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【旅日記#7-1】出張ついでにひとり旅!夏の南空知3days(前編)

    北海道の辺境・オホーツクでしがない平社員として毎日を過ごしている私。いつものように仕事をしていると、ある日上司からこんな話が舞い込んできた。

    「今度の土曜日に各事業所の代表で出張があるんだけど、坂田くんお願いできる?」

    それは、あまりに唐突な提案だった。

    詳細は伏せるが、私の勤務先のグループは、全道に事業を展開するいわば大企業である。そんな大事そうな集まりの代表が、末端の自分に務まるというのか。
    しかも行き先はほぼ札幌ともいえる空知そらち管内南部、現地では上司の引率こそあるものの移動は各自で、片道でも軽く300kmを超えるハードな遠征になる。

    突然の打診にしばし固まる私であったが、こんな機会は滅多にない。さらに詳しく話を聞いてみると、当日の仕事自体は日中に終わり、次の出勤はいつも通り月曜日なので、日曜日も完全にフリーだという。

    ⋯それはつまり、実質会社の経費でドライブに行けるということではないか!?
    若干動機がズレている気がするものの、そう思い立ってから「行きます」と口を動かすのに、ほとんど時間はかからなかった。

    かくして、思いがけないきっかけからドキドキワクワクの初出張に出向くことになった私。何気に1人でのロングドライブも初めてであり、単なる仕事に留まらない思い出に残る2泊3日を過ごしてきた。
    今回は導入編として、夜中の大移動の模様をお送りしよう。

    1日目(金)

    17:15 出発

    集まりは土曜日の朝からということで、遠方の参加者は会社で取ってくれたホテルに前乗りする段取りになっている。いつも金曜日は多忙なのだが、この日ばかりはとかつてない超スピードで業務を終わらせて定時前に帰宅したので、何とか日付が変わる前には着けそうだ。

    そしてやって来た出征の時、家の前では両親に手を振られ、会社のグループLINEに届く激励のメッセージは後を絶たない。1人の時でも、いや1人だからこそ、支えてくれるみんなのありがたさが心に沁みる。

    また、つい先ほどまではかなりご機嫌斜めだった空もいつの間にか綺麗なオレンジ色になっていて、眩しすぎる夕日もまた私の旅立ちを祝福してくれているようだった。

    最初のルートは前回とまったく同じで、国道238号から佐呂間さろまの街を抜けていく。しかしこの時間から遠くへ行くことなんてまずないから、早くも新鮮な気分である。常に西日が目に入ってくるのがちょっと辛いけれども、それに照らされる畑や山肌の輝きは感動モノ。ふらりと近所を走っているだけで絶景に出会えるから、やはり北海道の田舎はいいものだ。


    18:50 遠軽町

    オホーツクと上川管内を結ぶ21世紀の大動脈たる旭川紋別自動車道は現在遠軽えんがるICまで開通しており、その近くにある道の駅「遠軽 森のオホーツク」は日夜多くのドライバーが集う憩いの場。
    売店はすでに閉まっていたものの、これから挑む山越えに備えてひと休みといこう。

    道の駅 遠軽 森のオホーツクの外観写真
    とても広い駐車場に加え、足湯まであるのが嬉しい。
    長旅の休憩所としてはもちろん、
    ジップラインやスキーといった屋外レジャーも人気の駅

    あんなに眩しかった太陽もすっかり山に隠れ、その影から漏れる光が何とも幻想的。今から単身この山脈の向こう側へ行くと思うと、自然と背筋が伸びるようである。母からの餞別として持たされたお菓子を食べて英気を養ったら、いよいよ長い夜の始まりだ。

    時折現れるトンネルの他には景色も道も変わり映えしないけれども、不思議とテンションが上がる夜の高速。車内には学生時代にどハマりした湾岸ミッドナイトのBGMが流れ、淡々とした走りに合わせて鼓動が静かに高まってくる。
    ちなみに、本路線に限らず札幌近郊以外は片側1車線の区間がほとんどで、追越車線が現れる度に決まってミニバンや外車がすごい勢いですっ飛んでいく。いつでもどこでも見かける光景だが、そんなに急いで彼らはどこに向かっているのだろうか。

    遠軽側最後の休息地である道の駅「しらたき」のすぐ先には全長4km超えの北大雪きたたいせつトンネルがあり、これを抜ければ道東とはしばしお別れ。今でこそこうして軽々と往来できるものの、相変わらずの真っ暗な深山幽谷の中、よくこの原始林に道を通したものだと先人たちに頭が下がる。

    (下のリンクを開くと、この周辺の地図が見られます。急カーブが連続する国道の線形と辺りの何もなさから、その大変さが分かるはず!)

    山岳地帯を過ぎると、旭川はもうすぐ。
    申請すれば高速代も経費で出るからこのままずっと高速で行ってもいいのだが、愛別あいべつICからは下道に降りていく。なにぶん田舎者なので、やはり空いている一般道の方が落ち着くのだ。

    旭川の街に入ったのは20時半、ここで案内標識にはようやく「札幌」の文字が登場し、遠くまで来たなあとしみじみ。さすが天下の国道12号、流れは速いがこの時間にも関わらずなかなかの交通量である。おお、都会だ⋯!

    しかし、芦別あしべつ方面へと進路を移すと道は再びガラガラに。ここ空知地方の山間部はかつて大規模な炭鉱で栄えていたものの、今となってはどこもすっかり静まり返っている。
    特に歌志内うたしない市は日本一人口の少ない市として一部では有名で、ほんの数十年前までは今の10倍以上の賑わいがあったとは想像もつかない。まるで灯台のように輝くセイコーマートの光だけが、この小さな谷を照らしていたのが印象的だった。


    22:20 美唄市

    砂川でついに石狩平野に出て、目的地まではあと1時間を切った。でもさすがに遠軽からノンストップはちょっとなと思い、国道12号に再合流する直前の美唄びばいで2回目の休憩をとる。

    美唄のセイコーマートとそこで買ったパンの写真
    ラストスパートに備えて軽く腹ごしらえ。
    セコマといえばカツ丼だが、パンもけっこう美味しい

    これまで郊外ばかり走っていたので気付かなかったが、ふと辺りを見渡すと道東にはないファミリーマートやコメリが!現地の人からすれば当たり前の存在なのは承知だけれども、地元と違うチェーン店を見ることもまた旅をしている実感が湧いてきてとても楽しい瞬間である。

    未だ車通りの絶えない12号線にビビりながらも、道の駅「三笠」の角を曲がったらあとはゴールまで農村地帯をひた走るのみ。
    スタートからおよそ6時間、距離にして330km。長かった反面、1人で気楽だからか疲れはさほどでもない。むしろ非日常のことに心が舞い上がり、気分的にはまだまだ走り続けたいくらいだ(!?)。


    23:05 ホテルに到着

    そんなこんなで、予定通り日付が変わる前にホテルに着くことができた。
    今回の宿泊地は栗山町くりやまちょうの「くりやま温泉 ホテルパラダイスヒルズ」。出張だから駅前のビジネスホテルあたりだろうと思っていたら、予想外に良い所を取ってもらっていて嬉しい。

    くりやま温泉 ホテルパラダイスヒルズの夜の外観写真
    市街地の近くなのに敷地はとても広いようで、
    入る前からさっそく期待が持たれる
    くりやま温泉 ホテルパラダイスヒルズのイルミネーション
    外にはきれいなイルミネーションも。
    しかしこのスマホ、夜の撮影はからっきしだな⋯

    部屋は幅広のベッドが1つのシンプルなもので、ひとり旅の疲れを癒やすには十分。24時までなら温泉に入れるというので寝る前にひとっ風呂浴びていこうかと思ったら、先に着いていた上司の部屋に呼ばれてサシ飲みが始まったので、残念ながら今夜はお預けだ。

    くりやま温泉 ホテルパラダイスヒルズの室内
    ベッドと同じ高さに机がある珍しい造り。
    上司の部屋はこれより少し広く、ベッドもツインだった

    会社の飲み会以外で上司と酒を交わすのは初めて。
    コンビニのビールとつまみをお供に、他愛もない話から仕事について、果ては人生目標までさまざまな話題を語り合っていると、気付けば時刻は深夜2時を回っていた。いかんいかん、この数時間後には仕事があるのに⋯。

    自分の部屋に戻ってテレビのデータ放送を見ると、どうやら明日(厳密には今日だが)は32℃まで上がるらしい。仕事が何時に終わって、どこで遊んでどこに泊まるかなども現時点では全く未定だが、果たしてどんな1日になることだろうか。
    広いベッドの上では緊張とワクワクが交錯し、眠りにつく頃には窓の外は明るくなっていた。

    今回はここでひと区切りとして、次回はそんな行き当たりばったりな2日目の模様をお伝えしたい。


    今回は以上になります。
    ここまでお読みいただきありがとうございました。
    北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。

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    生まれた時から旅と地図(特に交通関連・道の駅)をこよなく愛する22歳。 北海道・オホーツクを拠点に、体験や気になったことなどを気の向くままに書いていきます。

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