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Photo byyuduru_910

"当たったからヨシ"――トレードで一番危ない口ぐせ


    「今日はうまくいったから、このやり方で合ってる」
    決済ボタンを押した直後、頭の中でそう呟いたことはないだろうか。含み益が乗った瞬間、さっきまで「本当にこれで入っていいのか」と迷っていたはずのエントリーが、急に"正解"に変わる。
    でも冷静に考えてほしい。勝ったから正解になったわけじゃない。トレードの中身は、決済する前も後も一文字も変わっていない。変わったのは、結果を見たあとのあなたの評価だけだ。
    今日9月23日は秋分の日で、東京の株式市場は5連休の最終日でお休みだった。株は動かなくても為替は普段どおり動いていて、ドル円は157円台前半で落ち着いた値動きが続いている。派手な材料がない日ほど、こういう地味な思考のクセは見つけにくい。だから今日はあえてここを掘る。
    昔の俺には、決めていた損切りのライン(あらかじめ「ここまで逆行したら切る」と決めておいた価格)より先に、「まだ戻るかもしれない」と握り込んでしまう癖があった。ルール上はとっくに切っていないといけないのに、指が動かない。
    その握り込みが、たまたまプラスで終わった日が何度かあった。その夜のトレード日記には、堂々とこう書いていた。「今回は判断が良かった」と。
    今の俺から見れば、それはただの結果論だ。何日か後、まったく同じように握り込んで、今度は-40pipsを食らった。そこでようやく気づいた。「良かった判断」なんてものは、その日その日の値動きが後から勝手に配ってるだけで、俺が優れていたわけじゃない。ルールを破ったという事実は、勝った日も負けた日もまったく同じだった。
    これに近い話は行動経済学にもある。同じプロセスで下した決断でも、結果が良ければ「いい判断だった」、結果が悪ければ「悪い判断だった」と、後から評価がひっくり返ってしまう。中身のプロセスは何ひとつ変わっていないのに、だ。難しく言うと「結果論(アウトカム・バイアス)」というやつで、要は「結果を見てから、それに合わせて理由を後付けする」心のクセのことだ。
    たとえるなら、サイコロを同じ振り方で振っても、出る目までは自分でコントロールできない。それでも「6が出たから、今の振り方が正解だった」とは普通言わない。トレードも本当は同じ構造なのに、お金が絡んだ瞬間、なぜかこの理屈を忘れる。
    厄介なのは、ルール違反が"たまに勝つ"せいで、余計にやめられなくなることだ。もし握り込みが毎回100%負けるなら、痛い思いをしてすぐにやめられる。でもたまに報われるから、「今回はいけた」の成功体験が積み重なって、ルールを破ること自体への抵抗が少しずつ薄れていく。パチスロで負けが込んでる台に限って「そろそろ来る」と粘ってしまうのと、根っこは同じだと思っている。
    もう一つ、たとえ話を挟む。同じ理由・同じタイミングで似たようなポジションを持った2人がいたとする。片方は途中で相場が急に反転して利益で終わり、もう片方はいつも通り損切りになった。結果だけ見れば「勝った方が正しい判断」に見える。でも、決めていたルールを実際に守ったかどうかで採点すると、話はまったく逆になることも普通にある。結果というフィルターを外さないと、この逆転には一生気づけない。
    じゃあどうすればいいか。今の俺がやってるのは単純で、トレードの評価を「勝ったか負けたか」でつけるのをやめたことだ。
    決済した直後に、エントリー前に決めていた条件——損切りの位置、利確の位置、入った理由——を、実際に守れたかどうかだけをメモに残す。守れていたら、たとえ負けていても「良いトレード」。守れていなかったら、たとえ勝っていても「悪いトレード」。結果は別の欄に数字だけ書いて、評価には一切使わない。
    先週のトレードの一つは、損切りも利確も事前に決めた位置どおりで、結果はマイナスで終わった。でも俺のメモには「良いトレード」と書いてある。逆に、根拠なく握り込んで勝った回は、勝っていても「悪いトレード」の欄に入っている。慣れるまでは変な感覚だったけど、今はこの分け方の方がしっくりくる。
    最初はこの感覚に慣れなくて、勝ったのに「悪いトレード」と書くのは正直気持ち悪かった。でも続けていくと、「今回はたまたま上手くいっただけ」という一番厄介な勘違いに振り回されにくくなる。評価する場所を、結果からプロセスに移しただけで、翌日の自分の判断がだいぶ安定した感覚がある。この採点方法の良いところは、才能や経験がなくても今日から始められることだ。守れたかどうかは、誰が見ても同じ答えになる。感覚でなく、手順で自分を採点できる。
    このメモをどこまで細かく分けるか、条件をどう具体的に設計するかという細かい基準は、手法noteの方にもう少し詳しく書いている。ここでは「評価する場所を、結果からプロセスに変える」という考え方だけ、持ち帰ってもらえたら十分だ。
    結果は運が半分持ってくる。プロセスは、こっちが100%持っている。
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    この話が刺さったなら、これも→ 終わったトレードより、終わってない含み損の方がずっと頭に残る。


    手法の全部はこっち→
     


     
     
    トレードコンテスト上位2回(3,727人中23位/暗号資産 3,386人中4位)。 姪に「私にもわかるように書いてよ」と言われてから、誰でもわかる言葉で書いています。 誰がやっても同じ判断になる"手順"だけを発信中。

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