
「(327の4変形)二輪車専用通行帯」と「二輪車指導レーン」
街中で見かける、専用通行帯にバスの図柄が描かれた「バスレーン」や、自転車の図柄が描かれた「普通自転車専用通行帯」。これらは国土交通省が公開している「道路標識一覧」にも掲載されており、知っている読者も多いであろう。また、バスレーンには二輪やタクシーも許可されている場合もあり、図柄の代わりに文字で表現することも許されている。
しかし、専用通行帯には他にも「二輪車専用」があることをご存じだろうか。図柄には「二輪」が使われており、日本全国でも限られた場所にしか設置されていない。この記事では、二輪車専用通行帯について掘り下げる。
二輪車専用通行帯とは
「二輪車専用通行帯」は、その時間帯は二輪車しか走ってはいけないレーンである。「専用通行帯」の標準形は「バス」のシンボルとなっているが、二輪車専用通行帯の場合は二輪車のシンボルとなっている。また、車種を小二輪に限定した専用通行帯も存在し、「小二輪」と文字で書かれているものもある。
バス専用通行帯は全国36都道府県で実施されているが、二輪車(小二輪)専用通行帯は大変珍しく、2025年現在は京都、兵庫、広島の3府県でのみ実施されている。
通常は第一通行帯 (一番左側のレーン)が二輪車専用レーンに指定される。ただし、例外的に右左折のため、工事や緊急車両などでやむを得ない場合、短い区間だけ二輪車専用レーンに進入することはできる。また、自転車・軽車両・原付・小型特殊は速度が遅く道路の一番左のレーンを通行する必要があるが、これらの車両は第一通行帯の二輪車専用レーンを通行可能である。
また、あまり知られていないが合わせて注意が必要な事項として、専用通行帯は「特定の車両が通行しなければならない」車両通行帯を指定するものであるため、二輪車は専用通行帯以外の通行帯を走行すると違反になる。
筆者が確認できた、全国の二輪車専用通行帯 (2025年現在で廃止されている区間も含む)は以下の通り。
供用中は3区間/約23㎞、廃止済みは6区間/約18㎞。
二輪車専用通行帯の設定区間
埼玉県
●国道463号 英IC~所沢IC~牛沼付近上下線 約5㎞ (2018年頃迄に廃止)
東京都
●国道4号 日光街道 千住新橋~上野駅上り線 約6㎞ (2023年に廃止)
●国道6号 水戸街道 東向島~言問橋上り線 約2㎞ (2010年以前に廃止)
●国道17号 中山道 船渡~志村坂上上り線 約2㎞ (2023年に廃止)
●国道1号線 晴海通 日比谷交差点西 西行約0.2㎞ (標識はなく標示のみ、2023年9月~2025年迄に廃止、自転車レーンに移行)
京都府
● 国道1~9号 五条通 大和大路~千本通上下線 約3㎞
兵庫県
● 国道43号 浜手幹線 大石~尼崎市東本町2丁目上下線 約19㎞ (交通規制情報オープンデータにも記載あり)
広島県
● 国道54号 祇園新橋付近北行 約0.5㎞ (小二輪専用)
愛媛県
●県道13号 産業道路 樋之口~船屋上下線 約3㎞ (標識はなく標示のみ、2017年頃迄に廃止)
実際の場所は以下の地図でも確認できる。
二輪車指導レーンとは

「二輪車指導レーン」は、道路交通法の規定に基づく交通の規制によることなく、事実上、交通の規制と同様の効果を実現することを目的として設ける法定外表示の一種である。
つまり「二輪車専用通行帯」のように法的な拘束力は持たないものの、二輪車と四輪車にそれぞれのレーンを通行させることで、安全な交通を確保しようというものだ。
筆者が確認できた、全国の二輪車指導レーン (2025年現在で廃止されている区間も含む)は以下の通り。
二輪車専用通行帯の設定区間
埼玉県
● 県道6号 新所沢駅付近上下線 約1㎞ (2021年頃より自転車レーン移行?)
神奈川県
● 愛川町内陸工業団地内東西道路上下線 約1.5㎞
三重県
●松本街道 国道477~伊勢松本付近上下線 約2㎞ (2020年迄に廃止)
宮崎県にも存在?
二輪車走行環境の整備傾向
二輪車は、若者の憧れの乗り物として、また農山漁村地域における主要な移動手段として成長し、その後、 1970年代後半からは、誰でも手軽に乗れ、利便性と燃費効率に優れた乗り物として、都市部でも盛んに利用されてきた。
しかし、二輪車の国内新規販売台数は1982年の約330万台をピークにその後は長期減少傾向にあり、2020年には約36万台と、ピーク時の約10分の1の規模にまで縮小した。都市部でも信号待ちの際に停止線の前で大量の二輪車が信号待ちをしている姿を見ることも少なくなった。

出典: 平成7年度警察白書
自動二輪の保有台数は伸びていない。原付も1986年 (昭和61)頃をピークに減少。
道路における二輪車レーンの検討状況については、1985年 (昭和60) には交差点周辺における二輪車指導レーンの設置のあり方に関する研究の報告書も出され、この頃は積極的に検討、設置されたことを伺わせる。
しかし、1990年代に入ると注目度は下がり、環境問題や高齢化に対応するため代わりに自転車専用通行帯の設置に重点が移行していく。2008年の標識令改正で「普通自転車専用通行帯」が法的に設置可能となり、2012年には国土交通省・警察庁が導入ガイドラインを発表するなど、2025年現在に至るまで「普通自転車専用通行帯」が全国的な広がりを見せている。ちなみに、自転車の国内販売台数は年間約600万台である。
2009年に社団法人日本自動車工業会二輪車特別委員会が発行した『二輪車の利用環境デザイン』では、二輪車専用通行帯の効用や駅周辺における端末交通としての二輪車の積極活用の推奨が報告されているが、二輪車通行帯の整備拡大につながってはいないようだ。

かつて二輪車専用レーンだった場所は、路面標示が消され自転車通行帯の矢羽根が描かれたレーンとなっている。(2025年12月現在)
海外と比較しての考察 (台湾、ベトナム)
一方、中国、インド、ベトナム、タイ、台湾などアジアの国々では、都市部の道路は多くの二輪車で溢れている。これらの国々における二輪車のここ10年間の年間新規販売台数の長期的傾向はいずれも横ばいではあるものの、インドと中国は年間約1,700万台、インドネシアは年間約600万台、ベトナムとタイは年間約200万台の年間新規販売台数がある。
ベトナムや台湾では、街中では通行帯別の通行車両の区分が表示され、停止線も二輪が四輪の前方に設定されたに二段停止線の運用、二輪車の二段階右折の待機場所が標示で明示されるなど、二輪車の円滑な交通を実現するための仕組みが日本よりも充実している。
日本でも道路交通法上は、車両別の通行区分、二段停止線の設定があり、二段階右折の待機場所の法定外表示を行っている場合もあるが、いずれも運用している自治体はごく限られている。
ベトナム在住のガイドに聞くと、ベトナム人は四輪車の他に二輪車を一家に1~2台、仕事用とプライベートで乗り分けるのが普通とのこと。整備状況の差は、社会における二輪車の浸透度の違いに起因するようだ。

二輪車通行帯には多くの二輪車が信号待ちをしている。

こちらはすべての通行帯で二輪車が先頭で信号待ちをしている。
二輪車の停止線は四輪車より前に設定されているためである。

大量の二輪車が駐車され、停止線も二輪車が前方に分離されていることが分かる。

二輪車が二輪用停止線で待機している。
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