつける格好の機会だった。
私は体育館の舞台上から思いの丈をぶつけた。
その姿を大人になった今思い返すと、
『痛い! イタすぎるぅぅぅ!!』
これに尽きる。
同じ本選出場者が家族の大切さや、友だちへの感謝を演説する中、肥大化した将来の夢をマシンガントークするという、今思い出すと黒歴史すぎる演説をしたのだから。
しかし、無敵の中学生だった私は、やはり「笑わせている」のか「笑われている」のかも分からないまま、爆笑のなか演説を終え、なんと優勝してしまったのだ。
先生からは優勝祝いに賞状を入れる立派な額をいただき、私の自信はさらに強固なものとなった。
「やっぱり私には才能があるんや!」

そんな無敵の確信を抱いて、私は高校の演劇部の扉を叩くこととなる。
ーー扉のその先は理不尽を受け入れ、さも何事もなかったかのように振る舞うことを覚える大人への入り口であることを、無邪気な中学生はまだ知らない。
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