
ドル円155円、"割れたら加速"と言われる線の正体
「155円を割ったら、下げが加速する」
今朝、そんな解説を見た。まるでその数字自体に、相場を押し下げる力が宿っているみたいな言い方だった。
でも、順番は逆だ。線が相場を動かすんじゃない。みんなが同じ線を見ているから、そこを抜けた瞬間に雪崩れる。今日はその話をする。
まず、確定してる事実だけ並べておく。
9月3日、日経平均は4日続落。終値は64,214円48銭、前日比111円16銭安(-0.17%)だった。ただしTOPIXは反発しており、下げは一様ではなかった。前日の米国株は4日ぶりに反発していたのに、東京は素直にそれを引き継がなかった格好だ。
同じ9月3日、日銀の高田審議委員が「利上げ幅はあらかじめ決まっているわけではない」「一般論として連続利上げになることもあり得る」と発言。これを受けてドル円は160円台前半から東京時間で157円台、156円台へと売られ、NY時間に入ってさらに加速した。GPIFが国内へ資金をシフトしているという観測、FRBウォラー理事のハト派寄り発言(インフレが鈍化すれば利上げを見送る用意がある、という趣旨)も同じ方向に重なり、一時155円台まで沈んだ。約1か月ぶりの円高水準だ。
昨日書いた記事の時点で、ドル円は159円45銭だった。そこからさらに4円以上動いたことになる。9月4日未明の時点では、オプション市場から「155円を割れば売りがさらに加速する」という指摘も出ている。今夜21時30分には8月分の米雇用統計も控えている。
なんでこのタイミングでこの話をするかというと、たった1人の発言をきっかけに、1日で4円、5円と動く相場を、俺は何度も見てきたからだ。しかもその時いつも、動く直前まで市場は驚くほど静かだった。
俺が見てるのは、水準そのものの強さじゃない。そこに"誰がどれだけ構えてるか"だ。
155円のような節目は、最初は何の変哲もない数字だった。でもそこまで下がってくると、「さすがにそろそろ止まるはず」と逆張りを仕込む人が増える。一方で、上のほうで買って含み損を抱えたまま耐えてる人も、同じ水準の下に積み上がっていく。線の"強さ"の正体は、そこに集まった人の数でしかない。線そのものに力があるわけじゃない。
だから、抜けた瞬間の値動きは、線が弱いからでも強いからでもない。そこで構えてた人たちが、同じタイミングで同じ方向に投げるからだ。逆張りで入った人の損切りと、含み損を抱えてた人の投げが、一点で重なる。加速するのは当然の結果であって、異常事態じゃない。
俺は昔、節目に逆張りで突っ込んで、抜けた瞬間に投げさせられたことがある。「さすがにここは止まるだろう」と思い込んで、根拠は"みんなもそう思ってそうだから"くらいのものだった。振り返ると、線を信じてたんじゃなく、線を信じてる自分を信じてただけだった。
今は、線そのものを"守ってくれるもの"として扱わない。太い節目でも、抜けたら「その線の役目はもう終わった」と見なして、そこに固執しない。逆張りで入るなら、抜けた時点で機械的に手を引く。線が正しいかどうかを議論するより先に、線が壊れた後にどう動くかを決めておく。この順番を逆にすると、また同じ投げを食らう。
今日みたいに、材料が2つ3つ重なって一方向に動く日は、節目を"信じすぎた"人ほど痛い目を見やすい。信じるかどうかより、壊れた時に自分がどう動くかだけを、先に決めておく。それだけでいい。
節目は、守ってくれる壁じゃない。ただの、みんなが見てる場所だ。見てる人が多いほど、抜けた時の反動も大きくなる。俺がどこで「この線の役目はもう終わった」と判断してるかは、有料の手法noteに具体的な基準としてまとめてる。
今日の一言。壁を信じるな、壁に集まってる人数を見ろ。
この話が刺さったなら、これも。 15兆円介入のドル円が、また160円に戻ってきた理由
俺が実際に使ってる手法の全部はこっち。