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交通標識や信号機の値段は?全国の設置数は?

    日本全国どこにでも設置されている交通標識と交通信号機。市街地で写真や動画を撮ると必ずどこかに写り込んでいるほど、日々の生活の中で身近な存在である。近年、高度成長期に大量設置された社会インフラの老朽化が社会課題となっているが、交通標識や交通信号機も例外ではない。この記事では、日本全国の設置数、その数の変遷、設置コストについて掘り下げる。

    交通標識と交通信号機の設置数 (ストック数)

    交通標識の設置数については、内閣府と警察庁が統計を毎年発表している。内閣府が発行している令和7年度版「交通安全白書」によると、規制標識及び指示標識の設置枚数は、全国で約939万枚、そのうち約52万枚が大型標識である。また、警察庁の令和6年版警察白書によると、(警察庁管轄の規制標識、指示標識の)道路標識の設置本数は約597万本だという。

    一方、交通信号機の設置数に関する情報は警察庁が毎年公開している。「都道府県別交通信号機等ストック数」によると、2024年 (令和6) 3月末の全国の信号機のストック数は約21万基、車両灯器は全国で約126万灯、歩行者灯器は全国で約105万灯、合計231万灯である。信号機1基あたり平均で11灯の灯器から構成されている。

    ちなみに、信号機でいう「~基」は交差点、横断路の設置状況のことを指し、信号柱一本に設置されている信号機を指す単位ではないことに注意しよう。詳しくは、以下の記事を参照されたい。

    設置数の変遷

    内閣府と警察庁が毎年発行している資料を遡って集計してみると、道路標識と交通信号機の過去約25年程度の設置数の推移が分かる。

    予算面で見ると、道路標識や交通信号機の設置・更新にあてられる「交通安全施設整備事業費」はこの30年で大幅 (1,465億円から926億円へ約6割) に減少している。そのため、都道府県公安委員会や道路管理者は的を絞った効率的なインフラの整備・更新を行う必要性に迫られている。

    道路標識

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    図: 道路標識の設置状況の推移

    都道府県公安委員会が整備する規制標識及び指示標識の設置枚数(万枚)、
    そのうち大型標識(万枚)、
    道路管理者が整備する案内標識、警戒標識、規制標識及び指示標識の設置本数 (万本)、
    (警察庁管轄の規制標識、指示標識の)道路標識の設置本数(万本)

    出典:  内閣府「交通安全白書」及び警察庁「警察白書」を元に筆者が作成

    道路標識については、資料がある2002年以降で見ると、全体の設置枚数はほぼ単調減少となっている。2000年代は標識の種類によっては微増しているものもあるが、2010年代に入るとどの種類の標識も減少に転じていて現在まで至っている。重複の削除、簡略化といった効率化が進んでおり、標識の大型化も一時期は重点施策となっていたが、最近では大型標識を通常の標識に戻す動きも進んでいる。

    国土交通省の調査から道路標識は基本使用年数が30年程度とされているが、標識板に貼られている反射シートの耐用年数は5~10年であるため、褪色して見にくくなった道路標識が日本全国で増えている。

    交通信号機

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    図: 交通信号機の設置状況の推移

    信号機ストック数(基)、交通管制センターで直接制御(基)、押ボタン式信号機(基)、バリアフリー対応型信号機(基)

    出典: 警察庁の資料を元に筆者が作成

    交通信号機は2019年が設置数 (基) のピークとなっており、その後は減少傾向にある。ただし、歩行者灯器数は2025年現在もまだ増えている。加えて「バリアフリー対応型信号機」設置数やLED信号機灯器の数も引き続き増えている。

    このことから、交通信号機を設置する交差点・横断歩道の数や車両灯器数は減少しているが、歩行者向けの施策、視覚障碍者向けの施策、高齢者向けの施策は重点施策として進んでいることが分かる。

    また、交通信号機の耐用年数は製造後おおむね19年と示されている。栃木県の例では、19年以上経過している交通信号機の基数は20%弱存在する。

    機器費、設置込みのコスト

    道路標識と交通信号機の設置コストを見積もるにあたり、気を付けるべきことがいくつかある。まず、おおまかに

    設置コスト = 機器費・部材費の総和 + 設置のための工事費・労務費他

    であることだ。そして機器費と労務費を比べると、労務費が高くなる場合が多く、機器費と同等から10倍近くすることもある。コスト削減の観点からすると、機器費を抑えることは重要だが、そもそも労務費部分の割合が大きい。

    ちなみに、運用まで考えた「総費用」で考慮すると、消費電力、メンテナンス費用、機器の寿命も考慮する必要がある。

    交通信号機の場合は、加えて、どの範囲の費用を指しているかについて、注意深く考える必要がある。具体的には「1基」の値段なのか、信号柱ひとつとその機器の設置費用なのか、である。これは、マスコミの報道やマニアの間でも間違った情報を良く見かけるので注意が必要だ。この記事に書かれていることを考慮した上で試算してほしい。

    道路標識

    岐阜県警察本部が、道路標識の各部品、部材の単価表を公開しているので、こちらを参照して代表的な部品の値段を挙げる。

    標識板 (標準サイズ)                    2万円程度 / 枚
    標識板 (1.5倍サイズ)                 8~15万円程度 / 枚
    路側標識柱                          3~9万円 / 本
    共架金具                       1.5万円程度 / 本
    大型標識鋼管柱                     50~100万円程度 / 本
    LED内照式標識灯 (1.5倍サイズ)               60万円程度 / 枚
    警交仕規第1022号「版1」3可変標識板       90~150万円程度 / 枚

    出典: 岐阜県警察本部「令和7年度 実施設計書に使用する単価表」

    注: 実際の設置に必要な金具や部品が他にある場合あり。
    あくまでも大まかな金額見積もりであることに注意。

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    工事費用についても単価表に含まれているが、標識移設工事について解説しているサイトの情報も参考にされたい。

    たとえば、以下のような良くある組み合わせの道路標識を新規設置する際には、機器費は約10万円程度になる。加えて標識の設置工事、基礎工事 (15~25万円程度)、交通誘導員費用、道路使用許可申請等諸経費、設計費用等を積算すると、約50万円前後かかる可能性もある。

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    交通信号機

    岐阜県警察本部が、交通信号機の各機器、部材の単価表を公開しているので、こちらを参照して代表的な機器の値段を挙げる。実際の費用は都道府県ごとの事情や各入札案件によって異なる。

    LED薄型信号機 (3灯車両灯器)                8.5万円 / 灯
    矢印灯器+取付金具                   7~14万円 / 灯
    車両灯器のフード                      1.5万円 / 個
    車両灯器のルーパー (視角制限)                7.2万円 / 個
    車両灯器取付アーム+取付金具              6~11万円程度 / 組
    LED薄型信号機 (歩行者灯器)              5.2~6.3万円 / 灯
    LED薄型信号機 (経過時間表示付き歩行者灯器)       18.4万円 / 灯
    歩行者灯器のフード                     1.5万円 / 個
    歩行者灯器取付アーム+取付金具             3.7~7.2万円 / 組
    信号柱 (鋼管柱)                         15~25万円程度 / 本
    交通信号制御機 (拡張機能は別)          53~150万円程度 / 基
    音響式交通信号付加装置                 5万円程度 / 台
    歩行者用押し釦箱                 3~15万円程度 / 台   

    出典: 岐阜県警察本部「令和7年度 実施設計書に使用する単価表」
    信号機の仕様はいずれも【警交仕規第1014号「版4」】

    注: 実際の設置に必要な金具や機器が他にある場合あり。
    あくまでも大まかな金額見積もりであることに注意。

    上記の表を見て、いくつか気づいた点について感想を述べる。

    3灯の車両灯器や歩行者灯器はLED薄型になり10万円を切る低価格になった。ただし、車両灯器は矢印灯器や経過時間表示付き歩行者灯器を付けると機器費が倍以上になる場合があるなど、結構割高となる。機器だけでなく交通制御機にも機能を足す必要が出てくるため、費用はさらに上がる可能性がある。

    機器費のうち飛び抜けて高いのは交通制御機で、平均100万円する。また、上記の表には載せていないが、車両感知式の装置を実装したり、バリアフリー対応 (高度化PICS、通信装置 - BLE路側機 - を付加した信号機とスマホをBluetooth通信で連動させ、歩行者信号の状態をスマホに送信する) を行うといった高度な機能を付けると、その機能だけで一式50万円以上の機器費がかかる。

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    工事費用についても単価表に含まれているが、長野県や徳島県などで事例がいくつか公開されている。これらを見ると、設置コストは機器費の2~3倍程度になるようだ。

    長野県: 事例❶、事例❷、事例❸
    徳島県: 事例❶
    鳥取県: 解説❶

    たとえば、以下のような、信号柱に矢印灯器付き車両灯器と歩行者灯器が付いた設備を設置する場合、上の表から、機器費の概算は60万円ほどになる。設置費用も含めると150万円程度になるだろう。ただし、交通制御機、車両感知式、バリアフリー対応といった機能がついているとプラスで100~200万円の機器費がかかるため、いきなり高額になる。

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    他の例として、押しボタン式信号機1基の設置費用275万円、というのは「1基」、つまり横断歩道に信号柱2本程度を建てて3灯車両灯器 x 2、歩行者灯器 x 2、交通制御機 x 1、押し釦箱 x 2の機器費と工事費を足した費用、ということになる。

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    表: 横断歩道への押し釦式交通信号機1基設置の概算見積もり
    (設置費用込み、単位: 万円)

    通常の交差点では「1基」で約500~600万円というのも、4本の信号柱を建てて4灯の車両灯器、8灯の歩行者灯器を設置する、といった工事の費用である。(信号柱1本についての費用ではない)

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    表: 歩行者用信号機がある場合の最小構成の交差点用交通信号機1基設置の概算見積もり
    (設置費用込み、単位: 万円)

    矢印灯器が多く使用されている、信号柱や灯器が沢山設置されている、高度な信号制御をしている大型の交差点においては、費用はさらに高額となり、1基あたり1,000万円の大台に乗る場合もある。

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    道路標識、道路標示、信号機、交通規制などについて、マニアックな視点から切り込みます。Tokyo MX「バラいろダンディ」に出演しました。 お問い合わせは X (旧 Twitter) のダイレクトメッセージにて承ります。

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