
【旅日記#7-3】出張ついでにひとり旅!夏の南空知3days(後編)
オホーツクから遥か300kmあまり、私は札幌のご近所・空知まで出張に赴いていた。前回お送りした2日目では、本題の仕事を済ませたのちに初対面の人と日が暮れるまで公園で遊んだり、温泉宿でひとりジンギスカンに興じたりと、非日常の自由時間を心ゆくまで満喫した。
(これまでの回はこちら↓)
そして今回はついに最終日。北海道旅行の宿命というべきかこの日も移動が大半を占めたが、そんな中でも気の向くままに楽しい時間を過ごしてきたので、さっそくその模様をお伝えしたい。
3日目(日)
8:00 起床
ここは石狩平野の南部、長沼町。
豊かな緑に囲まれた農村地帯の静かな夜が明け、確かな手応えでアラームを止める。2日にわたり続いた濃密な体験には多少の疲労感も拭えないものの、たらふく食べてしっかり休んだのが良かったのか、昨日の二の舞にはならず思った通りの時間に起きることができた。

「ながぬま」の文字が全身に散りばめられた
浴衣もナイスデザイン(笑)
家族も友人も上司もいない、完全にひとりの朝。そして遠く離れた地、こうして何もせずにいるだけでも気分が上がる。
しかし窓の外はどんよりとしていて、予報通り雨が降るのも時間の問題だろう。昨夕のIさん一家との別れ際、天気が良ければ石狩浜でまた一緒に遊ぶ話も持ち上がったけれども、この調子なら中止に違いない。
さて、こんな天気でどこを回って帰ろうか。今日も予定は未定である。
ともかく、まずは腹ごしらえだ。朝食ビュッフェは客室と同じ本館2階の「レストランはまなす」にて。
そういえば、道東の白糠町にも同名のレストランがあったが、果たしてこの屋号は北海道中にいくつあるのだろう?

(食事終了後に撮影)
品数は飛び抜けて多いわけではないものの、朝に欲しい基本をしっかり押さえたメニューが魅力。中でも注目は、すぐ隣の工房で作っているというながぬま温泉名物の「源泉豆腐」。とろける舌触りが、寝起きの体に優しく元気をくれる。そしてお茶漬けをさらさらと流し込み、1人だからこそ感じられる朝のゆるやかなひと時に浸った。

店内には家族連れや老夫婦の姿が見られ、
私のようなおひとり様は珍しいようだった
9:30 ながぬま温泉周辺を散策
朝から良い気分になったところで、チェックアウト。ジンギスカン食べ放題に加え繁忙期の当日予約ということもあり思ったより高くついてしまったが、ここで過ごした貴重な思い出は間違いなくプライスレスと言えよう。
とりあえず次に行く場所は決めたものの、このまま去るのも名残惜しいので、昨日も歩いたコミュニティ公園を再び散策してみることに。今度はさらに奥まで足を踏み入れ、さながらちょっとした冒険のようである。

やはり寂しいけれどもそこに味がある
広場の芝生はきれいに整えられていて、温泉やジンギスカンともども当施設の売りとして管理されているのだと思うが、端の方まで行ってみると所々に絶妙な年季が感じられる。
町を代表する人気スポットで、あえて普段日の目を見ない部分に触れるというのも何だか面白い。

この錆び具合がGood!

さすがにここは1人で入る勇気はなかった⋯
巡回と思われる軽トラに怪訝な顔で見られつつも歩くこと30分、入口に戻ってきたタイミングで雨が降り出してきた。ちょうどいい、これにてお暇しよう。
というわけで前置きが長くなったが、いよいよ本日の旅程のスタートである。

目指す網走は北緯44度の街だから、
ピッタリ緯度1度ぶん北へ移動することになる
10:20 栗山町で旧車三昧
毎度お世話になっている『ツーリングマップル』(昭文社)を眺めていると面白そうな場所を見つけたので、まずはまたまた栗山町へ。
「札夕線」の通称を持つ道道3号はその名の通り札幌と夕張を結んでおり、ローカル感がありながらも朝からなかなかの交通量。由仁町には一部では有名なあの「ヤリキレナイ川」も流れていて、この路線だけでも結構な文量の記事が書けそうなほど話題には事欠かない。
丘から野を越え、間もなく夕張市に入ろうという所で少しばかり砂利道へ入っていくと、間もなく雰囲気のある建物と渋い車が姿を現した。
ここ「日出クラシックパーク&Cafe麗燈露」は旧小学校の体育館を再利用した旧車がテーマの施設で、その名の通りレトロ好きにはたまらない場所。この立地と天候にも関わらず駐車場には先客がおり、その人気ぶりがうかがえる。

ナンバーも含めて当時モノで、
早くも昭和にタイムスリップした気分が味わえる
奥にある体育館は有料コーナーで、カフェも一体となっていることからメインの展示と共にドリンクや食事も楽しむこともできる。中に入るとそこには数多の車が並んでおり、80年代感あふれるノリノリの音楽と共にテンションも爆上げ!
私のnoteの主な読者層と思われる(あくまで私の体感で、ちゃんと統計を取ったわけではないが)50〜60代の方にとっては、建物の造りも相まって懐かしい光景なのではないだろうか。

昔はこれが当たり前に走っていたというが、
2000年代生まれの私には想像もつかない

いつの時代も、ヨーロッパ車の流麗なデザインには
目を見張るものがある
車に囲まれてコーヒーを飲む、至福の時間。この令和の時代にこれだけの古い車たちがきれいに残っているなんて、奇跡とも言える光景である。

張り出したフェンダーが大迫力のレース仕様!
エンジンから足回りまで、かなり手が入っているそう

新車価格1,000万円のスーパーカー。
車体だけでもものすごい価値だろう
さらにこれらの展示のほか、たびたび旧車乗りが集まるイベントも開かれるとのことで、関係者の方々の車への情熱には感心するばかり。お店の方の感じもよく、車好きにとってはまさにいつまでも居られる空間だ。
また印象的なのが随所に飾られた歴代の来訪者と愛車の写真で、いろいろな人と車の間にある温かな思い出を想像するのも面白い。
私も帰り際に撮ってもらったから、この記事が公開されている今、どこかに貼られていることだろう。これをお読みのあなたがもし現地でそれっぽい若い男の写真を見つけたら、ぜひご一報いただきたい。

窓にはASKと書いてある通り、
展示車の一部は買うこともできるらしい

ルノーにこんな車あったっけ?と思ったら、
なんと世界に1,600台あまりしかない激レア車!

昨今見ない長いボンネットとフェンダーミラーが、
いかにも昭和らしくて渋い
車の置き場は外にもあり、こちらは年式相応の姿なのが対照的。依然として雨の降りしきる中ではあるが、ご厚意で傘を貸していただけるというので、そちらも近くで見てみよう。
そういえば、私が人生で初めて買った車もこんな感じのものを解体屋から買い取って直したものだったなあ。そんな過去があるからか、こうして見ていると、物言わぬ車たちが心の奥に何かを語りかけてくるような気がした。

彼らはどんな余生を過ごすのであろうか

優雅さの代わりに燃費はとびきり悪いと聞くが、
それもまた当時ならではの個性
ここで、お店の前にいたスタッフさんと立ち話。
気に入った車はありましたか、と聞かれたので、先の画像に挙げたSA型サバンナRX-7のレースカーを挙げると、その車はなんと彼自身が組み上げたものだと教えてくださった。
彼はマツダ独自のロータリーエンジンのチューンに力を入れているらしく、この施設にやけにマツダ車が多いのも納得だ。マシンを組んでは十勝のサーキットで走っているといい、手塩にかけた車が褒められて満更でもないのがその話しぶりから伝わってくる。

こちらはどんな仕上がりを見せるのか、楽しみである
それからというもの、彼との車談義は留まるところを知らず、気付けば時刻は12時を過ぎていた。好きなことを好きなだけする、改めてなんと素晴らしいことだろうか。こうしてその場の気分で自由に時間を使えるのも、ひとり旅の特権と言えよう。
ここはとても気に入ったので、同じく車好きの父を連れてまた訪れたいところである。
13:30 月形町で昼食
ということで思いのほか栗山に長居してしまったため、ここからはちょっと駆け足で帰ろう。
日出からなら夕張山地を抜けていくと近いと思うが、この雨なのでできるだけ山道は避けたいところ。かと言って国道12号は混むし、ということで多少距離は伸びるものの、平坦かつ空いている国道275号を目指すことに。
北海道一の大河たる石狩川の流域は道内有数の米どころで、沿道には水田が多く見られるのが我らが道東との違い。車で走る分にはどこまでも真っ直ぐでガラガラなのは変わらないけれども、作物や地勢なども気にして見てみると意外と飽きないもの。
そして長い橋を渡ると月形町に入り、道の駅「275つきがた」で遅めの昼食とする。ここは元々あった温泉施設を改修した道の駅で、オープンしたばかりとあって外観やトイレはきれいだが、妙な段差のあるエントランスは当時からそのままなのだろうか?

日頃の喧騒を忘れるには良い立地。
広い公園とキャンプ場も併設する

食べごたえのあるカツが長旅に嬉しい
昨年9月に訪れた際は晴天とオープン直後の賑わいが重なり結構な混み具合であったものの、この日はあいにくの空模様のため人も少なく落ち着いて休むことができた。そういった点からすると、雨のドライブも案外悪くないかも知れない。

月形オリジナルのものを積極的に売り出している印象だった
それからの帰路は早いもので、雨竜町から深川の街を抜ければ行きの時に通ったルートと合流する。
札幌からだいぶ離れたとはいえ、やはり天下の12号線はなかなかの車通り。それにしても、12号と275号は並行していながら沿線人口にかなりの開きがあり、その間を流れる石狩川がもたらしたこの地域の発展への影響は思った以上に大きいようである。
18:20 湧別町で夕食
旭川を過ぎ、16時に当麻町のセコマで小休止。雨は先ほどより幾分弱まり、旭川紋別自動車道の流れも順調そのものだ。
ここでガソリンの残量が心もとなくなってきたため、高速を降りてすぐの遠軽町にてこの旅初の給油。入れなくても帰れそうではあったものの、田舎だと日曜日に開いているスタンドは貴重だから、大きな町で補給しておくことは鉄則!(これは本当に大事なことなので、レンタカーなどで運転する可能性のある道外の方にもぜひ覚えていってほしい)
かくしてたどり着いたオホーツク、家まであと100kmほどを残しつつも、見慣れた景色に帰ってきたなあと思いを馳せる。お気に入りの道の駅「かみゆうべつ温泉チューリップの湯」に降り立ち、旅の終わりが近づく寂しさといつもの場所の安心感が混じり合う中すするラーメンは格別だった。

ここも温泉が売りだけれども、
今入ると帰り道の途中に居眠りしそうなのでやめておこう

この瞬間、全身に張っていた緊張の糸がふっと解けた
心身をリフレッシュして車に戻ったら、あとは勝手知ったる国道238号をひた走るのみ。いくら夏とはいえ辺りはすっかり暗くなっていて、町から町への闇の長さにやっぱりここは僻地なんだと改めて感じる。
20:30 帰宅
そして栗山を発って8時間、ようやく故郷・網走の光が見え、3日間にわたる長い旅はついに無事に幕を下ろした。
今回の総走行距離は736km。かつて自転車でオホーツク管内を走り回ったことはあったが、車を持ってからは初めての大規模なひとり旅ということもあり、家に着くなり運転やその他諸々の疲れがどっと出てきてすぐに寝入ってしまった。
しかし、まさか仕事に駆り出されたことに端を発する遠征がこれほど楽しいものになるとは、人生何事も捉えようである。1人ならではの自由気ままな過ごし方のおかげで見えてくる旅の面白さも再確認することができ、終始とても充実した時間になった。
また、今まで南空知にじっくり腰を据えたこともあまりなかったから、今回触れたのは片鱗だけとはいえそのポテンシャルの高さには驚き。ご飯も温泉も遊び場も、その恵まれた風土あってのものに違いない。
いかにも北海道らしい田舎ながら札幌や新千歳空港からも近いので、皆さんもぜひ遊びに行ってみてはいかがだろうか。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録を書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。