
【職業格差】新入りがイケメンすぎて、西田がキレた。#73
〜現実召喚師とコーヒー係のあいだに〜
「……ちょっと待ってくださいよ。」
めりこ編集部に、聞き慣れた声が響いた。
振り向くと、そこにはコーヒーカップを持った西田が立っていた。
「ん? 西田、どうしたん?」
「いや、どうしたんじゃないっすよ。」
西田は、机の上に置かれた一枚の画像を指さした。
「これ、誰っすか?」
「ああ! 新しく仲間になったレアカンさん!」
「……。」
西田は画像をじっと見つめた。
「めっちゃイケメンじゃないっすか。」
「そうなんよ!!🤣」
「しかも、なんか装備すごくないっすか?」
「ハットにマント、それに白蛇までおるんよ!」
「……白蛇?」
西田は自分の手元を見た。
そこには、いつものコーヒーカップ。
もう一度、画像を見る。
白蛇。
もう一度、自分の手元を見る。
マグカップ。
「……めりさん。」
「ん?」
「俺の相棒、マグカップっすか?」
「そうなるね🤣」
「何でやねん!!!」
⸻
🪄 新入りの職業が、強すぎる。
事の発端は、前日。
めりこRPGの仲間図鑑に、新しい仲間が加わった。
仲間図鑑 No.004
現実召喚師 レアカンさん。
まだ形になっていないアイデアを、現実の仕組みへと変えていく人。
その活動や考え方から、めりこ編集部が名付けた職業が「現実召喚師」だった。
そして、完成したキャラクター画像がこちら。

いや、もう。
カッコよすぎるやろ!!🤣

本人からも、
「現実とのギャップが…。
でも、とても嬉しいです。」
と、嬉しいお返事をいただいた。
めりこもメリちゃんも、大喜びだった。
……ただ一人を除いて。
「めりさん。」
「ん?」
「ちょっと確認していいっすか?」
「どうぞ。」
「レアカンさんの職業は?」
「現実召喚師!」
「……俺は?」
「コーヒー係。」
「……。」
「……。」
「何でやねん!! 俺の扱い!!!」
⸻
☕ コーヒー係、待遇改善を要求する。
西田は、編集部の机にコーヒーカップを置いた。
「俺、前からここにいますよね?」
「おるね。」
「結構、活躍してますよね?」
「してるしてる🤣」
「なのに、新入りは現実召喚師。」
「うん。」
「俺はコーヒー係。」
「うん。」
「向こうは白蛇。」
「うん。」
「俺はマグカップ。」
「うんうん💕」
「ちゃんと聞いてます!?」
聞いている。
めりこは、ちゃんと聞いていた。
ただ、どうしても笑いが止まらない。
「いや、西田。コーヒー係って大事やで?」
「そういう問題じゃないっす!」
「じゃあ、何がいいん?」
西田は腕を組んだ。
しばらく考えたあと、真顔で言った。
「……俺にも、魔法とかないんすか?」
その瞬間。
メリちゃんが、ゆっくり顔を上げた。
「ありますよ。」
「えっ!?」
西田の目が輝いた。✨✨✨
⸻
✨ 西田の専用魔法、ついに判明。
メリちゃんは、古い魔法書を開いた。
ページが淡い金色に光り始める。
「西田さんには、ほかの仲間にはない特別な能力があります。」
「マジっすか!?」
「はい。」
西田は背筋を伸ばした。
「それ、どんな魔法っすか?」
メリちゃんは、静かに告げた。
専用魔法《ナンデヤネン》
効果:
どれほど壮大な物語でも、たった一言で現実世界へ引き戻す。
発動条件:
本人が納得できないとき。
成功率:
ほぼ100%。
西田は、しばらく魔法書を見つめていた。
そして、ぽつり。
「……それ、魔法なんすか?」
「はい。西田さんにしか使えません。」
「……。」
「……。」
「何でやねん!!!!!」
✨ 専用魔法《ナンデヤネン》発動!
編集部の幻想的な光が、一瞬で消えた。
……ただの会議室に戻った。
「ほら、成功しました。」
「成功してもうたやないか!!!」
⸻
🏰 めりこ編集部、緊急会議。
ひとしきり笑ったあと、めりこは西田に言った。
「でもな、西田。」
「何すか?」
「レアカンさんには、レアカンさんの役割があるやん?」
「はい。」
「西田には、西田の役割があるんよ。」
西田は黙って聞いていた。
「どんなにカッコいい魔法使いが増えても、西田がおらんかったら、うちの編集部は静かすぎるわ。」
「……。」
「それに、コーヒーも飲めんしな🤣」
「結局そこっすか!!」
めりこは、また笑った。
でも、これは本当の話。
誰かが壮大な夢を語る。
誰かが新しい世界をつくる。
そして、その横で誰かがツッコミを入れる。
みんな同じ役割じゃなくていい。
それぞれの得意なことで、物語は面白くなっていく。
西田は、少し照れくさそうに笑った。
「……まあ、俺っすよね。」
「そうそう。」
「じゃあ、めりさん。」
「ん?」
「俺の職業、昇格するんすか?」
「せんよ。」
「……給料は?」
「出んよ。」
「……。」
「……。」
「何でやねん!!!!!」
⸻
📖 めりこ編集部・本日の記録
西田の職業:コーヒー係
新たな能力:専用魔法《ナンデヤネン》
昇格:なし
待遇改善:なし
本人の納得:なし
編集部の笑い:過去最高クラス
こうして、めりこRPGに新しい魔法が誕生した。
なお、本人はまだ納得していない。
⸻
🌸 今日の一句
秋の夜や
魔法を消して
笑い声
壮大な魔法より、誰かの一言が場を明るくすることもある。
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🗺️ 次の冒険はこちら
この先も、もう少し進んでみるなら。
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