
人生が切れたあと、とりあえず足湯に行った。
ショックなことが起きた。
動画編集の分割みたいに、その瞬間からぱつんと切れた。これまで途切れなく続いてた話が、急に別の作品になった。
なのに私の後ろでは、洗濯機が回ってる。
食事の用意も洗濯も、やっぱり私の役目らしい。
まずは私の心より、冷蔵庫を満たすこと。
お腹が空いた家族ほど、めんどくさいものはない。
天気が良い日に車に乗ると、どんなことでもチャラにした。でも今日は、灰色の道路ばかりが目に入る。
別作品の私はもう、ドライブでは気が晴れない。
それなら足湯はどうなんだ。
車を停めてマップを開いた。

さほどあてにはしていなかった。
でも、足湯が見えてきただけで、肺の奥に詰まったものが、少しずつ抜けていく。

靴下を脱いで足を入れると、思ったよりずっと熱くて声が出た。お隣さんがこっちを見たけど、そんなことはどうでもいい。

脚のスネまで真っ赤にしながら、こんな景色を眺めていると、さすがにもう強がれない。
たいして期待はしていなかったけど。
またも信州に救われた。
