
根拠のない、確信の始まり~夢を諦めた40代モブのひとりごと。【小学生編】~
私が役者を目指したきっかけは、30年ほど前まで遡る。
当時の私はオタクの道を爆走中で、それこそ毎日友だちと漫画やアニメについて語り合い、イラストや漫画を描きまくっていた。
(漫画家とかずっと漫画かいて暮らすんやろ?サイコーやん。漫画家なりたいなぁ。)
とふんわり憧れを抱きつつも私自身、絵の才能がないことには薄々感づいていた。
そんなある日のホームルーム。
先生が、とんだサプライズをかましてきた。
「明日、学活の授業で皆に出し物をしてもらいます。何をしても構いません。ひとりでも、グループでもよいので考えて発表してください。これが今日の宿題です。」
クラスはざわついた。
だが宿題である以上、素直な子どもたちは必死に考える。
パーティーゲームの企画を考えるチーム。
お得意の一発芸を披露しようとする子。
そんな中、私が友だちに提案したのが『創作劇』だった。あらすじはこうだ。
【現代版金太郎】
老夫婦が大事に育てたはずの金太郎は暴れん坊となり、森の動物たちをいじめていた。老夫婦は嘆き悲しんだ。
森の秩序を守るため、熊は相撲の修行をする旅にでる。そして1年後、金太郎を見事に打ち破り、平和を取り戻す。金太郎も更生してめでたしめでたし。
土曜日に吉本新喜劇が放映されるという地域柄、ある種のお笑い英才教育を受けて育ったため、そこにお笑いのエッセンスを加え、5分ほどの「新喜劇」を完成させた。
そしてこれが、クラスで大ウケしたのだ。
ふだんは学校のルールを決して破らない、真面目Of真面目の私がおどけたり、全力でノリツッコミをしたりするものだから、クラスメイトも先生もひどく驚いたようだった。
劇が終わったあと、「自分、めっちゃおもろいやん!」「サイコーやん、もう吉本いけよ!」と声をかけられ、私はしばらくクラスの時の人となった。
それが「笑わせている」のか「笑われている」のかは分からなかったが、その異様な盛り上がりに、私の気持ちは高揚していた。
その時、思った。
「これや!私はこんな気持ちになる仕事がしたい!舞台役者になりたい!むしろなるべきやろ!だって私は演技の『天才』なんやから!!」
潔く白状する。
私には、才能があったと今でも信じている。
思えば自分自身にスポットライトが当たることだけを考えた独りよがりの駄作である。
だが、周囲を巻き込む凄まじい勢いもあった。
故に勘違いではなく、あの時の私には、ある種の「才能」があったことを今でも信じている。
そして自信満々だった天才少女は、30年後、ただの「40代モブ」として勢いのままにこれを書いている。
あの時、教室で灯った無邪気な情熱は、今も私の記憶の中で鮮明に生き続けているのだ。

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