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【簡単あらすじ】逆転正義(微ネタバレ)【下村敦史/幻冬舎】


    『 一生、何があってもあなたのことは私が守る 』


    「社会正義」とは、世の中の多くの方が正しいと思っていることを言います。

    しかし、当事者の性質や視点を変えると
    本当にそれは正しいことなのか、考えさせられる短編集です。




    ―

    『はじめに』
    十月の中旬から、急激に気温が下がってまいりました。また、天気もあまり良くない日が続いておりますので、家や自室で過ごす時間が増えていると思います。また、寝る前のちょっとした時間などでの読書も大変捗ります。
    この時期は「読書の秋」と昔から言われていますが、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

    ーー

    本作は、各作品において「様々な逆転」を描いてきた
    下村敦史さんらしい、以下五編の短編集となっています。

    1.見て見ぬふり

    『 次の魔女は自分だ 』

    高校生の松木冬樹。
    冬樹のクラスでは、いじめが行われている。
    いつもは見て見ぬふりをしていた冬樹だったが、
    ある時、行動を起こす。

    ー

    2.保護

    『 そんなに罪なことをしたんでしょうか?』

    仕事帰りに早川満雄がコンビニに寄ると、
    びしょ濡れになっていた、ポニーテールでセーラー服姿の彼女に出会う。

    「大丈夫ーー?」

    躊躇したものの、満雄はその女性に声をかけた。

    ー

    3.完黙

    『 俺はもう、自分のことはどうでもーー』

    繁華街の裏道でクスリを売る・大野泰三。

    誰かからのタレコミがあったからか、泰三は麻薬取締官に逮捕される。

    警察署では苛烈な取り調べを受けたものの、供給元について泰三は完全黙秘を貫いた。

    その結果、前科があった泰三は懲役二年の実刑判決を受ける。

    ー

    4.ストーカー

    『 何で警察なんか呼ぶんだよ 』

    花村美里が血みどろの手を洗っていると、突然彼が自宅を訪ねてきた。

    何とか追い返そうとしたが、彼は美里の思惑には乗らず
    自宅に上がり込んでしまう。

    何としても、洗面所に行かせるわけにはいかない・・・

    美里の決意が固まった。

    ー

    5.罪の相続

    『 お前だけじゃない、お前の息子にも罪がある 』

    スタンガンで襲われた曽我部邦和が意識を取り戻すと、
    廃工場内で椅子に縛り付けられていた。

    しばらくした後、邦和の前に男が現れた。

    「お前は罪を贖わねばならない」

    そう言った男は、一週間前に水死体で発見された
    邦和の息子を殺した男だった。

    ー

    6.死は朝、羽ばたく

    『 刑務所に戻して、刑務所に!』

    奥村健三は、札幌刑務所の門を出ると建物に向かって、
    目を閉じ・数秒間頭を下げた。

    目を開けた後、これからどうするべきか考えていると、

    「ーーおっさん、おっさん」

    と背後から三人の若者に声をかけられた。


    ―

    各編とも、題名と私の簡単なあらすじによって、ある程度のイメージが湧いたと思います。

    しかし、下村敦史さんの作品らしく、(恐らくですが)多くの方が初期設定で抱いたイメージとは全く違った展開になります。

    普段の生活には、社会正義と言われることが多く存在し、ほとんどの方が・ある程度それに縛られて生活しなくてはいけません。

    しかし、一般的には多くの方が正しいと思っている社会正義も、その視点を変え・その当事者の性質を変えると、本当にそれは正しいことなのか、と考えさせられた短編集です。


    ―

    個人的には、「罪の相続」が刺さりました。

    私の本業にも「相続」ということが関係してきますが、

    良いことだけではなく、悪いことも相続され、
    親から子だけではなく、子から親へも相続される。

    相続されるもの・され方には様々なものがある、ということを気づかされた作品です。

    普段の生活を送っているのであれば、中々遭遇することが無いシチュエーションとその結果について。

    固定観念に縛られている皆さんの頭を、少し柔らかくしてくれる本作。

    是非ご一読ください。


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