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野田琺瑯のコーヒーポット モノとルキ#31

    長年使っていた月兎のスリムポットは、
    消耗して今はもう手元にない。
    琺瑯は正直に傷を記録する。それが味とも言えるけど、
    あまりにも多くなってくると、美観を損なうのはいたしかたない。

    ポットがなくなってからは、毎朝鍋でお湯を沸かしていた。
    それを急須に移して珈琲のドリップをするという、
    なんとも迂回した方法を行っていた。
    鍋という万能器具で水を空の旅まで持ち上げて、
    急須という日本にトランジットして、珈琲というブラジルに着地する。
    旅は楽しいけれど、手間はかかっていた。

    そして、ようやくコーヒーポットを買う気になった。
    コーヒーサーバーの直行便の就航だ。
    ネットで探し始めたら、すぐに見つかった。
    野田琺瑯のオリーブカラー。色に一目惚れしたと言ってもいい。
    思えば以前、マーガレットハウエルとのコラボで
    野田琺瑯のピスタチオグリーンの米びつを見かけ、
    欲しいと思ったまま躊躇しているうちに、
    手に入らなくなったことがあった。そのリベンジだ。

    フォルムも好きだ。
    真上から見ると、蓋が角の取れた四角形をしている。
    底は円形なのに、そこからやわらかな角が立ち上がって上部へ到達する。
    オスカーニーマイヤーの建築物のような愛らしいフォルム。
    蓋の取っ手は木製なのもかわいい。

    毎朝、特に何も考えずに、
    このポットに水を入れ、ガス台に置く。
    そして今日もブラジル直行便のフライトが始まる。

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    手に持つ時にはミトン/布巾を忘れずに

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