
【旅日記#7-2】出張ついでにひとり旅!夏の南空知3days(中編)
夏のある週末、ひょんなことから出張を命じられた私は、オホーツクから遠路はるばる空知まで車を走らせる。初日は単なる移動日だったが、広い大地をひとり夜通し駆け抜けるという非日常の体験に、早くもボルテージはかなりの高まりを見せていた。
(前回はこちら↓)
そして来たる翌日、日中に控える仕事が終われば、完全な自由が私を待っている。遠く離れた地に立つ興奮にただ身を任せ、何もかもを思うがままに大満喫!
今回は、そんな2日目の模様をご覧いただこう。
2日目(土)
8:40 起床
6時間に及ぶ弾丸移動の末、栗山町の「くりやま温泉 ホテルパラダイスヒルズ」で迎えた朝。枕元に置いたスマホから鳴る音で目を覚ますと、それは上司からの電話だった。
「おはよう。飯行かないの?」
上司とは同じホテルに宿泊していて、一緒に朝食を食べに行く話になっていた。まだ目覚ましを止めた記憶もないのにわざわざ電話してくるなんて、と思いながら寝ぼけ眼で時計を見ると、時刻はなんと8時40分。⋯え、8時40分!?
その刹那、私の眠気は一瞬にして消滅した。朝食のラストオーダーは8時半だから、思いっきり寝坊である。目覚ましは確かにかけたのに、どうやら止めた瞬間また眠り込んでしまったらしい。
上司にはただ平謝りすることしかできなかったが、あれだけ走った後に夜中まで一緒に飲んでいたからと咎められることはなく、
「9時半には出るから、それまでに支度しといてね」とのこと。幸い仕事に支障はなかったものの、のっけから上司に助けられる形となってしまった⋯。
というわけで、チェックアウトまではあと50分。
食事は仕方ないので諦めるとして、そういえばここの大浴場にはまだ入っていなかった。せっかく来たのだから何としても入らなければと温泉ソムリエの血が騒ぎ、中途半端な時間ではあるが朝風呂を敢行することに。
広々としたお風呂はきれいで快適、朝ということもあり他人を気にせずにのびのびとくつろぐことができた。泉質などについては、以下の記事からどうぞ。

充実した休憩スペースは居心地抜群。
早起きしてここでもっとゆっくりできたらと悔やまれる
ふう、一時はどうなることかと思ったが、真っ青な空と温泉の気持ちよさで気分はすっかり晴れやかに。まさか会社にホテル選びを任せてこんな良い温泉に出会えるとは思わなかったから、朝からホクホクである。
さらに、この後もっと楽しい時間が待っていると思えば、寝不足も空腹もなんのその。今度こそ定刻通りに上司と合流し、いよいよ本題となる仕事へと向かうのであった。

キャンプ場も併設されているようで、
朝から外は賑やか
15:25 栗山公園を散策
そして時は一気に流れ、仕事は無事に終了。
さあ、ここからは晴れて自由の身だ。ドライブとなるといつも親か友人と一緒なので、誰にも気を使わずどこへでも行けるなんて、学生時代のサイクリング以来ではなかろうか。
まず向かったのは町北部にある「栗山公園」。市街地のそばながら緑いっぱいののどかな場所で、天気の良い土曜日だからか、駐車場は第2・第3までかなりの埋まり具合だった。

さっそくプライベートモード全開。
緊張もほぐれ、心にもすーっとゆとりが生まれる
園内はご覧のようにとても広く、軽食を扱う売店や小さな動物園もありファミリー層を中心に大変賑わっている。札幌からほど近いこともあり、休日のちょっとしたお出かけには確かにうってつけと言えるだろう。
また、一角には廃線となった夕張鉄道で使われていたというSLの展示も。かつて隣町の夕張市は石炭の一大産地として大いに栄え、前回の記事で触れた歌志内なども同様、空知にはそこかしこに鉄道が通っていた。
今の路線網からは想像もつかないが、ここに佇む機関車もいつかは夢とロマンを乗せて奔走していたのか、と思いを馳せる。

不覚にもこれしか写真がなかった⋯反省。
ここでふと売店の方に足を向けると、どこからか私を呼ぶ声が。
「あれっ、坂田くんじゃん!」
声の主は、先ほどの仕事でたまたま隣の席にいたIさんだった。まさか終わってからも一緒になるとは、すごい巡り合わせだ。
Iさんは札幌に住む3児のパパで、自分が仕事をしている間にここで家族を遊ばせていたのだという。
話の流れでついて行ってみると、奥さんにもすぐに受け入れられた挙句、なんと一緒に公園を見て回ることになった。彼とは初対面にも関わらずすぐに打ち解けた仲ではあるものの、いくらなんでもフレンドリーすぎないか⋯!?

子どもたちも興味津々で、
しばらくこの場を離れなかった
そんなこんなで、一行は裏手にある「なかよし動物園」へ。ここではサルやウサギ、モルモットなどが飼育されていて、エサやり体験(有料)や輪投げ遊びコーナーもあり入場無料ながら遊びがいっぱいの場所。

動物たちも暑さにへばっているように見える
Iさんのお子さんは小学校低学年から幼稚園とまだ小さく、気になったもの目がけて猛ダッシュしたり、おしゃべりに熱が入りすぎて舌を噛んで泣いてしまったりと大忙し。普段ちびっ子と遊ぶ機会などないから、その自由さには翻弄されっぱなしである。
私も十数年前はこうだったなあと思いつつ、そんな中で器用にお守りをするIさんの姿には関心するばかり。自分が大人側の視点に立ってみると、親になるとは想像以上に大変なことだと気付かされた。
そうこうしているうちに、閉園の時刻が近づいているとのアナウンスが聞こえてきた。せっかくだから何か食べていこうと、園内の出店「ぽけっと」にてかき氷を注文する。

みんなアナウンスを聞きつけてきたのか、
先客は列を成していた
頼んだメニューは「みかん氷」。番号札を持って待つことしばし、出来上がったかき氷をいざ目の前にすると、予想をはるかに超える量のみかんが大きな容器を埋め尽くしていた。この豪華さで550円って、何かの間違いとしか思えない。

真夏の疲れに甘さとしゃっこさが沁みる
(しゃっこい:北海道弁で「冷たい」の意)
これには近くにいた見知らぬおじいさんもビックリ仰天、
「うわ〜すごい!俺もそれにすれば良かった」
と歓声が上がる。そのおじいさんはすぐ近くの由仁町民だといい、突然の気さくな地元民の登場に旅の一コマはさらに盛り上がりを増した。
しかし、一口目はちびっ子たちにと声をかけると、モジモジした末にそっぽを向かれてしまった。1時間半ほど一緒にいたとはいえ、さすがに初めて会った人と食べるのは抵抗があるお年頃か。
それにしても、旅が始まっていきなり今日初めて会った人の一家と遊ぶという予想だにしない展開になったが、この場所の和やかな雰囲気も手伝ってとても楽しい時間を過ごすことができた。素晴らしい出会いに感謝である。
17:30 長沼町で宿を取る
Iさん一家はこれからくりやま温泉に行くとのことで、ここでお別れ。
「よかったら後でまた合流して晩ごはん食べます?」と言われLINEを交換したが、私はつい先ほど夕食付きの宿を取ってしまったため、残念ながらその誘いには乗れず。
いやはや、このご家族はいったいどこまで私に心を開いてくれるのか、本当にすごい方たちだった。
さて、その宿があるのは栗山から車で20分ほどの長沼町。夕張川に架かる橋を渡ると見渡す限りの畑が広がっていて、道民から見てもその果てしなさは満点だ。
そういえば、昨日から各地で道路工事をやっているのが目につくが、この辺りは2車線の迂回路を完備した大がかりな工事現場が多い。平野部で土地が広いから迂回路が造りやすく、また札幌近郊だから道路整備につく予算も大きいのだろう。こんなところにも土地柄の違いが表れるから、遠くの町を走るのは面白い。
新しめの家や店屋が立ち並ぶ長沼のきれいな市街地を抜けると、目的地の「ながぬま温泉」はすぐ。今日は朝から疲れたので、移動は最小限に留めてこちらでゆっくり過ごすとしよう。

繁忙期に当日予約したので値段は張ってしまったものの⋯
こんな時くらい気にせず満喫しよう!
外観や靴のロッカーはどこか昭和の保養所感があるけれども、館内はきれいに整えられている印象。
部屋に荷物を置いてベッドに体を預けると、油断すればもう眠ってしまいそうになるほどに力が抜けていく。ツインベッドの広い部屋に1人、我ながらすごい贅沢をしている気分だ。

後から電話があり洋室へと変更になった
ここは「ながぬまコミュニティ公園」に隣接しており、道路の向かいの「マオイオートランド」と共に長沼でのレジャーの拠点となっている。夕食までの時間潰しにと公園の方を歩いてみると、雲越しの夕焼けが西の空を淡く彩っていた。
ここにいると人はほとんど見かけず、車の音も微かに聞こえるのみ。賑やかなのも良いが、こういう瞬間もまた旅には欠かせない。明日は雨になりそうだなと考えながら、静寂をただ噛みしめる。

たまに鳥が飛び立って水面が揺れるのが楽しい

夕方ということもあり、かなりのノスタルジーを感じる
この橋は舞鶴橋といい、町内を走る道道45号にある同名の橋が架け替えられた後に復元されたもの。
時は昭和初期、急速に高まる軍事的な需要から建設された当時としては破格ともいえる立派な橋であり、町有数の土木遺産として今なお大きな存在感を放っている。図らずも地域に息づく橋への思い入れが垣間見られ、道路マニア的にも嬉しい散策になった。
18:30 宿で夕食〜夜のまったりタイム
そうこうしているうちに時刻は18時半を回り、お待ちかねの夕食の時間がやって来た。長沼の代名詞とも言える名物ジンギスカンを頂くべく、本館の左手にある「レストラン ひつじの旅」に向かう。

食べる所は2階だった
中に入るとたちまち羊肉の香りが立ち込め、席につく前からテンションの高まりは留まるところを知らない。先の仕事ではある部門にて全事業所中トップの評価を受けたこともあり、気分はまさしくひとり祝勝会である。
こちらの利用料金も宿泊プランに織り込まれているから、フロントでもらった券を渡すだけで夢の食べ放題の始まりだ(ドリンクは別料金)。

真夏の仕事終わりに肉とビール、
これを優勝と言わずして何と言う!
ここでは町内のいろいろな店が提供する肉を食べ比べることができ、どれもしっかり羊の味がするのにクセが全然ないのが驚き。さすが本場というべきか、私の中にあった「ジンギスカンは美味しいけどちょっと人を選ぶ」という固定観念は一気に崩れ去った。なお、タッチパネルでは羊以外の肉も頼めるので本当に苦手な方も安心してほしい。
お酒もよくある生ビールやサワー、カクテルなどのほかクラフトビールにワイン、日本酒まであり、楽しみ方は無限大!
身の回りの全てから解放され、その上でこんなに美味しいものが好きなだけ食べられるとは、何たる幸福であろうか。頭の中には孤独のグルメのBGMがリピートし、ひたすらに焼いては食べてを繰り返す。
初めてのひとり焼肉で勝手がつかめず、調子に乗って頼みすぎて後半になってだいぶ苦しくなってしまうなど失敗もあったが、これ以上ない大満足のひとときに。いや〜、美味しかった!
食べ終わって外に出ると辺りは真っ暗になっていて、長いこと鍋の前にいて温まった体に当たる夜風が気持ち良い。館内の休憩・軽食コーナーを見ていきたい気もあったものの、あまりに満腹のため部屋に直行してバタンキューと休むことしかできなかった。
何気なくテレビを点けると出川さんの充電バイク旅がやっていて、ちょうど番組内でも夕張近郊が出ていたことに少し喜ぶ。明日の予報はやっぱり雨、さてどうしたものか。
ベッドに寝転がっていると時間はどんどん過ぎていき、ようやくお風呂に向かったのは23時。日帰り入浴の受付はとっくに終わっていて、廊下の明かりも最小限になっていたが、こんな時間に温泉に入ることも少ないから却ってワクワクする。

軽食だけでなく、漫画コーナーもあったようだ
入浴客は私を含めて2名。広い大浴場を落ち着いて堪能し、露天風呂では虫の音にいずれ来る秋を感じながらしみじみと浸った。泉質などについては追って記事を書いたので、こちらもぜひご覧いただきたい。
そして、これにて2日目の全行程が終了。
移動に割く時間が少なかったので、半日もの間仕事をしていたとは思えない、かなり濃密な1日となった。
休みの都合上、普段の旅ではこうして同じ地域に腰を据えて滞在することは難しいから、とても貴重な経験だったと言える。
ということで長くなってしまったが、今回の記事はここまでとして、次回はいよいよ完結編となる3日目の模様をお送りしたい。
今回は以上になります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。