
Jamieson'sのニットベスト モノとルキ#44
2000年前後、代官山の小さなセレクトショップにそれはあった。
黒く光る使い込まれたウォルナットのノブを押して、店内に入ると、
そこはロビンフッドが日用品を買いに来るような店内だった。
イギリスやヨーロッパの衣類や雑貨を扱うお店で、
オーナーの目利きで集められた品々に圧倒された。
そして、アルバイトの女の子が一人、静かに店番をしている。
そんなこじんまりとした場所だった。
店内を見回すと、当時はまだほとんど知られていない
ジャミーソンズのベストがあった。
オレンジをベースに青、緑、
さまざまな色が織り込まれたフェアアイル柄。
伝統的でもあり、かわいく、かっこよく、どこか新鮮だった。
シェットランド島の歴史あるニットメーカーを、
僕はそのとき初めて知った。
そのベストが置いてある棚の前に、一枚の写真があった。
映画「マジカル・ミステリー・ツアー」の一コマ。
ポール・マッカートニーが着ているニットベスト。
そう、それはその復刻だった。
迷うことなくそれを手に取った。
ポールはブロード生地の水色のシャツに合わせていたけれど、
僕はオックスフォード生地のシャツに合わせて、
デニムジャケットを羽織ることが多い。
肌寒くなってくる頃、暖かくなってきた頃、そのどちらでも、
これを着てマジカル・ミステリー・ツアーに出かける。
シェットランド島の風を感じながら。
