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夏の終わりに、約束したこと

    娘の友達A君と、その妹Fちゃんと
    盆踊り大会へ行った日のこと。

    普段はサッカーのスタジアムだけれど、
    この日は、裸足で芝生に入らせてもらえる。

    約1ヶ月ぶりに会えた、
    A君とFちゃんは、涼しげな甚平。
    娘は、去年初めて袖を通した浴衣を着た。
    3人とも、かわいい。

    まずは、
    「たからさがし」に挑戦した子どもたち。

    みんなあっけなくE賞のお菓子。

    もう一度挑戦したA君は、
    C賞のスクイーズを当てて、
    ぷにぷにしながら喜んでいた。


    焼きそばを買って、
    2階のスタジアムの席に座った。

    普段はサッカーの試合を観る場所なので、
    こんなふうに自由に座って食べられるなんて、
    それだけで来てよかったと思えた。

    食べ終わったA君が、
    「なんか買ってこようか?」
    と言った。

    A君のお母さんがポテトを頼むと、
    娘も急いで立ち上がった。

    「買ってくるからお金ちょうだい」

    ん?

    買い物に行くのは、今回が初めて。

    大丈夫かな、と一瞬思ったが、
    A君と一緒なら大丈夫かな、に変わった。

    娘より1歳上の3年生。

    小さい頃からたくさん遊んでいて、
    娘はいつもA君についていっている。

    「じゃあ、たこせん買ってきてもらおうかな」

    200円を渡した。


    A君と娘が張り切って買い物に行き、
    A君のお母さんとFちゃんと私の3人になった。

    会場では、aikoの曲が流れた。

    お互い顔を見合わせ、
    一緒に野外ライブへ行ったことを
    思い出した。

    買ったタオルを頭に被せて、
    日除けがわりにしながら、
    当時好きだったアーティストの話で
    盛り上がったことが、懐かしい。

    A君のお母さんと私は、
    幼稚園で出会った友達だ。

    3年間、同じクラスだった。

    アルバムには、
    彼女とのツーショットがたくさん残っている。

    小学校は校区が違い、
    離れてしまった。

    連絡をとらないまま、
    私たちは大学生になった。

    ある日、私が働いていたカフェに、
    面接にきた女性がいた。

    カウンター越しに名前を聞いた瞬間、
    すぐにピンときた。
    ずっと覚えていたフルネームだから。

    私の名前を伝えると、
    彼女も同じ顔をして驚いていた。

    働くことになった彼女と
    バイトが終わってからたくさん話をした。

    わざわざ何でこのカフェ?
    いろいろあるのに、何でこの駅?

    カフェは他にもある。

    奇跡としか言いようがなくて、
    運命を感じた。

    お互い就職前にバイトを辞めて、
    就職してからも旅行へ行った。
    海外にも2回行った。

    子どもが生まれてから、
    よく公園で待ち合わせて、一緒に遊んだ。

    A君のパパの単身赴任先の中国へ、
    みんなで引っ越すかもしれない話は
    今も変わらない。

    カウントダウンのような気がして
    会えるたびに胸がギュッとなる。

    「買ってきたよー!次何買う?」

    A君と一緒に戻ってきた娘は、
    楽しそうでキラキラしている。

    自分で注文したんだと思うと、
    じーんとした。

    「じゃあ、ミルクせんべいお願いね。」

    その笑顔をまた見たくて、
    何度も頼んでしまった。

    気づけば、
    財布の中にあったはずの
    600円はもうとっくになくなっていた。



    あれ?
    ミルクせんべい、
    そこまで好きじゃなかったのに。

    甘さがふわっと広がって、
    いつもよりおいしく感じた。


    盆踊りでは、
    少し恥ずかしがりながらも参加して、
    その後スマートボールに挑戦したA君。

    参加賞の竹とんぼをもらって遊んでいた。
    それを見て、娘も並んだ。

    すると列が揃い、鐘が鳴る。
    大きな景品の中から選ばせてもらったが、
    竹とんぼが欲しかった娘は、
    ちょっぴり残念そう。

    「次は私も…!」

    と私も挑戦してみたら、
    まさかの2列揃い。
    カランカラン。
    嬉しいけど、ええっ?

    A君は3回目も挑戦したが、
    また竹とんぼだった。
    「もういらない」と走っていった。

    3個目の竹とんぼは、
    娘がもらうことになった。

    大きな景品を
    もう1個選べることになった私は、
    A君にも渡したくて、
    A君のお母さんにどれがいいか聞いてみた。

    でも、
    首を横に振りながら、
    笑って断られた。

    せっかく当たった景品だから、
    みんなで遊べるおもちゃを選んだ。

    今度、A君の家へ持っていこう。


    A君からもらった大切な竹とんぼは、
    今もくるくる回っている。


    サンダルを脱いで、
    裸足で芝生を歩く1年後を想像する。

    来年は何を食べよう。

    また3人で、
    竹とんぼを回せたらいいな。


    「楽しかったから、
    来年も盆踊り大会、行こうね」

    「来年、子ども達も連れて
    一緒に野外ライブ、行けたら最高やね」

    私の中で、彼女との約束は、
    どこか特別で、
    そこにはいつも、
    みえない願いを込めている。



    来年も、
    どうか一緒に。



    #600note祭り

    たかっちさんの企画に
    参加させていただきました。
    たかっちさん、
    マガジンの600人達成、おめでとうございます。

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    ぺぺ

     
     
    子育てエッセイ|小さな幸せ|よかったことノート 小学2年生の娘との“今しかない時間”を大切に、親子の日々の心の動きや成長を綴っています。 元保育士。毎晩の「よかったことノート」は、私自身の心を整える大切な習慣。 そこで見つけた何気ない幸せを言葉にしています。

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