
おにぎりはどこに消えた ――私の知らない夏祭り・第2弾
私の知らない夏祭り・第1弾はこちらです。
勤務する塾の近くにある神社のお祭りへ行ったあと、
ある生徒から言われました。
「今度は、私が卒業した小学校のお祭りに来て」
そう言われたので、さっそく行くことにしました。
ただ、前回の神社のお祭りより、今回はかなり不安でした。
縁もゆかりもない小学校のお祭り。
知っている人は、ほとんどいません。
たくさんの人が集まる中で、
誘ってくれた生徒を見つけることができるのか。
まあ、会えなかったら、すぐ帰ろう。
そんな気持ちで会場へ向かいました。
ところが、小学校に入ってすぐ。
20メートルほど先から、誰かが大きく手を振っています。
誘ってくれた生徒のお母さんでした。
お祭りで、お店を出していたのです。
まずは一安心。
知っている人がいた。
売られていたおにぎりを、とりあえず2個買いました。
そのあと、運動場を歩いていると、
「先生!」
と、2人の生徒に声をかけられました。
この小学校の卒業生で、お祭りに来ていたようです。
ちょうど2人。私の手元には、おにぎりが2個。
これはもう、おにぎりを2人にあげるしかない。
もう一度お店へ戻り、今度は5個買いました。
その後、また知っている顔に出会いました。
そして、誘ってくれた生徒にも、会うことができました。
ほんのわずかな時間でしたが、
思っていた以上に楽しい時間になりました。
縁もゆかりもない小学校。
知らない人ばかりだと思っていた場所。
それでも、会場を歩けば、
思っていた以上に知っている顔がありました。
前回の神社のお祭りでも思いましたが、
この町では、本当に多くの人が私に声をかけてくれます。
私はこの町に住んでいるわけではありません。
ここで働いているだけです。
それでも、「先生!」と呼んでくれる人がいる。
遠くから手を振ってくれる人がいる。
知らない場所だったはずなのに、
少しずつ知っている顔が増えていく。
私はまた、この町が好きになりました。
合計7個買ったおにぎり。
お祭り会場を出るころには、全部なくなっていました。
結局、私は一つも食べていません。
私のために買ったはずのおにぎりは、
いつの間にか、この町で出会った人たちの手に渡っていました。
このお祭りは2日間あります。
今日も、もう一度行く予定です。
昨日は一つも食べられなかったおにぎり。
今日は、少し多めに買おうと思います。
そして今度こそ、なくなる前に絶対に食べる。
たぶん。