
「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」By sanngo

いつきちゃん帯♡
それは大好きなnoter、山河恩子さんが書いたこの記事がきっかけだった↓
これ、めっちゃ面白そう(笑)
でも、この本読んだことないし……
いいや我流で私なりの「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」書いちゃおう(笑)

太宰治風
『斜陽の湯切り』
今まで私は、恥の多い生活を送ってきました。お湯を注いで三分。そのわずかな時間が、私には永遠の地獄のように思えるのです。
待ちきれずにフタをほんの少しめくっては、「ああ、まだ麺が固い」と絶望のため息をつく。私はいつも肝腎なところでせっかちで、物事を最後まで成し遂げることが出来ないのです。
やっと訪れた三分後、私は怯えながらシンクへ湯を流し込みます。
トプ、トプ、と頼りない音を立てて、あろうことか麺が二、三本、排水溝へと吸い込まれていきました。
――ああ、見事に失敗だ。私に食べる資格などない。
それでも黒々とした液体ソースを絡めれば、立ち上る湯気はなぜかひどく退廃的な匂いがするのです。窓の外の薄闇を見つめながら、私は一人、割り箸を不器用に割り、自嘲気味にそれをすするのです。
ーーああ、また今宵も生きてしまった。
前歯に青海苔がつくことも畏れずに、私は荒廃した此の世を憐れむように、ただひたすらに麺をすすりました。
フタにしがみついた一欠のキャベツに、此の世に残す美知子への一抹の懺悔を感じながら。

高村光太郎風
『荒涼たる湯気』
僕の前にカップはない、僕の後ろにカップはできる。
あぁ、見よ、この無機質なプラスチックの容器を!
容赦なく沸騰した熱湯の奔流を、その乾いた腹の中に叩き込め。ためらってはならない。命の熱を注ぎ込むのだ。
三分の沈黙。
風が吹こうが、世界がどうなろうが、今はただ麺の硬さに向き合え。
湯を切れ! 力いっぱい、魂を込めて一滴残らず絞り出せ!
そして、荒々しく黒いソースを絞り出し、激しくかき混ぜろ。
野性的な香りが鼻腔を打つ。これだ、これこそが生きている証拠だ。むさぼり食え!
ねえ、千恵子さん、かういふ味、好きでせう。
