
【シェアハウス入居者インタビュー#10・前編】元入居者のLさんから聞いた、障害者就労支援のリアル

はじめに
「シェアハウスって、どんな人が住んでいるんだろう?」
初めてシェアハウスに住む方なら、一度は考えることではないでしょうか?家賃が安いのは魅力的。でも、知らない人たちと一緒に暮らすことには不安もある。ましてや、初めての東京暮らしとなればなおさらです。
今回お話を伺ったのは、かつて弊社LLC-HOUSEの白金エリアの物件で、約3〜4年間生活していた元入居者のLさん(34歳)。関西から上京した際、住居費を抑えるために選んだのが弊社のシェアハウスでした。
現在は、障害のある方の就職をサポートする「就労移行支援事業所」で働いています。久しぶりにお話を伺う中で、特に印象的だったのが、弊社のシェアハウスを評したこの言葉です。
「社会人向け、現実向け」
イベントや交流を売りにするのではなく、それぞれが自分の生活を送り、必要なときには自然に交流する。そんな共同生活のあり方について、元入居者ならではの率直な感想を聞くことができました。
今回のインタビューは内容が非常に濃かったため、前編・後編の2回に分けてお届けします。前編は、上京をきっかけに始まったシェアハウス生活と、退去するまでのリアルな体験談。 後編では、Lさんが現在携わっている障害者就労支援の仕事内容や、福祉業界が抱える課題まで掘り下げます。
まずは、元入居者さんの目から見たLLC-HOUSEの姿をご覧ください。
元入居者Lさんのプロフィール
年齢:34歳
現在の職業:就労移行支援事業所の職員
過去の職歴:学校教員、IT人材派遣営業、放課後等デイサービス、フリーランスなど
シェアハウス経験:LLC-HOUSEが初めて
入居期間:約3〜4年間
入居のきっかけ:関西からの上京と住居費の節約
現在の目標:マネージャーへのキャリアアップと福祉分野での支援の拡大
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■ 関西から東京へ。最初に選んだ住まいはシェアハウスだった

Lさんが弊社のシェアハウスに入居したのは、今から7年前。関西から東京へ引っ越すにあたり、まず考えたのが住居費の問題でした。
「とりあえず関西から東京に引っ越してきて、安いところで何かないかなと思った時に、シェアハウスを検索したらLLCが出てきました」
当時は「シェアハウス 東京」といったキーワードで物件を探していたそうです。一般的な賃貸マンションやアパートと比較したのかを尋ねると、答えは「いいえ」。
そもそもシェアハウスの方が安いと考えていたため、最初からシェアハウスに絞って探していたとのことでした。
Lさんが最初に見つけたのは、別の物件紹介サイト。
ところが、問い合わせても連絡が来なかったり、やり取りがスムーズに進まなかったりしたそうです。
結果として、実際に内覧したのは弊社の物件だけでした。
当時のLさんは、住まい探しと並行して就職活動も進めていました。
決まった仕事は、IT業界の人材派遣営業。
エンジニアを企業へ派遣する営業職で、給与は基本給とインセンティブを合わせて月平均30万円ほどだったそうです。
ただ、パソコンを本格的に使う仕事も営業職も初めて。
新しい知識を覚えるだけでなく、営業先を探し続けることや、派遣先で発生するエンジニアのトラブル対応にも苦労したといいます。
例えば、未経験からエンジニアになった方の場合、社会人経験の浅さから朝礼に出忘れたり、約束を守れなかったりする問題が発生することも。
一方、経験者の場合は「希望していた業務内容と違う」といったミスマッチへの対応が中心だったそうです。
今振り返ると、この頃からLさんは、単に仕事を紹介するだけでなく、人と企業の間に入って問題を解決する仕事をしていたことになります。
そして、その経験は現在の仕事にも繋がっていました。
■ 「どんなヤバい人が住んでいるんだろう?」初めての共同生活への不安

Lさんにとって、LLC-HOUSEは人生で初めてのシェアハウスでした。
入居前に不安だったことを尋ねると、最初に出てきたのは、やはり人間関係についてのお話です。
「周りの入居者とうまくやっていけるかなという不安はありました。それ以外は、東京に出て住む場所を確保したい一心だったので、住むところがあるだけで助かるという感じでした」
初めての土地で、知らない人たちと共同生活を始める。
考えてみれば、それなりに勇気が必要なことです。
しかもLさんの場合、家賃の安さが魅力だった一方で、その安さゆえの不安もあったそうです。
「どんなヤバいヤツが住んでるんじゃないかとか(笑)。安いというのもあるので、怪しい外国人とか、ヤバそうな人がいるんじゃないかという不安はちょっとありましたけど、みんなすごく普通の感じです」
もちろん、これはLさんが入居前に抱いていた先入観のお話。実際に住んでみると、そのイメージは良い意味で裏切られたようです。
「入居者に関してはすごい良かったですね。不安はなくて、むしろ結構みんなフレンドリーな感じだったので、リビングでちょっと喋ったり、ご飯に行ったりとか、そこはかなりプラスだったと思っています」
リビングで会話が生まれ、気が合えば一緒に食事に行く。
かといって、毎日必ず交流しなければならないわけではありません。
住環境についても、もともと個室ではないことを理解していたため、大きなギャップはなかったそうです。
「むしろ家賃が安くてありがたいという気持ちはずっと変わらないです」
これは運営者として嬉しい感想でした。ただ、今回のインタビューで更に興味深かったのは、次に出てきた「入居者同士の距離感」に関するお話です。
■ LLC-HOUSEは「社会人向け、現実向け」のシェアハウス

シェアハウスには、さまざまな運営スタイルがあります。
運営者が積極的に交流イベントを開催する物件もあれば、住人同士のコミュニティづくりを大きな付加価値としている物件もあります。
一方、弊社LLC-HOUSEは、そうした交流を運営側から積極的に促進するスタイルではありません。入居者同士で仲良くなってもいいし、必要最低限の関わり方でも構いません。
他の入居者に迷惑をかけず、共用部分を適切に使っていただければ、それぞれが自由に生活すればいいという考え方です。
そんな弊社のシェアハウスについて、Lさんは次のように表現してくれました。
「1人1人がちゃんと生活スタイルを守りながら接していた感じですね」
自分の生活を大切にしながら、必要なときには自然に交流する。
この距離感こそ、Lさんにとって居心地の良さに繋がっていたようです。
では、逆にどんな人が向いていないのでしょうか?
「サークルみたいなああいう空気感を求めてくると、構ってもらえないってなってしまうでしょうね。向いてる人は自分のスタイルがある程度分かっていて、自ずと馴染んでいく感じ」
なるほど。
シェアハウスを住まいとして利用するのか、それとも交流そのものを目的として利用するのか。ここには、かなり大きな違いがありそうです。
さらにLさんは、こんな表現もしていました。
「社会人向け、現実向けというか。エンターテインメントとして捉えて入っている人は失敗する可能性がある」
個人的には、今回のインタビューで特に印象に残った言葉の一つです。
シェアハウスは、あくまで日常生活を送るための住まいです。
楽しい交流が生まれることはもちろん素晴らしいことですが、毎日イベントがあるわけでも、誰かが楽しませてくれるわけでもありません。
仕事で疲れて帰ってきたら、一人で静かに過ごしたい日もあるでしょう。
逆に、気分が良ければリビングで誰かと話したくなる日もある。
そんな当たり前の社会人生活が自然に成立する環境。
Lさんの言う「社会人向け、現実向け」という言葉は、その特徴をうまく表現しているように感じました。
■ 「楽しければいい」では済まされない。シェアハウス運営者として考えること

ここで、少し運営者側の考え方についてもお話しします。
私は以前から、シェアハウス業界において、コミュニティやイベントといった付加価値が強調されすぎることに、少し"違和感"を感じています。
もちろん、交流イベントやコミュニティづくりを否定するつもりはありません。それを魅力に感じる入居者もいるでしょうし、特色あるサービスとして成立していること自体は納得です。
ただし、それと住まいを提供する事業者としての責任は、全く別の話です。
・建物や設備の管理
・契約内容の説明
・トラブル時の対応
・法令上の義務
こうした基本的な部分がきちんと履行されていなければ、いくらイベントが楽しくても問題があります。
私はインタビュー内でこれを、車の販売店を例にしてお話ししました。
車を販売しているのに「うちはお客様との交流を一番の売りにしています。車のことはあまり詳しくありません」と言われたらどうでしょうか?それで車にトラブルが発生しても、「弊社はお客様との距離が近いので、細かいことはお客様は気にされませんよ笑」と対応されたら、みなさん納得できないはずです。
シェアハウスも同じこと。
私たちの本業は、まず安全で適切な住環境を提供することです。
コミュニティという付加価値が、貸主としての義務や管理責任を曖昧にする理由になってはいけません。
この考えについて、Lさんは弊社の内覧から契約までの流れに触れてくれました。
「そういう意味ではLLCの場合は内覧してから契約に至るまで。その要素はあまり見えないですね。その間にいい意味で入居する人がスクリーニングされてるのかもしれませんね」
弊社としても、物件の利用条件や生活ルールを理解していただき、お互いに納得したうえで契約を進めることを大切にしています。
住まいは、入居した後の生活が本番です。
だからこそ、契約前の段階で必要な説明を行い、期待と現実のズレを小さくすることが重要だと考えています。
■ 3〜4年間暮らした後、ワンルームへ。それでも最後まで迷った住まい

Lさんが弊社のシェアハウスを退去した理由は、物件への不満ではありませんでした。引っ越し先は、四畳半ほどのワンルーム。
仕事など環境の変化に応じて、自分だけの時間を確保したいと思うようになったことが、住まいを変えるきっかけだったそうです。
ただ、実際は退去する際にも、弊社の別物件に引っ越すかどうかで迷っていたといいます。
「LLCの方南町の物件にも興味がありました。それくらい自分にはLLCのシェアハウスがスタイルにあっていると思ってはいましたけど、その時は自分だけの時間を確保したい時期だったんです」
住まいに求める条件は、人生の時期によって変わります。
仕事が変わったり、収入が変わったり、生活スタイルが変わったり。
以前は共同生活が自分に合っていたとしても、ある時期から一人暮らしを選びたくなることもあるでしょう。
それは決して、シェアハウス生活が失敗だったということではありません。むしろ、その時々の自分の生活に合った住まいを選ぶことこそ、自然なことだと思います。
Lさんの場合、初めての上京から数年間を弊社のシェアハウスで過ごし、その後、一人暮らしへと移っていきました。
こうして退去後にも元入居者さんのその後の話を聞けるのも、私自身有難いと思っています。
■ おわりに:シェアハウスは人生の一時期を支える場所

今回の前編では、Lさんが関西から上京して初めてシェアハウスを選んだ経緯から、約3〜4年間の共同生活、そして一人暮らしへ移るまでを振り返りました。
特に印象に残ったのは、「社会人向け、現実向け」という言葉です。弊社のシェアハウスは、特別なコミュニティ体験を提供することよりも、住居費を極力抑えながら、入居者が自己実現に向けて日常生活を送れる環境を整えることを重視しています。それぞれが自分の生活を持ち、自然な距離感で暮らせる場所でありたいと考えています。
Lさんも、上京時にはまず住む場所を確保するためにシェアハウスを選びました。そして数年間の生活を経て、自分だけの時間を確保するためにワンルームへ移っていきました。住まいを変えることは、人生の変化に合わせた自然な選択です。
退去して終わりではなく、その後の話をこうして聞けることも、運営者としてありがたく思います。
▶ 後編はこちら:【シェアハウス入居者インタビュー#10・後編】元入居者のLさんから聞いた、障害者就労支援のリアル
障害者就労支援の現場では、今何が起きているのか?
後編では、Lさんの現在のお仕事である「就労移行支援」について詳しく伺います。
障害のある方が就職するまでに、なぜ1〜2年かけて準備することがあるのか。就職させることと、長く働き続けてもらうことは何が違うのか。さらに、A型・B型事業所の実情や、障害者雇用率の数字を重視する企業側の課題についても話を聞きました。
私自身、知らなかったことが多く、非常に勉強になった内容です。ぜひ後編もご覧ください。

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