メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【簡単あらすじ】叙述トリック短編集(微ネタバレ)【似鳥鶏/講談社タイガ】


    『 一人だけ、すべての話に同じ人が登場している 』


    全話に叙述トリックが使用されている
    6編+αの短編集です。

    似鳥作品らしく、ユーモアが多く含まれ、軽快なテンポで読み進められる作品。

    叙述トリック初心者も、全部看破したい方も是非ご一読ください。



    ―

    『はじめに』
    日に日に夏日・真夏日となる日が多くなっています。そして梅雨の時期特有の気候である、突然の雨と涼激しい気温差によって体調を崩している方も多いと思います。そうすると、部屋で過ごすことが多くなり、現在は読書が捗る時期とも言えます。
    このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

    ーー

    本作は、下記の六編+αの短編集です。

    1.ちゃんと流す神様

    「トイレの神様事件」

    ある会社の女子トイレの水が溢れたため、使用禁止にし、業者を読んだ。

    しかし、その一時間半後に状況を確認したところ、トイレは完全に治っていた。

    誰がトイレの詰まりを直したのか。

    ー

    2.背中合わせの恋人

    「…トリックを使わない不可能犯罪、ですか」

    大学二年生・堀木輝のスマホに、誰のものか分からないSNSの着信があった。

    誤送信だとは思ったが、暇だった堀木は興味を持ち、そのユーザーを調べ始める。

    そして辿り着いたブログには、とても印象的な「日常を切り取った画像」が多くアップされ、堀木はその画像に心を奪われる。

    そのブログを運営しているIDは「平松詩織」。

    そして、観たことがある画像が多いことから、堀木と同じ大学に所属していると思われた。

    堀木は、大学の後輩である妹も巻き込み、平松詩織を探し始める。

    ー

    3.閉じられた三人と二人

    「人里離れた山荘で閉じ込められた六人のうち、一人が死体で発見された」

    「ラテン系セクシーマッチョ・アダム」
    「知的で思慮深げな医者・ハミルトン」
    「背が小さく、気も小さい・ウィル」
    「寡黙なマッチョ・サムソン」

    の四人は、強盗してきた後、犯行後の隠れ家として人里離れた山荘に押し入った。

    しかしそこには、たまたま二人の日本人観光客がおり、その二人は縛り上げられる。

    そのまま山荘に居座った強盗たちだが、崖下に倒れていたサムソンの死体を見つけた後、犯人捜しを始める。

    ー

    4.なんとなく買った本の結末

    「‥‥‥一杯、いかがですか?」

    あるBarで働いているアルバイト。

    店内は、連休明け、そしてまだ早い時間帯でもありお客さんはいなく、手持ち無沙汰状態である。

    なのでバーテンダーと他愛も無い話しを続けていたが、アルバイトは「マニアックな作者・似島軽」が書いた作品の真相が解けるかどうか、バーテンダーに話し始める。

    ー

    5.貧乏荘の怪事件

    「今、川野君とラーチャテーウィーノーンブワサーラー君に話を聞いたとこ」

    大学生の湯浅が住む裕明荘は、日本人・中国人・韓国人・タイ人・セネガル人・インドネシア人と、国際色豊かな住人で溢れている。

    ある日、隣に住む中国人・李の部屋からトラブルの匂いがしたため訪ねてみると

    「僕の海参どこへやった?」

    と問い詰められる。

    ー

    6.ニッポンを背負うこけし

    「日本の未来のため」

    別紙探偵事務所に、引退した政治家の大物・俵田幸三郎から

    「最近話題になっている、各地のモニュメントにイタズラをする
    HEADHUNTERという人物を捕まえて欲しい」

    という依頼が入る。


    ーー

    本作は、表紙に

    全ての短編に叙述トリックが含まれています。
    騙されないよう、気をつけてお読みください。

    と注意書きされており、さらに巻頭に「読者への挑戦状」として詳しく説明しているように、叙述トリックを利用した作品であることを前面に打ち出した作品です。

    本作のキモとなる

    叙述トリックとは、小説の文章そのものの書き方で読者を騙すタイプのトリック

    であり、ある意味、筆者がイジワルをしているとも言えます。

    ですので、叙述トリックの問題点は、筆者がアンフェアであるということであるので、こういったトリックが嫌いな方も多いのではないでしょうか。

    また、叙述トリック作品のもう一つのポイントは、

    筆者にそのトリックを充分に描き切れる文才力があるのか

    だと思っています。

    もし、筆者が「この〇〇という描写が、△△というトリックを表している」という狙いで文章を書いたとしても、その通りに読者が読み取ることが出来ないかもしれませんし、それを表明されたときに読者が納得出来なくては、作品としてよろしくない出来と言わざるを得ないです。

    そういった点でも、本作においては、叙述トリックが使いこなされていると言って良いと思います。


    ―

    私は似鳥さんの作品は多く読み、少しずつその世界観に染まってきたからか、ある一つのトリックについては完全に看破しました。

    しかし、だからといって本作の叙述トリックの謎を全て解いたわけではありませんので、最後の読了感にはとても満足しました。

    このように、様々な謎を絡み合わせるところが似鳥作品の面白いところです。

    叙述トリックの入門編として、
    そして叙述トリックに騙されたい人に最適な一作。

    是非ご一読ください。


    ーー
    ☆同作者の他作品レビュー☆



    ☆他の小説レビュー☆



    あなたへのおすすめ